お話

日々思いついた「お話」を思いついたまま書く

続・ちょっとした事(あるいは、ちょっとした怪談)

2008年07月26日 | Weblog
 ちょっとした事なんですが、聞いてくださいますか?

 明け方近く、リビングの冷蔵庫のドアが開いた音で目が覚めました。
 子供が自分の部屋から出て来て(私には優秀な息子二人と美人で可愛い奥さんが一人いるのです)何か飲み物で探しているんだろうと、リビングと続いている畳敷きの和室で寝ている私は、狸寝入りよろしく目を閉じたまま、聞き耳だけを立てて様子を窺っていました。
 がさごそと音がしていました。やがて、冷蔵庫のドアが閉められた音がしました。おどかしてやろうと思い、私はぱっと起き上がり、冷蔵庫を見ましたが、誰もいません。入れ違ったのかとも思いましたが、息子がリビングから出て行くドアの音も、廊下を歩く音も、自分の部屋のドアの開け閉めの音も、何にもしません。私の隣では可愛い奥さんがすうすうと寝息を立てています。
 おどかすつもりが、おどかされたと言った感じで、ちょっと口惜しい思いをしました・・・


 ちょっとした事なんですが、聞いてくださいますか?

 以前、スーパーマーケットで仕事をしていた時、配送のトラックなどが直接乗り付けて荷卸しするバックヤードと呼ばれる場所と、各部門と通じている連絡通路との仕切りに、どちら側からも開けられる観音開きのアルミ板を張ったドアが設けられていました。その上部にはそれぞれ透明なプラスチック製の楕円形の覗き窓が付いています。
 ある天気の良い昼下がり、バックヤード内は逆光になっていて、明るい外の陽射しが当たらず、薄暗くなっていました。何気なく覗き窓から見てみると、逆光の中、完全に影法師状態の男性が仁王立ちをしてこちらを向いていました。「社員かな? 誰だろう?」と思って見ていると、突然その影法師は、覗いている私から見て右側へと、走り去って行きました。なかなか良い走りっぷりでした。
 私は誰だか知りたくて、すぐドアを開けたのですが、誰もいませんでした。影法師が走った方向には壁しかありません。非常口もある側ですが、そのドアはもっと手前なのです。
 結局、誰だったのか、なんだったのかは分かりませんでしたが、あの走りっぷりは、非常口表示灯の走っているポーズのデザインとそっくりで、それを見かけるたびに「良い走りっぷりだったなぁ」と今でも思い出しています・・・
   

    信じる信じないは皆様次第でござりまするぅ・・・




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