「ホームズさん・・・」レストレイド警部は訪ねて来るなり、困惑した顔で言った。「あの『赤い毛糸事件』の犯人は全く違う人物でしたよ・・・」
「どう言う事だね、レストレイド警部?」私は憮然とした顔のホームズの代わりに聞いた。「まるでホームズの推理が間違っていたような言い草だが」
「実は、そうなんですよ。真犯人の男が名乗り出て来て、全てを詳細に告白したんです」
「なんだって!」
「それで困っているんですよ」
「レストレイド警部・・・」ホームズは静かに言って立ち上がった。「何を困っているんだね。有名人の知人と言う事で、今まで得た恩恵を無にしてしまうつもりかね?」
それを聞いたレストレイドはにやりと笑った。
数日後、真犯人と名乗り出た男は妄想狂と診断され、郊外の精神病院に送られた。
「ホームズ」私はこの事件記録を暖炉に放り込みながら言った。「いつものように、この事件の題名だけは残しておいてもいいかね?」
「構わんよ」ホームズは燃えて行く事件記録を見ながら言った。「そうしておけば、ホームズの語られざる事件として、後世の変わり者が、全く別な手柄話を創作してくれるかもしれないからね」
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それを聞いたレストレイドはにやりと笑った。
数日後、真犯人と名乗り出た男は妄想狂と診断され、郊外の精神病院に送られた。
「ホームズ」私はこの事件記録を暖炉に放り込みながら言った。「いつものように、この事件の題名だけは残しておいてもいいかね?」
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