【コース紹介】
〔新穂高温泉鍋平駐車場 ~ 新穂高登山センター〕
トイレ棟がある駐車場から少し登った先にロープウェイの鍋平駅があるはずだが視界に入らない。駅から駐車場までどのくらい掛かる物かと何時も思う。
登り切ったところから左に折れて一気に新穂高温泉登山口に急降下する
ロープウェイ駅もあることだし熊は居ないと思うが
出て来てもおかしくない風景だ
下る分岐の所では
相変わらず「熊注意」の看板も偉そうに立っている
ヘッドライトの灯りを頼りに濡れた岩を慎重に選んで足を運んだ
新穂高登山センターに着いたのが1時間後です。深山荘近くの無料駐車場ならこの工程が削除される。
〔新穂高登山センター ~ わさび平小屋〕
新穂高登山センターで用意しておいた登山届をポストに入れて歩き始めたが、この区間は許可証があれば車が入れるため歩く気が失せる登山道だ。
変化のない暗い道をヘッドライトの灯りを追いかけるように1人で歩く
誰も居ない
とても長く感じる行程だ
歩きながら自然と脳みそを叩く魔女がいる
・
「いずれ登山客用にバスが走るよ」と囁く
「それも良いが、あったらあったで面倒だ」と応える自分がいる
バスがあると歩くのは嫌だけど
なければないなりに歩ける!
「簡単に人を入れてはいけない!!!」と言い返すこととした
(穂高センター)img5007
左側に、水洗トイレと飲料自動販売機があり、直ぐ上が西穂高用ロープウェイ乗り場になる。1駅登った所が鍋平駐車場となる。
〔わさび平小屋 ~ 鏡平小屋〕
わさび平小屋を横目で見ながら通り過ぎると、わさび平小屋で前泊したグループが前を楽しそうに歩いている。だが、橋の手前を左に曲がれば本日の難所と言って良い長い、長い登りが待っている。
ペースの合う人も見かけられずに1人黙々と歩き、秩父沢で水補給を兼ねて休憩を取る。
沢の水は冷たくて癖がないので美味しい
太陽のおまじないで美味しさは無限大に達する
金があっても飲めない水だ
一口飲み始めると、沢の水が私の身体に流れ落ちて行く
あたかも動脈に沿って水が流れ落ちていくようで身体の隅々まで浸透していくのが判る
行き渡ったところで蛇口を捻る
蘇った瞬間だ!!!
シシウドが原では休憩のみだが、話し相手が見つからなかったので落ち着かない休憩となった。
鏡池では、途中で会話をしたプロカメラマンかも知れない人がスマホをいじくりながらカメラ数値を設定していた。前回よりも風がなく水面は鏡のようになっていた。朝食と言って良いのか、おにぎりを1個頬張る。
(鏡平小屋鏡池)img5021
〔鏡平小屋 ~ 弓折乗越〕
鏡平山荘までが森林限界で、此処から太陽の陽射しと共に歩かねばならなくなり応える。そんな中、途中癒やしてくれたのがこの1枚の風景でした。
短い夏を懸命に生きている光景を見つけた
花が、私が登ってくるのを待ってくれたように太陽と会話をしている
その会話を聞いて集まってくるミツバチ
邪魔をするなとばかり、花の上を羽音を鳴らして旋回している
・
槍ヶ岳をバックに花を撮る構図を狙っていた時だった
ミツバチが構図に飛び入り参加してくれていた……
予期せぬタイミングで
お気に入りの1枚となった
・
カメラから写真を撮りだして気がついたミツバチの乱入
偶然の出来事に感謝するばかりだ
弓折乗越のタカネニガナと蜂そして槍ヶ岳 Img5027
弓折乗越からの槍穂高連峰は定番になるほど撮影地の人気スポットだ。個人的には、反対側の蝶が岳から見るよりも高度感と荒々しさがあり好きである。
やれやれと木製のベンチに座ると、反対側を向いてナレーターが座っていた
声を掛けた
なかなか感じの良い奴だと感じながら話が弾んだ
反対側を向いている理由が分かった
ルートを逸れて往復20分ほどの弓折岳に登ろうかと考えていたようだ
写真を撮ってもらい、此処の花畑が良いよ!何か教えて貰い別れた
別れ際、弓折岳を登る余裕は時間的にないよとアドバイスした
何故なら、会話の中でナレーターの進行速度が遅いことが判ったからだ
三俣山荘テント場で再会したときに安心した
「早かったな!!!」
(弓折乗越からの槍ヶ岳穂高・チングルマ)img5036
〔弓折乗越 ~ 双六小屋〕
夏山と言ったらお花畑は欠かせない風景のひとつだ。大分歩いてきたがここまでそれらしき物に遭遇していなかったので半ば焦ってはいたが、やっとお出ましのようだ。
ポツリ、ポツリと花は咲いていたがお花畑とまでは行かなかった
短い夏にするための、ある程度の標高が必要なようだ
雪渓が溶けたところから競うように花を付ける
代表格のシナノキンバイのお花畑に思わず顔が緩む
此処から先は花の声援を浴びて足を運んだ
シナノキンバイimg5053
池塘 と青々したイネ科?の植物が目に飛び込んできた。背後には何時も目立たない双六岳が男らしく構えているではないか!夏の双六岳の顔だとばかりカメラのシャッターを押した。
一面の緑の色の濃さに痺れた
手前にはお花畑
池塘 とイネ科?の植物の緑
すっきりした顔の表情をした双六岳山頂
夏山風景丸出しの双六岳を見つけた
なんて素敵な光景なのだろうか……
池塘 と双六岳img5060
〔双六小屋 ~ 双六岳〕
双六小屋で残りのおにぎりを食べた。やっとここまで来たかと安堵感がおにぎりを美味しくさせた。
前回来たときの行程の違いは、前回は中道ルートで双六岳は避けたが、今回は双六岳山頂に寄ったことだ。双六岳には二回目の登山になるが、今回は良い物を見させて頂いた。
初登頂の時には日の出の時間帯にお邪魔した
その為、周辺の景色には目もくれずに山頂に行き日の出を待った
目もくれずにと言うか、太陽がまともに出ていない時間帯での滞在となったからだ
今回は違う
時刻は12:30 お日様が真上で笑って周辺の山々を明るく照らしている
スポットライトを当てているのだ
双六岳山頂付近は台地の形状になっており、「天空の滑走路」と呼ばれている
その滑走路を周辺の山々から拍手を浴びて、我が物顔で歩いている自分がいる
兎に角
とにかく
なんて気持ちの良い世界なのだろうか!
この台地は、「槍ヶ岳に飛び立つ天空の滑走路」と俗に言われているが、振り返ると以下の写真のように「双六岳山頂に向かう天空の道」だと判る。写真に写っている2人のモデルさんは「ちぐはぐな2人組」である。前にいるのが、「ガイドさん」、後ろを歩いているのが「金持ち老人」いわゆる個人依頼主である。と私が誤解した2人組である。人が入ると良い写真になりますね!
双六岳への天空の道img5077
後ろを振り返ると本物の「槍ヶ岳に飛び立つ天空の滑走路」である。この写真には人が居なくて正解な場面であるが、おもちゃの飛行機が置いてあったら笑い(^_^;)
雲ノ平には足を踏み入れたことはないが……
双六岳山頂の台地もまんざらでもなく
もしかして話題性はこちらに軍配もあり!
と、思う自分がいる
周りの山が近い
そして
台地を、山塊が腕を組んで取り囲んでいるように見えてしまう
名だたるゴールデンマウンテンに囲まれた台地に立つ私の身体は
ふわふわと
宙に舞っていた!
天空の滑走路img5081
ちぐはぐな2人組に写真を撮ってもらった。
兎に角天気は申し分なく、初回と違う時間帯に訪れることが出来たことは正解だった
今回の登山ルートの中で一番感激したところだ
立ち寄る決心が出来たのも日頃のジョギングの成果だと思う
鍋平駐車場に追いやられた不運から
少しは
付きが回ってきたかな
双六岳山頂にて img5089
カット
〔双六岳 ~ 三俣蓮華岳〕
若者で賑わっている上高地を取り囲む山域と違って雲ノ平周辺部の山域は年長者が中心で人影もまばらで静かである。
久方ぶりの夏山登山
鏡平山荘から背負わされた陽射しがいよいよボディーブローのように効いてきた
暑い、兎に角暑い、まさにお昼時であり下界では炎天下の中で身体を動かすことなど考えられない時間帯だ
蹴飛ばした石ころが
「“陽射しのない曇天”と“絶景”どちらを取りますか?」とトレードの様なことを聞いてくる
勿論、迷いなく“絶景”を取る
青空があっての絶景なのだから
天気予報で絶景を求めて登山日程を決めて来るのだから仕方がない
次回の夏山計画には、夏山係数を入れて計画を組むこととしよう
石ころが早く来いと転げ落ちた
黒部五郎岳・薬師岳 img5092
写真を見ると今日も剱岳(写真中央奥、右が立山)には半分雲がかかっている。定番なので掛かりやすい地形だと思う。見応えのある景色で、左から薬師岳・剱岳・立山・水晶岳・鷲羽岳・野口五郎岳となりお花畑・雪渓と夏山らしい風景が展開される。
ハクサンイチゲお花畑と雪渓img5101
この辺りは一面お花畑である。
チングルマimg5102
三俣蓮華岳の頂上には70代グループ5人組が居ただけで、その一人の方に写真を頼んだ。ちぐはぐな2人組は黒部五郎岳小屋に泊まり折立に抜けると笑みを浮かべ駆け下りていった。
此処、三俣蓮華岳はあまり話題にならない山だ
先ず、周囲の山域から見ると山容が目立たない
そう、特徴がないのだ
また残念なことに山頂からの眺望が今一と来ている
立地条件は銀座1丁目なのだが、周辺の山域と位置関係(角度・深さ)が悪いためだろう
絵にならない
カメラマン泣かせの山だ
しかし交通の要として貢献しており分岐先が拡がっている所でもある
三俣と言うぐらいだからね!
三俣蓮華岳山頂・水晶岳・鷲羽岳img5107
カット
〔三俣蓮華岳 ~ 三俣山荘テント場〕
最後の下りだが身体が怠い。テント場は予想外に大混雑で銀座1丁目の様相となっていた。テント泊は全て込みで2,000円、山小屋の経費が想像付かないので山物価が高いのか常識価格なのかは判らない。例えば、350cc缶ビールが600円だが高いのか?それとも相応価格なのかは判らないが何処の山小屋も似たような価格となっているようだ。
昔は山小屋利用予約など要らなかった
山で宿泊客は断ることが出来ないと双方で納得して寿司詰め状態で客を泊まらせていた
混雑時は今晩2人/畳は当たり前だった
2020年感染症コロナが流行して一変した
山小屋は感染を防ぐため予約定員制に変更せざるを得なくなった
その結果、宿泊価格は上がったが、上げるにも限度があるので……
昔より経営は厳しくなったのだろうか?
山小屋があることで精神的支えとなり快適な山旅が出来る
ありがたいことだ
Img5114
テント場は込んでいてゆっくり過ごすことが出来なかった。
両隣に気を使いながら小スペース場所に斜めにテントを張り受付を済ませた
テント場でも最近熊が出たという
残飯は持ち帰るようにと注意があった
夕飯と翌日の朝食・昼食の準備が始まる
暗くなるまでに食事の片付けもしなくてはならない
時間との闘いだ
夕焼け空の写真撮影に出かけた
帰るなり寝袋に滑り込んだ
Img5117
【1日目が終わって】
予定通りのひと言だ
雲ひとつない星空の下、物静かに朝が始まった
誰も居ない暗闇を歩いた
小池新道からは太陽のお出ましだ
暫くすると、汗腺から噴水のように水が飛び出していく
このルートの良さは水の補給が出来る沢が幾つかあることだ
・
双六岳は二回目だが、初回に気付かなかった天空の滑走路の存在に驚いた
自然とは、足を運ぶタイミングでこんなに変わる物だと!
自然は生きている
それこそが“自然の良さ”なのだろう
次回はどんな顔を見せてくれるか楽しみでしょうがない
・
風の中に、道の先に
もう一度
自然を見つける。私を見つける。
続きは
「双六岳・鷲羽岳」山日記 4/4 (鷲羽岳編)