薄れてゆく、薄れてゆく____。
時が経つほどに、それは積み重なり育まれるはずのモノなのに、どうしようもなく、指の間をとめどなくすり抜ける砂は容赦なくこぼれ落ち、ぼく自身になにも残さない。
日入りの時刻ちょうどに、鳥たちが一斉に合図を交わし枝々から飛び立つ。一瞬で小さな塊になって暮れ行く空に消えた。刻々と闇にまぎれてゆく空。
動けずにそのままぼんやりとしていた。ぼんやりと、さっき見た夢の断片を夕闇の空に垣間見ていた。ずっとそのまま、じっとぼんやりしていたら、ふと、懐かしい匂いに振り返る。誰かに呼ばれたような、そうだったらいいのにと、視線の先を探す。
それとも懼れる影の近づく気配か。ぼくの矢印は光を失くし呑み込まれる。
ぼくの秘密は彼らのもの。ぼくはもうその手の中で踊るだけ。道化のように踊るだけ。そうして、踊っていることすらぼくの中には残らない。
重たい風が光をさらい、ただただ薄れゆく。そう、薄れてゆくだけ。
だけど、だから、ぼくは何度でも砂を掴むんだ。
きみが、迷わないように。
時が経つほどに、それは積み重なり育まれるはずのモノなのに、どうしようもなく、指の間をとめどなくすり抜ける砂は容赦なくこぼれ落ち、ぼく自身になにも残さない。
日入りの時刻ちょうどに、鳥たちが一斉に合図を交わし枝々から飛び立つ。一瞬で小さな塊になって暮れ行く空に消えた。刻々と闇にまぎれてゆく空。
動けずにそのままぼんやりとしていた。ぼんやりと、さっき見た夢の断片を夕闇の空に垣間見ていた。ずっとそのまま、じっとぼんやりしていたら、ふと、懐かしい匂いに振り返る。誰かに呼ばれたような、そうだったらいいのにと、視線の先を探す。
それとも懼れる影の近づく気配か。ぼくの矢印は光を失くし呑み込まれる。
ぼくの秘密は彼らのもの。ぼくはもうその手の中で踊るだけ。道化のように踊るだけ。そうして、踊っていることすらぼくの中には残らない。
重たい風が光をさらい、ただただ薄れゆく。そう、薄れてゆくだけ。
だけど、だから、ぼくは何度でも砂を掴むんだ。
きみが、迷わないように。