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まずは何をしよう

「双六岳・鷲羽岳」山日記 4/4 (鷲羽岳編)2024/08/01~02

【2日目「鷲羽岳山頂・テント撤収し
帰路新穂高温泉へ】

 今日は鷲羽岳を往復し、テントを撤収して下山となる。当初予定していた2日目の半分の行程(鷲羽岳往復)と3日目の下山行程が本日の行程となるため少しきつい日程となる。当初予定でカットされた行程は、2日目の半分の行程(鷲羽岳往復)となる。連泊して1日目の疲れが取れるか、逆に連泊して疲れが溜まるか悩んで末に本日下山する決断をした。
 身体の疲れをだましだまし下山した1日でもあった。

兎に角無事に新穂高温泉登山口まで下山することに集中した
リズムを変えずにスローペースで怪我をしないように慎重に足を運ぶ
コース途中に点在する山小屋に着くたびに、次の山小屋まで体力があるか確認して進んだ
行きで歩いたコースなのでペース配分の見当を付けることが出来た事はラッキーだった
新穂高温泉登山口まで何とかたどり着いた
ラッキーとしか言い様がない
鍋平駐車場まで夫婦の車にお世話になった

 昨日に続き本日も晴天に恵まれた。山のサイトに投稿されている方の活動記録の中で、“日程の動かし用がなく悪天候を承知で登った”と書かれている物が意外とある。活動記録を開いて写真を拝見すると、“周辺の山は見えていない”、“雨の中を歩いた”とか目に飛び込んでくる。それでも締めくくりは「気分爽快になった」で終わっている。

頂上まで行き着くには大変な思い出登るので「山登りは修行だ」と良く耳にする
視界の無い山頂に立っても感動は湧いてこないのが私である
修行の先に“光明”があるから修行に耐えられる!(修行をする)
の、ではなかろうか?
悪天候でも山頂を目指す人の“光明”は何か私には判らない
登ったという達成感が“光明”となるのか……
人それぞれなのだろうと思うしかない
多分、私の行動にも疑問を抱いている方は多いだろう

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----- 目次 -----
日程
基本情報(水場、食事のメニュー)
出会い・アクシデント
コース紹介
〔星空撮影〕
〔テント場 ~ 鷲羽岳〕
〔テント場 ~ 三俣蓮華岳分岐〕
〔三俣蓮華岳分岐 ~ 双六小屋〕
〔双六小屋 ~ わさび平小屋〕
〔わさび平小屋 ~ 新穂高温泉登山口〕
〔新穂高温泉登山口 ~ 鍋平駐車場〕
終わりに

では、目次に沿って……

【 日程 】
8月2日
(平均してスローペース、時間数値は概略値)

テント場2:00 ~ 2:30 星空撮影
テント場3:30 → 鷲羽岳4:40 ~ 5:15 → テント場6:00撤収作業7:00 → 双六小屋9:30 昼食 10:10
新穂高温泉登山口16:00 夫婦の方に送って貰う → 新穂高温泉鍋平駐車場17:00 (満車状態)

*日の出4:55  *日の入り18:57


8月2日帰路
(松本市郊外で渋滞)
 渋滞解消までコンビニで休憩30分
  

【基本情報】
(水場、食事のメニュー)

①水場:「始めに当たって」で記述済み
②食事のメニュー 
 8/2朝飯:昨夜作った梅干しおにぎり1個
 8/2昼飯:昨夜作った梅干しおにぎり1個&レトルトカレー



【出会い・アクシデント】
 昨日もそうだが、ローカットシューズを履いた若者をよく見かけた。夏山な事と雲ノ平周辺部は岩場もないので確かにローカットシューズで問題ない。私も最近、日帰り花火登山でランニングシューズを履いていてその歩きやすさに惹かれているところだったので、すれ違う若者を見て購入意欲が増した。

トレランシューズを使っている友達の影響を受けて
ランニングシューズで花火登山に出かけた
軽い上に足首が非常に楽だ
日帰り登山ではこの程度の靴で良いと感じた
今回、若者が履いているローカットシューズを見て
購入意欲が増した!

《日焼け対策に漏れた部分あり》
  日焼け対策は完璧だったと思っていたが、帰宅して数日後に首の付け根の皮がむけた。帽子と首に巻いたタオルでは陽射しを遮ることが出来なかったようだ。若者は、短パン・半袖に日焼け止めクリームのようだが、巻き道で会った30歳前のサラリーマンは日焼け止めクリームが効かずに水ぶくれが出来たと立ち止まって効かないという日焼け止めクリームを塗り直していた。

《山の中の芸術家》
 雲ノ平では毎年芸術家を育てる活動をしていることはBSで知っていたが、どうやらこれに絡んだ芸術家と思われる。詳しい話は聞いたが、此処では“山の中の芸術家”と言う呼称とする。
 双六小屋について昼飯を食べる場所を探していたが何処も陽が射している。唯一の日陰は石段部分しかなくそこには先客が一名座っていた。少し高めでゴツゴツしていたが陽射しを避けるのが先決で隣に座らせて貰った。

雲ノ平の弁当を食べながら、4日間滞在しての帰りだという
私も水の補給と、おにぎり・カレーを食べながら会話に応じる
大学院生とだが話が弾む
心が打ち解けたのか……
手紙を今、回収したところだとポケットから取り出してくれた
透明な小瓶には事前に知らせてある番号が記入されており
中に丸められて麻紐で結ばれた手紙が入っていた
浜辺に漂着した手紙を彷彿させる
手紙の交換方法を詳しく書いてしまうと悪いので抽象的にざっくり書くと
お互い行きそうな山に、先に行った物が手紙の小瓶を置いておく(何処に、どのようには割愛)
相手にその旨と小瓶に書いてある番号を伝える
後から来た方が回収する
素敵な交換方法だ!
写真を撮らせて頂いた
還暦を過ぎても出来ないことはない
さて、材料を用意するか……

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《腰の曲がったおばあちゃん》
 わさび平小屋手前の広い登山道で腰が曲がったおばあちゃんが先を歩いているのを見かけた。
腰がくの字に曲がっているので、バックパックが大きく背中の右側に傾いているため背中がふたつに見える。

目を疑った
腰を曲げた老人がバックパックを背中にゆらりゆらりと歩いている
余りの歩く遅さが心配になり声を掛けてしまった
「今日はこれからどちらまで行かれるのですか?」と
わさび平小屋と聞いて安心した
このスピードでも何とかなると
肝心なことを聞きたかった!
後ろ姿の後を追いながら
「この方は何のために山に来るのか」
日常生活には不便はないだろうがこの歩く速度で山に入るとは……
今までで山で会った一番驚いた人物と言える
超人だ!!!
残念ながら、歩調が合わず疲れ切っている私には
歩調を合わせて会話を続けて謎を解き明かす余裕がなかった
私はおばあちゃんに頭を下げた
背中の重い荷物が私に先を急がせた

《神様に見えた夫婦》
 新穂高温泉登山口に向かいながら疲れ切ったこの身体を、如何に最後のひと登りをして鍋平駐車場へ運び込むかの考えを思案していた。手段は三通りだ!

・タクシーを使って鍋平駐車場へ向かう:残念ながら新穂高温泉登山口まで入ってきて待機しているタクシーは見たことがないので除外する。

案1、ロープウェイを使って鍋平駐車場へ向かう:一駅区間乗車すると“鍋平駅”があり駐車場までの高さは稼げるが、水平方向にかなり歩かねばならない。(今まで使用したことがない)

案2,歩いて鍋平駐車場へ向かう:過去全てこの手段を取った。

案3,他人の車に乗せて貰い鍋平駐車場へ向かう:登山者の荷物の積み卸しで車が駐車することは知っている。その車にお願いして乗せて貰う。

先ず、ロープウェイ乗り場に向かう分岐点で判断に迷った

ロープウェイ乗り場へ誘導する標識が目に飛び込んできた
悩みながら歩を進めてきたが時間切れのようだ
いよいよ決断するときが来た
分岐点で歩く速度は自然と遅くなったが……
止まることなく直進した
ロープウェイを振り切った瞬間だったが、本当に良かったのか後ろ髪を引かれた

 多分、分岐点の時点では人に乗せてもらえるという気持ちが強かったと思う。他人の車に乗せてもらうにも、“乗せてくれる人“、”乗れる車が止まっている“ と言う問題もある。

橋を渡れば新穂高登山センターに着くが乗せてもらえる車は停車しているだろうか……

橋を渡りながら停車している車を観察する
心が落ち着かないと共に、「どうかお願いします」の領域に心が傾いている
新穂高登山センターの手前に業務用バンが2台留まっている
通り過ぎた
登山客の車は一台しか停車していなかったがハッチバックが空いている
吸い込まれるように近づいた

 70歳くらいの男性が荷物を載せているところだった。早足で近づきながら私の脳みそは男性が頼める人かを分析している。

荷物を載せている男性を捉えて一直線で足早に近づいた
獲物を見つけた鷲のようだ
脳みそが“頼める人か “一歩” 進んだ瞬間に答えを出した
「行け!!!」
男性と視線が合った瞬間に間髪を入れずお願いした
「鍋平駐車場まで載せて頂けないでしょうか」

 最初出た男性の言葉は、「鍋平駐車場には行かない」と言われた。それ即ち、断られたと言うことだ。鍋平駐車場に行くには左に逸れて山道を上がっていかなければならないからで、「行かない」はごもっともだと思った。

「行かない」は「通らない」と解釈できる
この方なら行ってくれると心の中で思った
自分では人を直感的に見る目があると思っている
コミュニケーション力もあると自負している
もう一押しした
「そこを何とかお願いします」
Okが出た!
後部座席に載せて貰ったところで何処からか奥さんが現れた
「この人、車間違えていない」と旦那さん? 私? に問いかけるような言葉が出た
旦那さんが説明すると、「荷物も載せて上げなさいよ」と優しい言葉
悪いので荷物は此処に置いて後から車取りに来ようと思っていた
荷物も載せて貰い鍋平駐車場へ3人で向かった

 車の中では、私の厚かましいお願い事の言い訳と登山中の話題が中心となった。

「今日は鷲羽岳に登りここまで下山してきたので力尽きてお二人に甘えてしまった」
夫婦は私とほぼ同じ行程を4日間テント泊で縦走して来た
その為、本日の行程の厳しさは理解出来る
「大変でしたね」
言い訳が通じたので少しばかり安堵した
夫婦は宿泊所で汗を流して明日帰路(愛知)につくそうで仲の良い夫婦である
会話をしながら礼金をゴソゴソと用意する
駐車場に着き降り際にお札を1枚手渡した
神様になれないので遠慮するとバックパックに突っ込まれた
頭を下げて見送った
運悪く鍋平駐車場に停めたことが発端となって起きた一コマであった
お陰で思い出がひとつ増えた


【コース紹介】
 過去に一度歩いているのと身体の疲れもあるので歩きやすくするためにカメラはバックパックに収めて歩いた。簡潔に記述することとする。

〔星空撮影〕
 夜中の2時に星空の撮影を行った。三俣山荘の前庭に三脚を立て何処を写すか暫しキョロキョロと見回した。

鷲羽岳と夜空は過去に撮ったことがある
槍ヶ岳とも過去に撮った
今夜は三俣蓮華岳と夜空にすることとした
天の川も写してくれと三俣蓮華岳の上空でポーズを取っている
ついでに三俣山荘もかぶる程度に入れた
テント場から出て来た価値があった一瞬だった

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〔テント場 ~ 鷲羽岳〕
食欲がなかったがおにぎりを強引に腹に押し込み鷲羽岳山頂からの日の出を拝みに出かける為にテントから顔を出した。昨夜、日の出の話をしていた“ナレーターのテント”を見たが起きている様子がないので一人で歩き始めたが疲れが残っているようで足取りは重い。

空が明るみ始めたため自然と歩調の回転が速まる
何とか間に合い、一息ついた所でナレーターを見つける
話の様子では私よりだいぶ前に着いていたようだ
良かった
昨夜間違った短めの行程時間を言ってしまったので気になっていた
「一緒に写真を撮ろう」と行った
写真を撮られるのは嫌いだとカメラを奪いシャッターを押してくれた

 毎回撮らされる構図の1枚だが比べてみると違っている。自然は同じ風景を見せない物だろうか……
 槍ヶ岳の奥に見えるのが、一番高い富士山と2番目の北岳となる。
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 今回は赤く染まらなかった後立山連峰だが載せておく。
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 右の黒部五郎岳の左横に影鷲羽岳が出ている。私は気付かなかったがナレーターが横で教えてくれた。雲海と陽が当たっている笠ヶ岳、双六岳、三俣蓮華岳が良い感じだ
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 ナレーターが撮ってくれた1枚
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カット

 ナレーターはテントの片付けを行うと言って先に降りていき、私は暫く写真撮影を楽しんで後を追っかけたが追い着かなかった。

〔テント場 ~ 三俣蓮華岳分岐〕
 朝露に濡れていたテントは乾いていたので速攻で撤収に取りかかる。ナレーターの本日の行程は双六岳に寄りわさび平小屋でテント泊の行程なので此処で別れた。
 荷物を背負い三俣蓮華岳分岐まで登り返しが続くが、荷物の重さが疲れている身体の自由を奪う。足を進めながら、下山できるか不安になった!
不安になるくらい身体のだるさを感じとった。「夏山登山は魔物が住んでいる」

〔三俣蓮華岳分岐 ~ 双六小屋〕
 巻き道には全くと言っても良いぐらい人影がない。一度歩いているので不安はないし、所々で沢の水が元気を与えてくれる。双六小屋について昼飯のおにぎりとカレーを食べる。
 青空に浮かぶ雲がとても素敵だったので重い腰を上げて撮影する。
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〔双六小屋 ~ わさび平小屋〕
 自分の体調を意識しながら慎重に歩を進めた。
 沢の水はありがたかったし、休憩時に日頃ジョギングで疲れが溜まって居る時に行っているマッサージを行ったら足取りがしっかりした。
 わさび平小屋に到着したときには、「やりましたね」と脳みそが囁いた。

〔わさび平小屋 ~ 新穂高温泉登山口〕
 此処からは砂利道を散歩しているのと同じで、兎に角歩き続けるだけだ。

〔新穂高温泉登山口 ~ 鍋平駐車場〕
 神があらわれた。車で送っていただいた。



【終わりに】

夏山はこんなに暑かったのか若き頃のことを思い返す
水晶岳を目指したが暑さで断念させられた!
だが、暑さの双六岳山頂は素晴らしかった
天空の滑走路上で宙に舞った

今回も天候に恵まれて最高の景色に巡り会えたことに感謝している。そして出会う人の個性が濃厚で脳みそに刻み込まれている。言葉が身体に染み込んでくるナレーター、空きビンに入った手紙、腰の曲がった超人、神様夫婦

腰の曲がった超人おばあさんは何を求めて山に入るのか
岩に座り景色を眺めている姿は想像できるが
心の中は覗けない
声を掛けたときに立ち止まって疑問を聞いておくべきだった
ひょっとすると……
「山の神」

 山の神が新穂高登山センターの前に夫婦の車を準備してくれていたら身震いするし、夫婦も実は神様…… 本当だったら恐ろしい。
 鍋平駐車場を出てハンドルを握りながら過去の記憶が蘇って来た……

 一月前であるが、畑に出かけるため早朝5時頃車で家を出たら近くの駐車場で酔った大学生が大の字でびくともせずに仰向けに倒れており、その横でもう一人の大学生が立ちすくんでいた。私の車は一旦は通り過ぎたが引き返して二人を家まで送った。

事を思い出したときに感じた

「人は巡り巡って助けられる物だと」
それとも
「山の神」(^^)/
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