いつからだったろう、僕は朝をあきらめていた。
夜が更けるにつれ意識がはっきりとして気分も次第に上がっていく。
なのに明け方、窓に薄い光が見えはじめると、なぜか絶望の淵を見てしまったような気分になる。
その白き光が僕を見つける前に、この世界から離れたくなる。
気づかれないよう気配を消すため布団の中へ逃げ込み隠れる。
あのころの僕は、同じ場所にずっといて、僕自身をあきらめていた。
ある夜、誰もいない深夜の公園で滑り台に上り、殆ど見えない星を見ていた。
そういえば「宮沢賢治」という名の星があると前に聞いたのを、その時ふと思い出した。なんだか変だな、と感じたこともまた思い出す。
人は星である、と誰かが言った。
その星々は各々の人であるから、宇宙の輪廻に人はいて、誰かの命が果てると星がひとつ消えるのだと。巨星去る、とは言い得て妙だと。
でも古来、とあのときも僕は思った。
夜が更けるにつれ意識がはっきりとして気分も次第に上がっていく。
なのに明け方、窓に薄い光が見えはじめると、なぜか絶望の淵を見てしまったような気分になる。
その白き光が僕を見つける前に、この世界から離れたくなる。
気づかれないよう気配を消すため布団の中へ逃げ込み隠れる。
あのころの僕は、同じ場所にずっといて、僕自身をあきらめていた。
ある夜、誰もいない深夜の公園で滑り台に上り、殆ど見えない星を見ていた。
そういえば「宮沢賢治」という名の星があると前に聞いたのを、その時ふと思い出した。なんだか変だな、と感じたこともまた思い出す。
人は星である、と誰かが言った。
その星々は各々の人であるから、宇宙の輪廻に人はいて、誰かの命が果てると星がひとつ消えるのだと。巨星去る、とは言い得て妙だと。
でも古来、とあのときも僕は思った。
古来人々は夜空を見上げその星々を謳ってきた。
人はいつか去り、残された人々は星空を見上げ、そこにかつて愛した人たちがいるのだと、願い祈る。
星になる人がいる。
その人だった星は時を同じくして消えると誰が言った。
本当のことなんてどちらでもいいことが沢山ある。
時に星は消え、そして人は星になる。
それでいいじゃないか。
矛盾が誰かのなぐさめになるのであれば。
僕は空を見上げ、宇宙のどこかでいじけて隠れる自分の星に思いを馳せた。
矛盾が誰かのなぐさめになるのであれば。
僕は空を見上げ、宇宙のどこかでいじけて隠れる自分の星に思いを馳せた。
不思議と愛着が湧いてくる。
まったく何やってんだか。出て来いよ。
そして僕が去ったあと、誰かが僕を思って空を見上げる影を想像する。
うん、いいんじゃないかな。
空の端が白々と夜から抜け出そうとしている。
今朝は、この薄明かりが僕を見つけにやって来るのを、もう少し待ってみようか。
空が薄く色づいてゆく。
僕はぼんやりとやわらかな心地で、明けてゆく空を久しぶりに見ていた。