南国のリゾート地の豪華な大邸宅で、美女軍団に囲まれて、札束をあたり構わず撒き散らし、かんらからからと高笑い。
そんな時、どこからともなく電話の鳴る音。
「全くこんな所まで追いかけてくるとは、どこのどいつだ」
美女の一人が微笑みながら、純金製の受話器を手渡してくれた。面倒臭そうな仕草で受け取る。
「もしもし……」
しかし、電話が鳴り止まない。思わず受話器を見つめる。
「一体どうなってるんだ」
次第に音が大きくなる。それに合わせるように美女が、札束が、大邸宅が、ぐるぐると渦を巻いて一塊になって行く。
渦巻く速度が速くなり、最早何がなんだかわからなくなった時、コーイチは目が覚めた。
あわてて布団から飛び起きた。枕元に転がっている時計は七時半を示している。
「まずい! 遅刻だ!」
コーイチは大あわてで着替えるとアパートから飛び出し、階段を駆け下りた。
最後の一段を踏み外し、幸い転びはしなかったが、抱えていたカバンを落としてしまった。
落としただけなら良かったが、ちゃんと閉めていなかったのか、中味を全部道路にまいてしまった。
行き交う人が白い目で見ながら通り過ぎて行く。
コーイチは「いやいやいやいや、まいったなあ」と、苦笑いを浮かべ誰に言うともなしに言いながら、ぶちまけた中味を大急ぎでかき集め、カバンに押し込み、駅へと走り出した。
つづく
そんな時、どこからともなく電話の鳴る音。
「全くこんな所まで追いかけてくるとは、どこのどいつだ」
美女の一人が微笑みながら、純金製の受話器を手渡してくれた。面倒臭そうな仕草で受け取る。
「もしもし……」
しかし、電話が鳴り止まない。思わず受話器を見つめる。
「一体どうなってるんだ」
次第に音が大きくなる。それに合わせるように美女が、札束が、大邸宅が、ぐるぐると渦を巻いて一塊になって行く。
渦巻く速度が速くなり、最早何がなんだかわからなくなった時、コーイチは目が覚めた。
あわてて布団から飛び起きた。枕元に転がっている時計は七時半を示している。
「まずい! 遅刻だ!」
コーイチは大あわてで着替えるとアパートから飛び出し、階段を駆け下りた。
最後の一段を踏み外し、幸い転びはしなかったが、抱えていたカバンを落としてしまった。
落としただけなら良かったが、ちゃんと閉めていなかったのか、中味を全部道路にまいてしまった。
行き交う人が白い目で見ながら通り過ぎて行く。
コーイチは「いやいやいやいや、まいったなあ」と、苦笑いを浮かべ誰に言うともなしに言いながら、ぶちまけた中味を大急ぎでかき集め、カバンに押し込み、駅へと走り出した。
つづく
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