『源氏物語』36帖 柏木(かしわぎ)
女三の宮の出産と出家、柏木の死
光源氏48歳正月-秋 准太上天皇時代
柏木33歳(死去)/夕霧27歳/女三の宮23歳/薫1歳
※源氏物語での「准太上天皇」(じゅんだいじょうてんのう)は、天皇に準ずる位。
[女三の宮の出産]
翌春、女三の宮は男の子(薫)を産み、父朱雀院に哀訴して出家した。
帝は柏木の重病をあわれみ、権大納言に叙された。
[柏木の死]
柏木は見舞いにきた夕霧に秘密を打ち明け、光源氏の許しを乞い、落葉の宮(柏木の妻)の行く末を頼んで亡くなった。
4月、夕霧は落葉宮を訪ね、柏木をしのんだ。将来を嘱望されていた柏木の死を誰もが惜しみます。
巻名は柏木の未亡人落葉の宮の母・一条御息所が詠む和歌にちなむ。
「柏木に葉守の神はまさずとも
人ならすべき宿の梢か」
※写真は、「カシワの葉っぱ 新緑」/無料(フリー)写真素材を使用
【源氏物語36帖に出てくる主な登場人物】
光源氏(ひかるげんじ)
准太上天皇となった光源氏は栄華を極める。
朱雀院の娘、女三の宮を正妻とするが、女三の宮は柏木と通じてしまう。
最愛の妻・紫の上の没後、亡くなったことが示唆される。
女三の宮(おんなさんのみや)
第二部の重要人物。朱雀院の内親王。藤壺の中宮の姪であり、紫の上のいとこ。
光源氏の正妻として降嫁するが、子どもっぽく頼りない性格で源氏をガッカリさせる。
柏木と不倫関係になり、息子・薫を出産。源氏の冷たい態度と罪の意識に耐えられず出家する。
柏木(かしわぎ)
頭中将の長男で、従兄弟の夕霧とは友人である。
血筋の高貴な内親王と結婚したいという強い理想を持った青年。
女三の宮の姿を垣間見して恋に落ち、密通の罪を犯す。
女三の宮は柏木の子を出産し、柏木は罪の意識により病気になり、亡くなる。
夕霧(ゆうぎり)
光源氏と葵の上の息子。イケメンだが、真面目で恋愛下手である。
雲居の雁と妾の藤典侍だけしか妻がいなかったが、柏木の没後、未亡人の落葉の宮に惹かれ、妻とする。
落葉の宮(おちばのみや)
朱雀院の女二の宮で、柏木の正室である。
柏木は、女三の宮に恋慕していたため、この正室を「落葉のようにつまらない人」と気に入らなかった。柏木が没した後は、夕霧の妻となる。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。