万葉集には、自然、草花、四季、生き物などがたくさん登場します。
今日、紹介するは、生き物を詠んだ 牛(うし) の歌です。
万葉集/巻16-3838 作者/安倍子祖父(あべのこおぢ)
我妹子(わぎもこ)が 額(ひたい)に生(お)ふる 双六(すごろく)の
牡(ことい)の牛の 倉(くら)の上の瘡(かさ)
【意味】俺のかかあの額(ひたい)に生えた〈角(つの)ではなくて〉双六の
〈駒ではなくて〉特負(ことい)の牛の
〈鞍ではなくて〉倉の上の 〈屋根でも笠でもない〉おでき
※「双六」奈良時代に中国から伝えられた室内遊戯。
※「牡の牛」重い荷を負うことのできる強健な雄牛。
※「瘡」できもの。はれもの。
※〈私の妻のひたいにおできができた〉ということを、
まわりくどさで表現した歌である。
万葉人が豊かな自然の中に暮らした時代を歌で楽しみましょう。
※写真は、Canvaのフリー写真素材を使用