読んでいて自分に突き刺さったところです。
◆◆「カルヴァン派の特徴(生まれる前から神に選ばれる人は決まっているという考え)は、試練に対して強いことなんです。選ばれいるに違いないから、目前の試練を乗り越えようとするわけですよ。競争にも強い。絶対にあきらめないから。欧米で資本主義がこんなに発展したのは、実はカルヴァン派ガプロテスタントの主流だからでもあるんです。」◆◆
(感想)西欧の資本主義の発展の要因としてカルヴァン派の考え方が大きく影響していたことはなんとなく暗記程度に知っていましたが、理由がよくわからないままでしたが、こうもあっさりと短文で明朗解決してしまう佐藤優は流石です。
◆◆「人間はそれほど合理的な生きものじゃないっつうの。あらかじめ美味と安全を与えられると、今度はまた違う病理を抱えることに絶対なると思う。マルクスだってさ、頭のいい人だったけど、理論どうりにはいかなかったわけじゃない。
私が思うに、経済学にしろ何にしろ、人間の「非合理性」を計算に入れていない理論ってのは必ず失敗するんじゃないかな。
人間は常に予想外というか計算外の非合理的な動きをするの。したがって完璧な理論は人間の非合理性によって、必ず失敗する運命にある、と。
幸せのマニュアルは書けない。」※途中中略しています。◆◆
(感想)中村うさぎさんの言葉で、まったくその通りだと思いました。
たとえば会社の給与システムを、毎月完全定額支払い制(固定残業制など)を導入するなどして給与保証をすると、だんだん働く意欲を減退させるという病理現象が生じ会社の体質に変調をきたします。
定額給与保証は、安定感を第一に求める女性はまだしも、本質的に競争原理の中で生きている男性にとっては、労働の活力を削がれ、今度は欲求のベクトルが「なるべく楽をしたい」に向かうと思います。従業員全体に広がってしまえばこれは会社の病理現象となってしますと思います。
ですので、賞与として成果に基づく報奨制をプラスするなど、働く人の欲求を計算しコントロールしない給与設計は失敗すると思います。
すこしずれてはいますが、話の内容に自分の経験として符合した部分があり、自分の中に突き刺さりました。
◆◆現代社会において神様は収縮して小さくなり、そのぶん人間に自由をくれたわけです。だから人間は、自由の限界まで自分たちの力でやらなければならない。◆◆
(感想)昔大学の授業で、西欧ではギリシャ神話の話を子供に教えていて、その内容は、人間は創造神から地球創造の際に不要として捨てられたパズルのかけらの存在だから自由を持っている、と言っていたことを思い出しました。
神様はよく思われているような平等で博愛精神をもっている存在ではないと、今でも思っており、そう考えたほうが世の中に不条理が横溢していることを説明できるのでは、と思っています。
村上春樹「海辺のカフカ」にも「神様のやることはだいたいにおいてよくわからないんだ。怒りっぽいし、あまりになんというか、理想主義的な傾向があるしね。」ということが書かれています。