内分泌代謝内科 備忘録

2型糖尿病の罹病期間とがんの罹患率の間に関連を認めない

2 型糖尿病の罹病期間とがんの罹患率の間に関連を認めない
Diabetes Care 2023. https://doi.org/10.2337/dc23-1013

目的
2型糖尿病の罹病期間とがん罹患率との関連を調査すること。


方法
Clinical Practice Research Datalink データベースにおいて、診断時年齢 35 歳以上の 2型糖尿病患者 130,764 人を同定し、病院および死亡率の記録とリンクさせた。2 つの時間尺度を用いた性層別 Royston-Parmar モデルを用いて、1998 年 1 月 1 日 - 2019 年 1 月 14 日の間における、全がん、英国で最も一般的な 4 つのがん(大腸がん、肺がん、前立腺がん、乳がん)、肥満関連がん(肝臓がん、卵巣がん等)の発生率を年齢別、糖尿病罹病期間別に推定した。


結果
1,089,923 人年の間に 18,977 件のがんが発生した。同じ年齢では、男女ともすべてのがんの発生率は診断から 20 年までの期間にわたって変わらなかった;逆に、どの期間においても、年齢とがん発生率の間には強い正の関連があった。男性では、罹病期間 20 年と 5 年を比較した罹病率比(95%信頼区間)は、60 歳で 1.18(0.82-1.69)、80 歳で0.90(0.75-1.08)であり、女性では1.07(0.71-1.63)、0.84(0.66-1.05)であった。このパターンは、最も多い 4 つのがんについても観察された。

図: 糖尿病罹患歴とがんの罹患率との関係

肥満関連がんについては、一般にBMIが高い人ほど罹患率が高かったが、BMIのどのレベルにおいても罹患期間との関連はみられなかった。


結論
本研究では、2 型糖尿病の罹病期間と癌のリスクとの関連を示す証拠は得られなかった。


所感:
糖尿病患者であるからという理由で追加のがんスクリーニングを行う必要はなさそう。

https://diabetesjournals.org/care/article-abstract/doi/10.2337/dc23-1013/153539/Duration-of-Type-2-Diabetes-and-Incidence-of?redirectedFrom=fulltext
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