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「そらの起き上がりコブシ」
「そら」が おかしくなった
壁に向かってあぐらをかいて座り 「起き上がりコブシ」の動きをしながら
時折 携帯を見つめては 笑っている
その日は朝から「Hiたかお」もおかしかった
特にハッキリと”おかしくなった”のは この日の早朝からだったので
この”おかしな二人”を発見したのは 当然 早起きの「カイ」だった
いつもなら「カイ」が起き出す 午前5時過ぎには
もう「なないろ」に到着している「Hiたかお」が
「なないろ」の廃材置き場で ”点滅”しながら気絶していたのだ
記録的な豪雨となるこの日の 早朝の廃材置き場で
「たかおくんが死んでしまった!!」 と
「ゆきりんとぽち」が大騒ぎで走り回っていた為に
「Hiたかお」の発見は 幸いにも雨が降り出す前となったのだ
「なないろ」について間なしに彼を襲った激しい”点滅”は、「1号」・「ネコ」・「ヘビ」たちが起き出してくる頃になると「マメ電球」程度に収まってはいたが、痛ましく横たわる身体のあちこちから軽く”煙”が立ち昇っていた。閉じこもった「そら」は、起き出してきた皆が いくら呼びかけても「起き上がりコブシ」のままだ。
”ドンドンドンッ!!!”とドアを叩きながら 「お~いっ!!6号~!!!」と「カイ」。「あいつ、聞こえてるのに・・・無視やな・・」。 「なないろ」の寝室は、寝るスペース程の広さしかないのでドアを叩く音が聞こえない、という事はまずない。 「お~いっ!6号~!メシにしよぉ~!出てこ~い!」。 「おれのせいかも知らんわ・・おれ、一ヶ月くらい前・・・あの時、めっちゃ怒らしたから」と自分で言っておいて 徐々に責任を感じて小さくなりそうな「ネコ」。「だからぁ、どんな事言うてんって!?」と 「ヘビ」。3人の”北斗の拳体系”の男達がドアの前に集合して ゴチャゴチャ話す姿は 少し可愛げがある。 その後ろから「・・いや、原因は・・・携帯や・・あいつの携帯電話」。「Hiたかお」が 痛みの残る弱い声で言った。 「あっ!たかおさん、気が付いた?」と「1号」が、「Hiたかお」の頭を冷やす為に 炊事場でタオルを濡らしながら「たかおさん、”煙り”まだ出てるで(笑)」と続けた。「1号さん、すんません・・あの原因はあいつの携帯の写メですわ。”写真、撮るから”って、昨日一緒に行ったんですよ、そこのコンビニに。で、何撮るんかなって思ってたら、入り口の所に灰皿あったでしょう?アレばっかし”バシバシ”撮りだして・・その後、あいつがその写メを見るたんびに、ボクが点滅する・・・やめろって言うても”もう一回だけ”とか言うて、またパチッと携帯を開けて、で、ボクがまた・・・そんな感じで。今、たぶん、又それを見てたんでしょう?」。 「うん、さっき見てたけど・・今は・・・起き上がりコブシですねぇ・・」と「ヘビ」。「カイ」が思い出した。「ああっ!!たかおさん、あの時の”あれ”ですね!あああっ!思い出した!あの、ヌボ~っとした感じの”兄ちゃん”がおって!・・」。「そうそう、たぶん、原因はそれですね!その”兄ちゃん”を写メ見て思い出してるんですよ!!あれから時々、今みたいな感じになったり、ならんかったり。 今朝はそれが最高潮やったって事ですね、要するに」。「んんんん??でも、何んで?その”兄ちゃん”の事を??知り合いでもないんでしょ?、あ、また起き上がりコブシ」 覗き見る体勢のまま「ネコ」。「うん、”しらない人”って言うてたな」。
「・・・・・ボクの予感では・・奴の携帯を見るときの表情とかから考えられるのは・・」。「考えられるのは??」
「恋です!!」 「はあ??」
「なないろ」の朝はこの様に始まった
”しらない人”について 様々な憶測や解釈をひとしきり語りあって
結局は「よくわからん」という所に落ち着く以外なく
皆 降り出した雨の中を それぞれの仕事へ出発した
「そら」は 閉じこもったまま 何ら返答ははしないままだった
昼過ぎになって 寝室から出てきた「そら」の携帯がなった
「あ、なんか来た!」
それは「1号」からのメールだ
「おい、6ごう! おまえ、さいきん、なんかへんやな
?だいじょうぶか
」
「6号」に返信をさせる”コツ”は 「ひなかな」で分かり易く書くこと と
「絵文字」を入れる事だ
「おいいちご! へびがいちごのこと愛してるてゆうてたで
」
「こらっ6ごう
おまえ、ちゃんと おれのしつもんにこたえろ!
おまえ、さいきん、なにか、なやんでるんか??」
「なにゆうてんの?」
「わからんふりするな なにか、なやんでることは ばれてるぞ
しんぱいごとでもあるんやろ??メールでいいから言うてみ!」
ちょっとタイミングを空けて「そら」メール
「しんぱいことわいろいろあるでいろいろおもてかんがえて しんぞうのところがごちやごちやとなでます
」
「そうか。それやったら、じぶんひとりでなやまんと、おれでも、カイさんでも、えんりょせんと、うちあけたら、だいぶんすっきりするぞ
」
「うん
」 「いつでもいいぞ
、おまえが”よっしゃ”っておもったときに、はなしてくれたらいいから
」
「いちご おれうまくゆうわれへんから、ゆうのやめとくわおれはだいじようぶです
」
「わかった!でも、みんなおまえの家族やからな おまえのこと、みんなしんぱいしてるから、今、いろいろかんがえて、しんどいのやったら、しばらくゆっくりして、そのあとで、元気になったらええ!
」
「これ みんなおまえのなにてかいてるの?」
「 みんな、おまえの”かぞく”って書いてある
」
「かぞくやなそれわいいかんじやな
なんでもゆうたらいいねんな
?」
「そういうことです
」
この「1号」とのやり取りの結果、この日の夜には無事「6号」は皆と食卓を囲む事ができた。「1号」はメールの事については何も言わず、「そら」も普通にしていた。皆はこの日の雨で仕事がどれほど大変だったかで、のどかに盛り上がっていた。
豪雨の夜、「なないろ」の外には5~6台の、不審なバイクが停車した。
その者達は、「なないろ襲撃」の気迫に満ちている。
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うっわぁ~!それもまた、大変そうですね~
「自分の方がお風呂に入ったみたいに(笑)・・」なるんですね
それでふっと思い出したんですが、僕と嫁は2~3週間に一回、「サナトリウム」ってとこに診察を受けにいくんです。
これは嫁の神経症の調子を診てもらう為なのですが、今は調子が安定しているので、「診察」といっても、ほとんど「先生とおしゃべりをしに行く(笑)」みたいな、軽い「お散歩」的な診察なんですね。
そこでしょっちゅう見かけるのが、「介助のおねえさん」の奮闘です。
車いすのお年寄り夫婦(かな??)と来られてます。その”おねえさん”、いつも、めっちゃ「笑顔」なんですけど、いつもめっちゃ「汗だく」なんです
だいたい、僕と嫁は二人とも、診察までの待ち時間が耐えられなくて(すぐたばこが吸いたくなる
夫婦が”グル”だから、二人とも捕まらない(笑)
そこで、その”おねえさん”の奮闘を見てて、見かけるたびに、なぜか「すずさん」の話しになるんですよ(笑)~
「うっわ~!大変そうやな・・」とか言いながら。
そんな事をふっと思い出してしまいました。
ー「そら」くんと「斎元」さん
そらくんと斎元くんの感じと、「僕とこ夫婦」はビミョ~に良く似ています(笑)。
だいたい「そら」くんのモデルが自分の嫁だから、それはしかたがない
「そら」くんの”ことば使い”とか”メール”とかは、「嫁と僕」のやり取りをそのまま使っている所もあるくらいです
でも、うちの「お嫁ちゃん」は「そら」くん程プリティーな感じではない(笑)し、僕は「斎元」くんほど「ヌボ~」っとはしていませんよ
ー私にも似たような経験が、あるような、ないような(笑)ー
みんな一回はあるでしょう
ただ、ここでおもしろいのが、「そら」くんと「斎元」くんは、両方とも「男の子」だ
女の子が男の子を想うような感じとは、似ている所もあるけど、ちょっとちがう
「微妙」・・・なんですね
そこが、やっててめっちゃ面白い
「そら」くんは男の子っぽい所もあるけど、ちょっと「中性的」な感じもある。時折、「恋する少女(笑)」の様な感じになる事もある
「何気なく渡されたメモをそっとバックにしまっておく
ほら、ロ~ングになってきた(大笑)
でも、もうそろそろ時間がなくなってしまったので、ここらで切り上げます。本当はもっと、バカみたいに長~い「お返事」ですずさんをビックリさせてやろう
コメント&追加のコメント(笑)ありがとうございます~
ろんぐ、ろんぐ?
へっ・・・へびになってる!?
お仕事、大変そうですね。
夏物の出荷時期って、汗だくになるし、
かなり体力もいりますから、ついつい無理をしがち。
思わず、「乗りきらなくちゃ~」
と、意気込みがちですよね。
私もスーパーで荷出しをしていた頃、そうでした。
そして今は更に汗かいてます。
日付けが変わってしまいましたが、昨日は入浴介助の日でした。
自分の方がお風呂に入ったみたいに汗たらたら~です。
水分補給もままならないくらい忙しいですが、自分が倒れないようにしなきゃ~と思いながらやっています。
ただのお便りになってしまいましたが、また、来ますね~
すず
お察しの通り、仕事の方が過激で・・
本来なら自分の記事をUPしたあと、友達になって下さったみんなの所へ遊びに行っては”どば~っとコメを置いて回る”という僕の楽しみが奪われたまんまで、とりあえず「これ」だけはキッチリと更新させて・・みたいな感じでやってます
本当にコメ頂くばかりで、申し訳ない限りなんですが、とにかく「今」を乗り切ために奮闘しております
ところでココさん、ココさんのblogはまたもや”メンテ中”か何かですか(笑)?
ホームは見れてもblogに入れなかったのですが・・・
ー「そら」くんの写メー
そらくんに取っての「たまらない気持」をどうにかしようとする表現が、この「写メ」と「起き上がりコブシ」の動作(笑)。
そうそう、「Hiたかお」くんにはかなり迷惑なんですね~
この辺、実はけっこう「詰め込んで」るんですよ。
話しを早く進めたいあまりに、2つの話を1つに詰め込んでしまってて、説明的になりすぎたかも知れません
「Hiたかお」くんの気絶シーンも本当は細かくあったんですが
サラッと行きました(笑)
ーイラストの表情ー
このそらくん、もう少しあとでまた出てきます
「バージョン1(笑)」です
よくみると、”はしっこ”の方にもう一人の部分が入ってしまってます
色の感じとか雰囲気とかがもう少し違った感じで、忘れたころにもう一回、今度は「バージョン2(笑)」で登場しますので、お楽しみに~
ーそらくんの家族ー
父=「1号(笑)」
母=「カイさん(笑)」
で、兄ちゃんたち(笑)が、「ネコとヘビ」みたいなイメージです。それが”本当の家族”ではなくて、「本人たちが勝手に決めた家族」ってとこが、お気に入りなんです
逆に「本当の家族」よりも”ホンワカ”しているかも知れません
「血の繋がり」も大事なんだけど、「家族なんや!」っていう「意思」も、もっと大切・・みたいな
「黙っていられないココさん」パワー(笑)で、かなり元気を頂いてしまいました(笑)
あまり勢いをつけられると、どんどん突っ走ってしまいそうです
あ、こちらも長くなってしまいました
いったい、初めてここに来た人はビックリするんじゃないかな(笑)
”この人達のコメは何っ??”ってな感じで(爆笑)
下に「すずさん」もコメント頂いていますが、これまたロングロングロ~んぐ(笑)!!
今日はお返事できませんが明日には負けじとロ~ングでお返事しようと思ってます
ココさんパワー”あふれだし”のコメント、本当にありがとうございました~
な~んて羨ましい、井川さん御夫妻っ!
…じゃなかった、(失礼!)
そらくんと、歳元さん。
コンビニで何枚も何枚も撮った灰皿の写真を
眺めては よろめき・・・
また、見つめては にやけてしまい・・・
頬が緩みっぱなしだったんですね。
そらくん、かわゆい
直接、本人を撮影できないから、(?)
だって、まだ、現時点では そらくんにとって
歳元さんは、知らない人なんですものね、
・・・で、関連のあるものを激写?して、
それを何度も見つめては彼を思い出し、
幸せ気分に浸ってしまう・・・
な~んか、私にも似たような経験があるような、ないような気がします。
もっとも、私は写真に収めることはしませんけど、
何気なく渡されたメモをそっとバックにしまっておく、くらいのことはしましたね。
遠い昔のことですけど。
「恋」
している、そらくんの表情。
ぽお~っと
夕焼けみたい。
益々続きが楽しみです。
無理せず、更新してくださいね。
すず
こんにちは
井川さんの勢いに追い付かず、なかなかコメが残せなくて「もったいなーい!」と騒いでおります(笑)
この一つ前の記事にもも一つ前の記事ににもコメしたかったのに
言いたいこといっぱいあったのに
「だまってられないココ」が私の中でざわざわしっ放しですヨ
それにしてもじわじわと面白くなってきました。
もうハラハラしっぱなしです
そらくん、斉元さんと同じように一目惚れだったんですね
斉元さんの写メを何度も何度も見返すくだりがピュアすぎて可愛くてたまりません
Hiたかおにはいい迷惑ぽいですが…(笑)
そしてこのイラスト、たまらない表情ですね。
これは大事な大事な宝物を見つけたカオだと思います。
誰かに自慢したくなるクワガタみたいなものじゃなくて、そっと握った指を開くのも勿体ないような、でも嬉しくて何度も何度も覗いてしまう、そんな宝物。
いい顔じゃ(笑)
1号始め、なないろのメンバーのそらくんに対する不思議なほど自然な家族愛(笑)もこの物語の大きな支点ですね
ずっと前、何かの折りに
「そらくんが一人ぼっちにならなければいい。愛されて受け入れられたらいいな」
と言った時、
「そらくんの周りはそんな人たちばっかりです」
と答えてくれた井川さんの言葉を思い返しています(*´ー`*)
長くなってしまいました
この「そらの起き上がりコブシ」を皮切りに、事態は急展開に。
しかも悲しいことが起こるのだと分かっている読み手にとっては微笑ましくも切ないお話でした
うあー