立てば芍薬座れば牡丹踊る姿は薔薇の花?

古希から喜寿へ向かうGrandmotherが、つれづれなるままにシニアライフをつづります。

夏の服装・食材の選択(武田邦彦氏「科学者の日記」より)

2011-05-22 14:34:58 | 日記
写真は、支笏湖温泉側から観た風不死岳(右)と樽前山(左)

科学者の日記110521  夏の服装・食材の選択
http://takedanet.com/2011/05/110521_ed3b.html

昨日はさんまさんの「ホンマでっか」の収録をして、私にとっての激動の1週間がおわりました。

国会やテレビ、それに福島の講演と多くの経験ができたと同時に、疲れた1週間でもありました。

・・・・・・・・・

徐々に福島原発の事件も第3段階に入りつつあります.

福島原発の破裂で最初の1週間で60京ベクレルほどの放射性物質が出ました。60京というと余りに大きいので、わかりにくいのですが、そのうちの10分の1、6京ベクレルぐらいが日本の大地に降り注いだと思います。

そして、福島、東京などこの地方にお住みで直接に影響を受けた人を3000万人としますと、一人あたり、20億ベクレルの放射性物質ということになります。


放射性物質の多くが最初の段階で1000分の1ぐらいになりますから、20億ベクレルと言っても、実際に私たちに影響があるのは、

「一人あたり200万ベクレル」

というところでしょう。

水、ホウレンソウ、お米、お茶・・・いろいろな食材の「汚染限度」はおおよそ200ベクレルぐらいですから、その1万倍の放射性物質が空から降ってきたと言うことになります。

実は、私が「慎重に行動してください」と呼びかけてきたのは、今度の事故で放出された放射性物質は実に膨大で、どんな専門家でも、その影響をすぐ予想できるようなものではないのです。

「安全だ」を強調したお医者さんもおられますが、失礼ですが、とうてい今までの経験で、お医者さんが判断できるような状態ではないのです。

再び呼びかけますが、学校関係者、自治体関係者、専門家のみなさん。このことを良く理解して、「判らないことは判らない」と言い、「判らないことは注意してください」と言ってください。

間違っても「判らないから安全だ」というのは禁句です.

・・・・・・夏の服装・・・・・・

ところで、夏に向かって、子供達にどのような服装をさせたら良いのかというのがお母さん方の悩みと思います.

私は「軽装、シャワー」の組み合わせを推奨します.

放射性物質は「粒(チリ)」で、肌から直接、体にしみこむものではありません。そして服装の上についても肌に直接、くっついてもその粒からの放射線で被曝する量は変わりません.

むしろ、シャツに付くと洗濯するまでとれませんが、肌についたものはシャワーでとれます.

だから、お子さんは「軽装、かえってきたらシャワー」の組み合わせで夏を乗り切ることができます。

・・・・・・お茶・・・・・・

静岡の茶葉が放射性物質の検査をしない方向に進んでいます.一方では、良心的な福島の農家が厳密に放射性物質を測定し、中にはほとんど汚染されていないものも出てきました。

まずは静岡茶を買わないことです。お茶は「生産するだけで良い.お茶を買って飲む必要は無い」と静岡県知事は言っています.だから、お茶は生産だけして捨ててしまった方が良いと思います.

「検査しない」ということは「飲む人が被曝する」可能性があるということで、生産者は、「安心できるお茶を提供し、被曝させない」ためには「飲まない」ことしか出来ませんので、静岡は「生産だけして、飲まなくて良い」と言っているのです。

茨城の野菜も知事が規制値を緩和するように働きかけているのですから、これも「生産だけしたら、食べなくて良い」ということです。福島の方が今では綺麗かも知れません。つまり、

「福島の農作物は汚染されている」

という時期から、

「汚染は広がり、測定しているものは安全」

という時期に変わって来ています.静岡でも岩手でも汚染が出てきましたし、汚染された瓦礫が京都に、福島の乳牛が北海道にでも行けば、日本全体が汚染される可能性があります。

汚染された瓦礫(基準内でも)から風で吹き飛ばされた放射性物質が農作物の表面に濃縮する可能性が高いからです.

農業の人は瓦礫の引き受けに猛烈に反対しなければ、日本全体の農作物が汚染されます.

環境省は「放射性物質が風で飛ぶ」ということを知らないようです.

・・・・・・ホットスポット・・・・・・

もともと、放射性物質は均等には空気中から落下しないので、ホットスポットがあるのは間違いありません。

また、東京でも「ミニ・ホットストップ」は多くあり、特に驚くことはなく、日常的に「怪しいところ」を避けなければなりません。

その点で、市民の健康を守るために税金を払っている自治体は困りものです.

1) 1年1ミリという日本の法律を知らずに、1年100ミリまで大丈夫などと言っている、

2) 1年100ミリ以下の健康被害は「現代の医学では明確な影響を示すことができない」、つまり「判らない」と言っているので、自治体は「わからない」を「安全」と勝手に言っている、

3) ホットスポットの汚染を除去するのが面倒なので、「そんなはずはない」とか「安全」とか、「地上の高いところで放射線を測ってなにが悪い」などと言っている。

市民税を払う必要は無いですね。事故が起こって2ヶ月も経っているのにまだ行動しないのですから、どうしようもありません。

・・・・・・・・・

ところで、福島原発は「東電社内のトラブル」であって、私たちには何も関係がないのに、報道は相変わらず原発の3号機、4号機を報道しています.

知りたいのは「詳細な汚染マップ」であり、「詳細な食品毎の測定値」ですから、政府も報道も早く目を覚まして欲しいものです。

「茶葉の検査拒否」は哀しい事件でした。

水が何ベクレル、ホウレンソウが何ベクレル、牛乳は? 魚は? コメは? 空間は? 溝は? 芝生は?????????

その測定値はヨウ素ですか? セシウム? ストロンチウム???? 

そんな多くを覚えることは出来ません。それにもともと私たちはそんなことを全く知らなくても安心して子供を育てることが出来たのです。

政府の無策、原子力安全委員会が「想定外を認めたこと」、保安院がサボったこと、そして東電、専門家・・・その集団がこんな事態を招いたのに、まだ「自分は当事者ではない」と思っている人たちばかりです.

個別の「規制値」や「現状」を知らなくても安心して生活が出来る・・・それは一にも二にも「誠実」、「信頼」です。これだけウソが次々と明らかになっているのに、同じ人がいくら「誠実」を口にしても、もう無理です.

今でも東電の発表を聞いている人がいるのに驚きます.

(平成23年5月22日 正午 執筆)