『源氏物語』32帖 梅枝(うめがえ)
明石の姫君の成人式
光源氏39歳春 太政大臣時代
[明石姫君の裳着]
2月、六条院では、明石の姫君の裳着の準備に忙しく、光源氏が薫物合わせをしていました。その時、前斎宮から、梅の枝に結ばれた手紙と瑠璃の香壺が届きました。薫物合わせの後、管弦の遊びで弁少将が「梅が枝」を謡う。その美声は素晴らしいものであった。
※裳着とは女性の成人式にあたる儀式であり、初めて正装し、一人前の女性として認められる。
※薫物合わせは、各自が独自の香を持ちよってそれぞれの香りを鑑賞したり、その香りのイメージに合わせた和歌を詠んだりするもの
巻名は宴の席で弁少将(内大臣の次男、後の紅梅大納言)が歌った催馬楽にちなむ。
※写真は、「梅」/無料(フリー)写真素材を使用
[春宮(東宮)の元服]
同じ2月、東宮が元服し、左大臣の三君(麗景殿女御)が入内した。
内大臣は、夕霧との一件で雲井雁が入内できないことを残念に思った。
夕霧は雲井雁を慕い続け、時折手紙を出していた。
【源氏物語32帖に出てくる主な登場人物】
光源氏(ひかるげんじ)
第一部、第二部の物語の主人公。亡き母にそっくりと言われている藤壺の中宮に恋をしてしまう。
その後も亡き母・桐壺更衣の面影を求め、様々な恋愛遍歴をたどる。
紫の上も、女三の宮も藤壺の姪である。光源氏は藤壺中宮の血縁者に強く心を惹かれる人生だった。
明石の姫君(あかしのひめぎみ)
光源氏と明石の君の娘。
紫の上に引き取られて養育される。東宮妃として入内し、四男一女を出産する。
夫の東宮が天皇として即位し、中宮となる。
内大臣(もと頭中将)
左大臣家の息子であり、光源氏のいとこ。葵の上の兄である。光源氏にとっては親友であり、恋のライバルでもある。
夕顔との間に娘(玉鬘)をもうける。
雲居の雁(くもいのかり)
頭中将の娘であり、夕霧の正室。
夕霧とは幼馴染で、二人とも大宮に育てられた。子だくさんであった。
夕霧が落葉の宮に心を寄せるようになった際には嫉妬するシーンが描かれている。
夕霧(ゆうぎり)
光源氏と葵の上の息子。
イケメンだが、真面目で恋愛下手である。雲居の雁と妾の藤典侍だけしか
妻がいなかったが、柏木の没後、未亡人の落葉の宮に惹かれ、妻とする。
NHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。