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ちょっとした心の動きを綴ります

シナリオ

2011-02-24 | 小説
 部長の書く脚本はいつもぎりぎりになって出来る。まったく役者の苦労を分かってないんだから。私たちは本を貰ってから台詞を覚えるのよ。それを自分のキャラにするにはもっと時間がかかるの。
 「とにかく、今回はお客さんに泣いてもらう」
 部長は悲劇を書いているようだ。本が書き上がるのを待っている私たちは巣の中の雛鳥みたいなもの。部長の動きをひたすら追いかけている。
 学園祭の公演までまだ日はあるけれど、私たちの芝居は一体どうなるのだろう。