『源氏物語』40帖 御法(みのり)
紫の上、死去
光源氏51歳 准太上天皇時代
紫の上43歳(死去)/夕霧30歳
明石上42歳/明石中宮23歳/秋好中宮42歳/薫4歳/匂宮5歳
※源氏物語での「准太上天皇」(じゅんだいじょうてんのう)は、天皇に準ずる位。
[紫の上の法華経千部供養]
紫の上は大病以来日ましに衰弱した。
紫の上は病気がちになられ出家を願いますが、光源氏はお許しになりません。3月10日、紫の上は二条院で法華経千部の供養を行った。
巻名は、紫の上が花散里に詠んだ和歌にちなむ。
「絶えぬべき御法(みのり)ながらぞ頼まるる
世々にと結ぶ中の契りを」
※写真は、「僧侶の後ろ姿のイラスト」/無料(フリー)イラスト素材を使用
※御法(みのり) は、仏法を尊んでいう語。また、仏事、経文、読経など、広く仏教に関する事柄を尊んでいう。
[紫の上の死]
紫の上の容態が急変した。
夏の暑さにますます衰弱なさいました紫上は、儚い命を、前庭に咲く萩に降りた露にたとえて、歌を詠み交わし、8月14日の晩、光源氏と明石の中宮に見守られながら紫の上は静かに息をひきとります。
『おくと見る程ぞ儚きともすれば
風に乱るる萩の上露(紫上)』
『ややもせば消えを争ふ露の世に
遅れ先立つ程へずもがな(源氏)』
最愛の人を失った源氏の君の悲しみは深く……
光源氏は悲嘆に明け暮れ、出家の志を固めた。
※写真は、「萩(はぎ)」/無料(フリー)写真素材を使用
【源氏物語40帖に出てくる主な登場人物】
光源氏(ひかるげんじ)
准太上天皇となった光源氏は栄華を極める。
朱雀院の娘、女三の宮を正妻とするが、女三の宮は柏木と通じてしまう。
最愛の妻・紫の上の没後、亡くなったことが示唆される。
紫の上(むらさきのうえ)
光源氏の最愛の妻。女三の宮が源氏の正妻となることにショックを受ける。
胸の病気にかかった上、六条御息所の怨霊にとりつかれ、一時絶命するが蘇生。
しかし体調は完全には戻らず、43歳で亡くなる。
明石の中宮(もとの明石の姫君)
光源氏と明石の君の娘。
紫の上に引き取られて養育される。東宮妃として入内し、四男一女を出産する。
夫の東宮が天皇として即位し、中宮となる。紫の上が母親がわり。
花散里(はなちるさと)
桐壺帝の妃である麗景殿の女御の妹にあたる姫君。
容貌は美しくないが、慎ましく静かな人。長く訪れなくても恨みごとを言わない。
光源氏からは大切にされ、六条院の夏の御殿に住まわせてもらえる。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。