与一から出て来た生き物の記録

奇妙な生き物。早朝の自宅ガレージ奥の「与一」の中から、様々な働きをする者たちが生まれています。その有様と効能の記録です。

そらの物語・57 「小話1・斎元の学習」

2011-07-18 08:00:18 | そらの物語


 


57


ー  小話1 ー


斎元の学習


 


「斎元」は、はじめて「そら」と二人で出かけた時から、


”学ぶ事”が多かった。


 



 


@1・・・「そら」は待ち合わせの時間と場所の確認を何度も繰り返し、


それにずっと付き合った後でないと、無事な当日を迎える事ができない、という事。


「そら」からの「確認メール・確認電話」は10回20回と執拗に続く。


そのやり取りを1回でも怠ると、「そら」は時間や場所を間違えてしまうのだ。


他に「そら」は、どこも「行きたい所」がない、という事。


「そら」は「斎元と一緒」であればそれだけでいいのだ。


だから自然と行き先を決めるのは「斎元」の役回りとなる。


 


@2・・・「そら」の”バッテンナンバー”のスクーターは、「斎元」には大問題だった。


「盗難車」は、”よろしくない”。


「初・デート」の折にも「そら」は平気で”それ”でやって来たが、


「”それ”はいけない」という会話から「初・デート」は始まった。


「斎元」は「自転車」を買ってやる事を約束したが、きわめて低所得の「斎元」にとって、


「一万円を超える買い物」は、かなりな”奮闘”が必要だった。


電気・ガス・水道・電話料金を一カ月支払わずにおく事で、


その資金はどうにかなり、その話しは現実となった。


 


@3・・・「そら」は”手をつなぐ”事が大好きだ、という事。


はじめは「人目」が気になる「斎元」だったが、それははじめだけだった。


どこに行く時も、スッと「斎元」の左側。


「斎元」はそんな「そら」が可愛くてならなかった。


「斎元」は時折強く抱きしめたくなったが、それはさすがにできなかった。


しかし、そうして欲しい「そら」の気持ちも「斎元」は分かっていた。


「人のいない所で・・」と思っていたが、


そうした状況になっても、なぜかその「勇気」が湧かなかった。


 


@4・・・「そら」は一つの会話が「尻切れトンボ」に終わっても、


何んら気にしない、という事だ。 「あの話しは何んやたっけ?」などとは言わない。


また、「えびすメンバー」の誰がどうした、という話しが多かったが、


全く同じ話しを何度繰り返しても、「そら」は違和感を感じない。


だから「斎元」も「あ、またその話し・・」と思っても気にしない事にした。


「そら」が嬉しそうに話しているのを見ると、「斎元」も嬉しくなるからだ。


 


@5・・・「そら」に何かを説明する時は、あまり長い例えや言い回しをすると、


わからなくなってしまう、という事。


「そら」は、わからなくなると、黙ってしまうのだ。


「話しの内容」は理解できていなくても、


「「今の話し」を自分が理解できなかった」、という事は理解できるからだ。


だから、「斎元」の親友の田川も一緒の時など、


仕事の話しで盛り上がったりするが、「斎元」は必ずその内容を、


「そら」が分かるような言葉に並べかえて、もう一度話すのだ。


 


 


 


この”学習”は「斎元」にとって、楽しくてしかたがなかった。


「そら」の事が分かれば分かる程に、「斎元」は自分の生命の奥底に、


”勢い”が生まれるのを感じるのだ。


 


 


 


 


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