「ホームズ! これはなんと言う猟奇的な事件なんだ!」
私は読んでいた朝刊をホームズに渡した。ホームズはざっと目を通し、鼻で笑い
ながら返してよこした。
「若い女性が深夜にナイフらしき凶器で刺殺されたぐらいじゃ、君には“猟奇的”
でも、僕にはとてもそうとは言えないな」
「じゃあ、聞くが」私はホームズの態度に、いささかむっとして言った。「どんな
のが君にとっては“猟奇的”なんだい?」
「そうだな・・・」ホームズはゆっくりと話し始めた。「どこかの狭い路地の奥で
若い娘が、顔は眠るが如く、そして衣類は肌も露わにズタズタにされ、しかも腹は
ナイフで引き裂かれ、滑らかな肌と対照的などろどろしたはらわたを無残に引きず
り出され、あたりは血の海だ。ついでにその血で路地の壁に何か文字でも書かれて
いれば、言う事なしに“猟奇的”だな」
ホームズの息が少し荒くなり、目に恍惚とした光が宿っていた。
「そうか・・・ それが君の好みか・・・」
私はメスをしのばせたジャケットの胸ポケットをそっと叩き、今夜こそはと心に
誓った。
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私は読んでいた朝刊をホームズに渡した。ホームズはざっと目を通し、鼻で笑い
ながら返してよこした。
「若い女性が深夜にナイフらしき凶器で刺殺されたぐらいじゃ、君には“猟奇的”
でも、僕にはとてもそうとは言えないな」
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のが君にとっては“猟奇的”なんだい?」
「そうだな・・・」ホームズはゆっくりと話し始めた。「どこかの狭い路地の奥で
若い娘が、顔は眠るが如く、そして衣類は肌も露わにズタズタにされ、しかも腹は
ナイフで引き裂かれ、滑らかな肌と対照的などろどろしたはらわたを無残に引きず
り出され、あたりは血の海だ。ついでにその血で路地の壁に何か文字でも書かれて
いれば、言う事なしに“猟奇的”だな」
ホームズの息が少し荒くなり、目に恍惚とした光が宿っていた。
「そうか・・・ それが君の好みか・・・」
私はメスをしのばせたジャケットの胸ポケットをそっと叩き、今夜こそはと心に
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