11月1日は「犬(いぬ)の日」です。
万葉集には、犬(いぬ)を詠んだ歌があります。
今日は、生き物を詠んだ 犬(いぬ) の歌です。
万葉の時代も、「犬(いぬ)」と呼ばれています。
万葉集/巻13-3278 作者/不明
赤駒(あかごま)を 廏(うまや)に立て 黒駒(くろこま)を 廏に立てて それを飼ひ 我(わ)が行くごとく 思ひ妻(づま) 心に乗りて
高山の 峰のたをりに 射目(いめ)立てて 鹿猪(しし)待つごとく 床(とこ)敷きて 我(あ)が待つ君を 犬な吠えそね
【意味】赤い馬を厩舎に立たせ 黒い馬を厩舎に立たせ
餌を与えて大事に育て 私が乗って出かけるように
かわいい妻が心に乗って
高い山の尾根のくぼ地に 射目を設けて体を伏せて
獣を待っているようにして 床(とこ)を敷いてわたくしが待つ
あの人を 犬よ 吠えないで
※「たをり」たわ。山の尾根のくぼんだところ。
※「射目」狩りのとき、鳥獣を射るために射手が身を隠す設備。
※「鹿猪」食用になる獣。鹿や猪。
※「犬な吠えそね」〈な~そね〉しないでくれ。
※前半は男の歌、後半は女の歌。
万葉集には、自然、草花、四季、生き物などがたくさん登場します。
万葉人が豊かな自然の中に暮らした時代を歌で楽しみましょう。
※写真は、Canvaのフリー写真素材を使用
「犬の日」の由来は、昭和62(1987)年、「ワンワンワン」という犬の鳴き声が3つ並ぶ日にちなみ、11月1日が犬の日とされた。