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実験のお手伝い

2008-09-19 20:19:27 | インポート
実験は一人でできないことはない。実際に自分が大学院生だったころは基本的に一人で全部やってしまおうという精神が強烈に働いていた。そのころはサルを被験対象とした研究だった。毎日訪れるおサルさんと自分とのコミュニケーションを誰にも邪魔されたくないと思っていたからかもしれない。それはそれでまぁ良かったと思う。めまぐるしく変化するサルの行動を実験者が理解するためにはサルと私が二人三脚で実験を進めていくことが研究を進めるために必須だったわけだ(私にとっては)。

現在は母子間コミュニケーションの研究をしている。被験者がサルからヒト、とりわけ母や乳幼児へと切り替わったことによってそれまでの考え方を変えなければならなかった。自分は男性、被験者は母親や小さなお子様、自分自身の手を動かして実験をすることは不可能ではないが、被験者の心理的な負担を考えると女性が対応する方が好ましいわけである。ゆえに、現在、実験で手を動かしているのは保育士免許を持っている研究補助員の女性。実験遂行のために私はヒトを操らなければならない。これは馴れないと難しいし、未だに慣れていない。自分でやりたくなってしまう。それでも補助員にお願いして自分が実験に満足するにはどうすればいいか。実験中の私の思考と同じような思考が補助員のなかでも行われればいいんじゃないか。ということは、プロシージャだけを教えるわけではなく研究の意義をしっかりと教えて理解してもらうプロセスが必要になってくる。といってもこれが難しい。研究者であれば考えていることが日を追うにつれて変化する。時に実験内容の拡大・縮小が起こる、最初と違うベクトルになることだって十分ありうる(と思っている)。だから、気がついたらすぐに軌道修正をしたり、再度研究内容を説明したりすることが必要だ。そうしなければ、「言われたことをなんとなくやってます」状態になってしまう(可能性がある)。そのように人を使うことが自分はまだうまくできていない。今日も、研究内容を説明するときは噛み砕いて説明しなければと考えつつ、勝手に体が動いていた。