サテュロスの祭典

神話から着想を得た創作小説を掲載します。

兎神伝〜紅兎四部(32)

2022-02-04 00:32:00 | 兎神伝〜紅兎〜革命編其乃二

兎神伝

紅兎〜革命編其乃二

(32)膝枕

揺れている…
ゆらゆらと揺れている…
揺籠に揺らされているようだ…
『アンッ…アンッ…アンッ…』
騎乗位に跨る若芽が、腰を動かす度に、優しい微睡に包まれてゆくのを感じる。
これで、子守唄でも聴こえてきたら、すぐにでも深い眠りに入ってしまうだろう。
恒彦が、ふと若芽の顔を見上げると…
『刑部(ぎょうぶ)様…』
若芽は、ニッコリ笑って恒彦の手を取り、乳房の方に誘った。
『若芽…』
恒彦も、歯に噛むような笑みを返すと、椀を逆さにしたような乳房を揉み、粒程の乳首を、指先で転がし出す。
『アンッ…アンッ…アンッ…』
若芽はまた、赤子の声にも似た喘ぎを漏らしながら、前にも増して、軽やかに腰を動かし出した。
揺れている…
ゆらゆらと揺れている…
穂柱を挿れる時は肉壁を緩め、出す時は強く引き締める…
時には、腰の動きを止めて、包み込む肉壁の動きだけで揉み扱く…
平蔵仕込みの朧流房術か…
いや…
平蔵なら言うだろう…
閨房の作法だと…
朧の里では…
いや、山人(やまと)達の間では、穂供(そなえ)は食と同じ、誰もが生まれた時から嗜む事を許された、命の営みとされていると言う。
赤子が産まれると、男児は母親や姉達に、女児は父親や兄達に、愛撫を受けて育てられると言う。
物心がつくと、愛撫の仕方を教え…
男児は神門(みと)を、女児は穂柱を、口で慰める事を覚えると、親達の見てる前で、近所の子供達と全裸で戯れ遊ばせるようになり…
七つを過ぎると、他家に預けて、その家の異性の大人達からも仕込まれ…
御祭神が目覚めると、好きな大人の異性より参道を開かれ、その後は自由に穂供(そなえ)を楽しむ事が許されると言う。
嗜みか…
俺も、そんな風に穂供(そなえ)を教わりたかった…
しっとり濡れた若芽の肉壁で、優しく穂柱を揉み扱かれながら、更に包み込む微睡の中、恒彦は思った。
恒彦の産まれ育った、御宮宿(おみやのやど)では、穂供(そなえ)は支配であり、搾取でしかなかった。
男による支配と搾取…
女はモノでしかなかった。
幼い頃から、目にするものと言えば、男達の手で玩具にされる年端の行かない少女達の弄ばれる姿…
耳にするものと言えば、弄ばれる少女達の咽び泣く声…
それは、兎津に連れられてくる青兎や穢兎ばかりではなかった。
恒彦の父である善治郎は、実の娘達もまた、進んで進物として、道具として、慰みとして、神職家(みしきのいえ)に差し出していた。
恒彦の姉や妹達は、絶えず屋敷に訪れる神使(みさき)や神漏(みもろ)の玩具にされ…
或いは、近場の社(やしろ)に献上されたりしていた。
全ては、大門船の鑑札を手に入れんが為…
更には、刑部職(ぎょうぶしき)の役職を手に入れんが為…
恒彦もまた、そんな父から最初に叩き込まれた事は、女をモノとして扱う事であった。
女をモノとして扱えるようになるまで…
男児も男とは見做されず、船に乗る事も許されなければ、褌を身につけさせても貰えなかった。
『と…父さん!兄さん!痛い!痛い!』
『ええいっ!泣くな!女はな、こうやって扱うんぞ!こうだ!こうだ!』
『さあ、しっかり舐めろよ。女にさせる前にな、おめえがしっかりコイツの味を覚えねえとな。』
物心ついた頃…
恒彦は、来る日も来る日も、田打と称しては、父や兄達に、尻や口に穂柱を捻り込まれ続けた。
父や兄達にされる事に慣れると、宿場の渡瀬人(とせにん)達からも田打を受け…
やがては…
『ほほう、此奴がおまえの七人目の息子か。』
『へぇ。お味の方は、如何でござんしょう。』
『フムフム…裏参道の締め付けと言い、舌使いと言い、なかなかなものではないか。
男離れした容姿と言い…
このまま、褌を締めさせ、船に乗せるのが惜しいのう。』
『まあ、それも、コイツが白穂を放てるようになった時、一端に女を扱えるかどうかで決まりやすがね。』
『で、女を扱えなければどうする?』
『そいつは、決まってるでやしょう?女を扱えねえ奴は、女として扱うしかござんせん。』
『成る程…では、その時は、それがしが飼うてやろう。たんまり、礼も弾むでな。』
『その時は、よしなに…』
と…
宿場に訪れる、神職家(みしきのいえ)の男好きな者達の相手をさせられるようになった。
『よしよし!おめえも、一端に白穂を放てるようになったな!』
十一の時…
乱暴に鷲掴む父の手の中、初白穂が放たれると、七つになったばかりの妹をあてがわれた。
女の扱いを覚える為である。
『良いか、俺達がおまえにしてやったように、コイツにもしてやれ。最初は、おめえがされたのと同じように裏参道、それができたら、今度は参道の中に白穂を放って、おしめえだ。それで、おめえも褌を締めて、一端の男になれるんだ。』
父の善治郎はそう言うと、全裸に剥かれ、兄達に手足を抑えつけられている妹に、恒彦を嗾けた。
『アッ!アッ!アッ!キァァァァーーーーッ!』
恒彦が、尻の裏神門(うらみと)に指を捻り込むや、妹は耳を劈くような悲鳴をあげた。
指先を締め付ける、裏参道の肉壁の感触が、幼き頃から父や兄達に抉られた時の苦痛を蘇らせる。
されど、この時の恒彦に、妹に憐憫を寄せるゆとりなど一片もなかった。
これをしなければ…
父や兄達…
宿場の男達に、赤兎の如く苛まれる地獄が永遠に続くのだ。
『ヒィィィィィーーーーーーーーーッ!!!!』
背中を弓形に、身体を仰け反らせ、延々と凄まじい声を上げ続ける幼い妹の裏参道を掻き回しながら思った事…
それは…
一刻も早くこの中に白穂を放たねば…
一刻も早く白穂を放ち、男として認められねば…
この地獄を終わらせたい…
女のように扱われる地獄を終わらせたい…
それでも、まだ、尻の裏参道を指で掻き回している間は、胸の疼きはあった。
自分がされた時の苦痛を重ね、妹を哀れむ気持ちもあった。
しかし、それも…
『ヒッ!ヒッ!ヒッ!ヒャーーーーー!!!!』
いつの間にか、極限まで膨張していた穂柱を、尻の裏参道に捻り込んだ瞬間、全て吹き飛んだ。
ただ、疼く穂柱を締め付け、扱かれる心地よさに我を忘れ…
気づけば獣じみた声を上げ、悲痛に泣き叫ぶ妹の裏参道を、夢中になって抉り続けた。
そして…
『ウッ!ウッ!ウッ!ウォォォーッ!!!』
『キャーーーーーーーーーーーーッ!!!』
恒彦の咆哮と妹の悲鳴が交差する中、溢れんばかりの白穂が放たれた瞬間…
『よしよし、よくやった!』
『どうだ、気持ちよかっただろう?』
『さあ、次はいよいよ表参道を通ってやれ。』
『表参道を通ったら、お前も一端の男だ。褌を締めさせて貰えるぞ。』
父や兄達が一斉に手を打ち鳴らし、肩を叩いて言う言葉に、完全に人間である事を忘れ、雄の野獣と化していた。
これで、褌を締める事ができる…
赤兎のように、股間を晒して街中を歩かなくて済む…
何より、女のように男達の玩具にされずに済む…
生暖かな肉壁に締め付けられ、扱かれる心地よさに良い知れながら、頭の中はその思いでいっぱいになった。
気づけば…
『痛いよー!痛い痛い!やめて!やめて!お願い!もうやめてーーー!痛い!痛い!痛い!』
『えいっ!黙れ!喧しい!大人しくしろっ!』
抗い泣き叫ぶ妹を、父や兄達と一緒になって、殴り、蹴飛ばし、踏みつけながら、血塗れになった小さな股間を抉り続けていた。
そうして、何日にもわたって、恒彦は延々と妹を責め苛み続けた。
一度、中に出す心地良さを覚えてしまえば、もう止まるものではなかった。
十五を間近にし、一番盛りの時でもある。
放っても放っても、白穂は尽きず…
白穂の疼きは鎮まる事を知らず…
一日に何十回、妹の中に放ち続けたか、自分でもわからなくなっていた。
そもそも、心地よさに我を忘れていた恒彦の頭から、その間の記憶は全て消し飛んでいた。
漸く我に帰ったのは、妹を苛み始めて半月もした頃…
幼い妹が冷たい骸と化している事に、気づいた時の事であった。
妹を責め殺してしまった…
その事を知った瞬間は、とんでもない事をしてしまったと言う思いに凍りついたが…
『でかした!よくやった!これで、おめえも今日から一端の男だ!』
父に肩を叩かれ、念願の褌が与えられると、その罪悪感も消し飛び、むしろ誇らしい気持ちとなった。
この日を境に、父を親父、兄達を兄貴と呼ぶ事を許された恒彦は、それまでの地獄の日々すらも消し飛んで、一端の男として、渡瀬人(とせにん)として、宿場を闊歩するようにもなった。
父から、玩具代わりにあてがわれた妹達や、宿場の娘達を、取っ替え引っ替え弄ぶ事にも夢中になった。
しかし…
十五の時…
始めて乗せられた船に激しく酔い、倒れた。
渡瀬人(とせにん)達の間では、女を扱い、船に乗れ、喧嘩できる男だけが男である。
まともに船に乗れぬ男は、例え船主の息子であっても、男とは見做されない。
最早、いつ川に捨てられてもおかしくない、荷物に過ぎなかった。
恒彦もまた…
『チッ!役立たずが!野郎ども!コイツを捨てちまえ!』
吐き捨てるように言う父親、善治郎の命じるままに、川に投げ捨てられるところであった。
それを、必死で止めに入ったのは、たまたま同じ船に乗り合わせていた、薊と言う青兎であった。
『出て来い、出て来い、お白穂さん…
出て来い、出て来い、お白穂さん…』
何とも優しげな声と、股間を弄る柔らかな温もり…
気づけば、恒彦は柔らかな少女の膝を枕に寝かされていた。
『気分はどうですか?』
少女は、心配そうに恒彦の顔を覗き込みながら、あの歌声と同じ優しげな声で尋ねてきた。
『おめえは?』
『薊です。』
『薊…おめえが、ずっと俺を?』
『まだ、お顔の色が優れません。もう少し、お休みください。』
薊はそう言うと、また、あの歌を歌いだした。
『出て来い、出て来い、お白穂さん。
出て来い、出て来い、お白穂さん。』
同時に、また、股間を弄る柔らかな温もり…
恒彦は、この時になって、はたと気づく。
いつの間にか褌が外されている事を…
同時に、その意味を知り、深い絶望感にもとらわれる。
妹を責め殺し、漸く一端の男と認められて締める事を許された褌…
意識を失っている間に外されていると言う事は…
男として失格者と言う烙印を押されたのと同じ事であった。
そんな彼を慰めるかのように、更に優しい響きを帯びて聴こえてくる歌声…
『出て来い、出て来い、お白穂さん…
出て来い、出て来い、お白穂さん…』
そしてまた、股間を弄る柔らかな温もり…
見れば、薊は歌いながら、恒彦の穂柱をそっと揉み扱いていた。
恒彦が、再び薊の顔を見上げると…
『おっ…お嫌でしたか?』
歌と手を止めて、身を固くした。
『お父さん…泣いてなかなか眠れない時、これをして差し上げると、とても喜んで、ぐっすり眠ってくれたから…』
『父さんが…泣く?』
『はい。私が赤兎の皮剥が決まってから、田打をする度に泣いていて、なかなか眠れませんでした…
それで、私…』
『続けてくれ…』
『えっ?』
『今のを続けてくれ…俺も眠れそうだ。』
恒彦がぶっきらぼうにそっぽ向いて言うと、一瞬、首を傾げた薊は、静かな笑みを浮かべ…
『出て来い、出て来い、お白穂さん…』
また、歌いながら、恒彦の穂柱を揉み扱き出した。
それから、恒彦は毎日、薊の歌声と穂柱を揉み扱く温もりに目覚めた。
歌声も心地よければ、穂柱を揉み扱く温もりも心地よかったが…
何よりも、薊の膝枕の感触がとても心地よかった。
恐らく…
この時、恒彦は産まれて初めて、深く眠れたのではないかと思う。
今にして思えば…
この頃、目覚めている時の記憶と、眠っている時の記憶は、実に曖昧なものであった。
眠っている間も、見る夢は、薊の膝に抱かれて介抱されている夢であり…
目覚めて、最初に見る景色も、薊の優しげな笑顔であった。
最初は、水も受け付けなかった恒彦は、少しずつ、薊の手から粥を啜れるようになった。
『アッ!』
『アッ!』
二人が、同時に声をあげたのは、恒彦が漸く自分で椀を持って粥を啜れるようになった頃…
いつものように、恒彦を寝かしつけようと、穂柱を揉み扱いていると、いきなり噴水のように白穂が放たれた時であった。
『あっ…あの…あの…申し訳ありません…』
白穂塗れにした手をどうして良いか分からず、泣きそうな顔をする薊を見て、恒彦は思わず声を上げて笑いだした。
すると…
『あの…あの…』
しばし、途方にくれた顔をする薊もつられて笑い出した。
漸く二人の笑いがおさまった時…
『凄く、気持ちよかったぞ。』
『気持ち…良かった…』
『ああ、一気に常世に登った気持ちだった。』
恒彦は言うなり、薊を押し倒すや、脚を大きく広げさせた。
『えっ?あの…』
思わず顔色を変える薊は、すぐに何が始まるのか察し、されるがままになった。
男が、こうやって自分にする事はみな同じ…
それは、九つで皮剥を受けた時から、わかりきってる事であった。同時に、そう言う男達に対しては、絶対服従する事も叩き込まれていた。
きっと…
他の男達と同じように、指や異物で参道を掻き回し…
固くなった穂柱で、気の済むまで抉り続けるのだろう…
薊は、歯を食いしばり、拳を握り締めると、覚悟を決めて身を固くした。
しかし…
『アッ…アッ…アッ…アーンッ…アン…アン…アーン…』
気づけば、薊は赤子のような声をあげて、喘ぎ出していた。
『どうだ?気持ち良いか?』
薊の股間に顔を埋め、仄かに若草を茂らせた神門(みと)のワレメに沿って舌を這わせた恒彦は、束の間、顔を上げて尋ねてきた。
『えっ…あっ…はい!』
薊は、これまで男達がするのとは違う事に戸惑いつつ、慌てて返事をすると…
『そうか。俺の妹もな、いつも、俺に可愛がられてビービー泣いてるくせに、これをしてやると気持ち良いって言って、大人しくなるんだよ。
これで、おあいっこってもんだ。』
恒彦はまた、薊の神門(みと)をワレメ線に沿って舐め始めた。
『出て来い、出て来い、お白穂さん…』
『出て来い、出て来い、お白穂さん…』
薄闇の船底で過ごす日々…
朝夕の訪れも、日の過ぎる数も知る術はない。
ただ、薊の歌声と穂柱を扱く感触に目覚め、一緒に歌い出した時が、恒彦にとって一日の始まりとなった。
『出て来い、出て来い、お白穂さん。』
『出て来い、出て来い、お白穂さん。』
恒彦は一緒に歌いながら、薊の顔を見上げると、薊は優しく微笑みかける。
恒彦もまた、悪戯っ子のような笑みを返して、その頬を撫でると…
『出て来い、出て来い、お白穂さん…』
『出て来い、出て来い、お白穂さん…』
また、一緒に歌いだし…
やがて…
『ウッ…ウッ…ウッ…』
恒彦は、下腹部の辺りから、何やら込み上げるものを感じるや、腰を浮かせて爪先を突っ張らせ…
薊は薊で、恒彦の絶頂の訪れが近い事を察すると、穂柱を扱くのをやめて、代わりに口に咥える。
『ウーッ…ウッ…ウッ…ウーッ…』
恒彦は、生暖かな口腔内で、先端をチロチロ舐められる感触と、吸い上げられる感触とに、一段と腰を浮かせて爪先を突っ張らせて行き…
『ウゥゥゥゥーッ…』
一際、声を上げて腰を浮かせたまま静止させると、薊の口腔内に多量の白穂を放った。
薊は、尚も舌先を動かし続けながら、放たれた白穂を一滴余さず呑み込んでゆき…
恒彦が放ち終えると、尿道が空になるまで、穂柱を吸い続けた。
『さあ、今度はおめえの番だ。』
恒彦は、漸く穂柱が解放されると、薊を押し倒して、帯を解き、着物を襟裾を開いて、胸と股間をむき出しにする。
薊も、最初にされた時のように怯える事なく、満面の笑みを浮かべて、されるままになる。
『アンッ…アンッ…アンッ…』
恒彦は、薊の漏らす甘えるような声に聞き耳を立てながら、椀を逆さにしたような乳房を揉み、小さな乳首をしゃぶり、神門(みと)を弄り撫で回す。
『アーンッ…アッ…アッ…アーンッ…』
恒彦が、乳首を吸う唇を、腹部から下腹部、股間へと、舌先でチロチロ舐め回しながら移動してゆくに連れ、薊の喘ぎは小刻みとなり…
やがて、股間へとたどり着き…
『アンッ…アンッ…アンッ…アーンッ…』
一段と軽やかになる喘ぎに合わせ、ワレメ線に沿って神門(みと)を舐め回す恒彦は、急に動きを止める。
見れば、仄かに若草の茂る神門(みと)はしっとり濡れ、小さくはみ出す内神門(うちみと)のヒダは、ヒクヒクさせている。
恒彦は、再び極限まで膨張した穂柱を疼かせながら、薊の股間に釘付けになった。
玩具代わりにあてがわれた妹になら、ここで有無を言わず、我を忘れて穂柱を貫かせていただろう。
いや…
既に三回は、中に放っているところである。
しかし、この時は、何故か泣き叫ぶ妹達の顔ばかりが脳裏を掠めた。
同時に、自分が父や兄達にされた時の事を思い出した。
恒彦にとって、穂柱を貫かれる事は痛い事であった。
痛い事をされる事は支配される事であり、する事は支配する事であった。
妹達にし続けてきた時は、妹が痛がって泣き叫べは泣き叫ぶほど、支配者になれたような陶酔に浸ってもいた。
それが、今は何故か、胸の疼きとなって、次の行為に移れなかった。
すると…
『恒彦様、いらして。』
薊は自ら両手と一緒に脚を開いて、笑いかけた。
『薊…』
『さあ、早く…』
恒彦は、取り憑かれたように、薊の神門(みと)に穂柱を押し当てると、ゆっくりと腰を落としていった。
『アンッ…アンッ…アンッ…』
穂柱が、参道の奥へ奥への挿るのに合わせ、薊はまた、甘えるような声を上げる。
『薊…』
『恒彦様…』
尚も躊躇いがちな恒彦は、うっとりするような薊の眼差しと目線を絡み合わせると、漸く何かふっきれたように、激しく腰を動かしていった。
揺れている…
ゆらゆらと揺れている…
或いはそれは、川面を走る船底だからだったのかも知れない。
しかし、今度の揺れは、最初に船に乗ったときと違って実に心地よい…
揺れによる酔いもまた、心地よい。
まるで、雲に浮かび上がるような、不思議な酔い心地…
まだ、酒の味を知らなかった恒彦は、これが酒盛りの味なのかとも思った。
酔えば酔うほど、更に欲しくなり…
欲するままに呑み干せば、更に酔いは深くなる。
『アンッ…アンッ…アンッ…アンッ…』
『ウゥッ…ウゥッ…ウゥッ…ウゥッ…』
二人の喘ぎが交差する中…
恒彦の腰の動きは止まらなかった。
薊の中に放っては、また膨張し…
極限まで膨張しては、また薊の中に放つ…
その度に、下腹部から全身に広がる暖かな感触…
包み込まれるような温もり…
こんなにも暖かいものだったのか…
こんなにも安らかなものだったのか…
揺れている…
ゆらゆらと揺れている…
妹達を貪り食っている時、一度も感じた事のない、心地よい揺れ…
一日は、この心地よい揺らめきの中に過ぎて行き…
気づけば、また、薊の膝枕に顔を埋めて、眠りについていた。


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