1
ぼくには持病がある。
人の生き血を吸うと言う、とんでもない病気、「吸血鬼病」だ。
幸い吸血鬼が畏れる太陽の影響はなく、普通に健全な生活が出来ている。
ところが、突然、人の血が吸いたくなり、抑えが利かなくなる。
男女を問わず、首筋に噛みついて血を吸うわけだけれども、相手が死ぬほどは吸わない。
献血よりもちょっと多めに吸わせてもらうだけだ。
まあ、そう言う意味でも健全だろう。
しかし、悲しい事がある。
この病は治しようがないそうだ。
しかも、吸血鬼だから、不死身の身体になってしまった。
ならば仕方がない。
この病と上手に付き合うしかない。
ほどほどに人を襲い、ほどほどに人の血を吸い、生きて行くしかないだろう。
ぼくはそう開き直った。
ところが、この病気、感染力が強かったようだ。
ぼくに襲われた人が「吸血鬼病」になってしまい、別の人を襲った。
そして、襲われた人も「吸血鬼病」になって、さらに別の人を襲う……
気が付いたら、世界中の人が吸血鬼になってしまった。
そうなると、困った事が起きる。
血を吸う相手が居なくなると言う事だ。
不死身とは言え食べ物が無くなってしまったら話は別だ。
ボクたち吸血鬼は、あっという間に滅んでしまった。
2
わたくしには持病がございます。
恥ずかしゅうございますが、「雪女病」と申すものでございます。
わたくしの触れるものは皆、凍ってしまうと言う、厄介な病なのでございます。
それも、突然に発症致しますので、わたくしにはどう仕様もございません。
ほとほと、困り果てておりました。
ところが最近、某漢方薬が効くとの話を聞きまして、取り寄せました。
効能書きには、最低一年間は服用する事とございました。
それで治るのなら、安いものでございます。
わたくしは服用を続けました。
漢方薬は体質改善を目指しているとの事。
服用し始めてから数か月で効き目が出始めました。
冷え症だったからだが、いつも温かになりました。
冷たい物を好んでいた食べ物の嗜好も、温かい物へと変わりました。
「雪女病」の発症は次第に間隔が開き、ついには全く現れなくなりました。
それで、一年が経ちました。
完治したのでございます。
わたくしは嬉しくなりました。
時期は夏でしたので、頑張った自分へのご褒美と言う事もあって、海水浴へと赴きました。
しかし、それがいけませんでした。
海水の塩分が刺激になったのでしょうか、海に入った途端、症状が出てしまったのでございます。
あっという間に海が凍りはじめました。
海は世界と繋がっております。
世界中の海が凍りました。
海には河川が注いでおります。
世界中の河川も、それに繋がる湖も凍りました。
海も河川も湖も底まで凍りつきました。
冷気が地球を包み、太陽の熱くらいではどうにもなりませんでした。
地球は、再び氷河期になってしまったのでございます。
ぼくには持病がある。
人の生き血を吸うと言う、とんでもない病気、「吸血鬼病」だ。
幸い吸血鬼が畏れる太陽の影響はなく、普通に健全な生活が出来ている。
ところが、突然、人の血が吸いたくなり、抑えが利かなくなる。
男女を問わず、首筋に噛みついて血を吸うわけだけれども、相手が死ぬほどは吸わない。
献血よりもちょっと多めに吸わせてもらうだけだ。
まあ、そう言う意味でも健全だろう。
しかし、悲しい事がある。
この病は治しようがないそうだ。
しかも、吸血鬼だから、不死身の身体になってしまった。
ならば仕方がない。
この病と上手に付き合うしかない。
ほどほどに人を襲い、ほどほどに人の血を吸い、生きて行くしかないだろう。
ぼくはそう開き直った。
ところが、この病気、感染力が強かったようだ。
ぼくに襲われた人が「吸血鬼病」になってしまい、別の人を襲った。
そして、襲われた人も「吸血鬼病」になって、さらに別の人を襲う……
気が付いたら、世界中の人が吸血鬼になってしまった。
そうなると、困った事が起きる。
血を吸う相手が居なくなると言う事だ。
不死身とは言え食べ物が無くなってしまったら話は別だ。
ボクたち吸血鬼は、あっという間に滅んでしまった。
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わたくしには持病がございます。
恥ずかしゅうございますが、「雪女病」と申すものでございます。
わたくしの触れるものは皆、凍ってしまうと言う、厄介な病なのでございます。
それも、突然に発症致しますので、わたくしにはどう仕様もございません。
ほとほと、困り果てておりました。
ところが最近、某漢方薬が効くとの話を聞きまして、取り寄せました。
効能書きには、最低一年間は服用する事とございました。
それで治るのなら、安いものでございます。
わたくしは服用を続けました。
漢方薬は体質改善を目指しているとの事。
服用し始めてから数か月で効き目が出始めました。
冷え症だったからだが、いつも温かになりました。
冷たい物を好んでいた食べ物の嗜好も、温かい物へと変わりました。
「雪女病」の発症は次第に間隔が開き、ついには全く現れなくなりました。
それで、一年が経ちました。
完治したのでございます。
わたくしは嬉しくなりました。
時期は夏でしたので、頑張った自分へのご褒美と言う事もあって、海水浴へと赴きました。
しかし、それがいけませんでした。
海水の塩分が刺激になったのでしょうか、海に入った途端、症状が出てしまったのでございます。
あっという間に海が凍りはじめました。
海は世界と繋がっております。
世界中の海が凍りました。
海には河川が注いでおります。
世界中の河川も、それに繋がる湖も凍りました。
海も河川も湖も底まで凍りつきました。
冷気が地球を包み、太陽の熱くらいではどうにもなりませんでした。
地球は、再び氷河期になってしまったのでございます。
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