花菖蒲

日常やら何やらかんやら気儘に綴ります。気儘に。

三毛猫の追憶 其の肆

2021-04-07 19:58:00 | やつがれシリーズ~心を捜して~
想いと願いは
必ずしも比例しない
叶うとも限らない…
努力でどうこうなるものでもない。

己が望もうが
望むまいが
意図した方向には
征かない
普通であろう
ありきたりであろう
そんな風に
構えて
振舞えば振舞う程
己が望んだものにはならない
感覚が既に『普通』と
大いにかけ離れてる事に
気付いた頃は既に遅かった

目立ちたくないのに目立つ。
一歩引いたままで居たいのに踏み込む。
損な役回りになるのわかってて動く。
我乍ら呆れてしまう事が多かったな。

己の気持ちと感覚が必ずしも
一致するとは限らない
最善を選び取るとしたら
己の気持ちを捨てる
そんなのは当たり前で
それをやれば
やる程に
結局は普通やありきたりから
遠のいて征くばかりだった
普通ならば
気付かない
思い至らない
察さない
そんな事柄に
己が割と敏感な事に
三毛猫は二十代後半まで
気付かなかった
このアンバランスさが
己が望む
『普通』と『ありきたり』を
遠避けて征く
それに気付かないまま
三毛猫は葛藤し
呵責に悩まされ
過ごした

気付いた後に配置変えしてまぁた追い詰められたっけな…

1年くらい
三毛猫が本気を出さなくても
緩々と仕事出来る日々があった
そんなある日
上司は三毛猫にある依頼をする
見るに見兼ねて
依頼を受けた結果
己がどうなるか
ある程度
予測を付けた上で
ズタボロになるのを
承知の上で
依頼を受けた
けれど
結果は予測より
ズタボロにならないで済んだ
それは『平凡』で『安堵』
そんな感覚と時間を
白狐がくれた

配属先が同じになってから気持ちが益々
傾いたっけな。
大事な時間を貰ったなぁ。

『普通』や『ありきたり』
是等からは大きく
遠退く配置変えだった
けれど
ずっとそんな状態で在らずに
済んだ事は
三毛猫にとって
とてもとても大事で
それが無ければ
また潰れていたのだ
潰れるのを
覚悟して挑んだ
けれど潰れずに済んだ

普通ではなくなった
平和でも平凡でもなくなった
けれどそれに見合うだけの
穏やかな時間を確かに貰った
初めてバランスが良い環境に
身を置けた
そんな幸福な数ヶ月だった

三毛猫の追憶 其の参

2021-04-02 12:49:00 | やつがれシリーズ~心を捜して~
繋いだ手を見乍ら
三毛猫は思い出す

…第一印象ってアテにならない。
そんな教訓になったよなぁ。

第一印象は誰に対しても
当たり障りない
そんな印象を残すのが三毛猫
しかし
白狐に対してのみ
とても強く残った印象があった

「飄々としてる上に読ませない
挙げ句の果てに喰えないし寄せ付けない」

そんな印象から得た感覚は
己と少し似てる?
三毛猫はそんな気がしていたのだが
実際に触れて征くうちに
幾つか気が付いた
似て非なる部分がある
そう気付いた時
三毛猫の興味関心は
益々深まった
面白い
そう感じてしまった
似てるのに違う
ではその違いは何なのか
無性に知りたくなった
見たくなった
そして
白狐は必ず何かしら
三毛猫の視野を
世界を
感覚を
拡げ変えてくれた
特に意図はないだろう
けれど一緒に過ごしたり
会話したり
そんな他愛がない事
日常的な時間
そんなありふれたものから
三毛猫は色々なものを得た
どれもこれも
普通の環境で生きてきたなら
あまり気にはならなかったろう
でも三毛猫は違った
身近に居る者は
どんな者も皆
自分自身の事に手一杯で
自分自身の価値観でしかものを測れず
押し付けてくる
窮屈で退屈で
疑問には誰も応えてはくれず
応えれるだけのモノを
誰1人として持ち合わせては
居なかった
変わり者
そんなレッテルを
身近な者達に貼られた
それは三毛猫に
コンプレックスになった
そうして
『普通、ありきたり』を
自身に求める様になった

普通が1番で平和で其れを追い求めったっけな。
只管に…。

理想は普通でありきたり
なのに
求めれば求める程に
それは
遠ざかって征く…

三毛猫の追憶 其の弐

2021-03-17 14:42:00 | やつがれシリーズ~心を捜して~
色々あったよなぁ…

手を握ったまま
三毛猫は少しだけ
過去に浸る
心を開かない
そんな己が
こんなにも心を開く
それは間違いなく奇跡的で
三毛猫の
破茶滅茶を
支離滅裂を
破壊衝動を
受け止めきれる様な
そんな存在は
己で云うのも
難だと感じるくらいに
そうそう居ない
誰も彼も
信用出来る程
三毛猫は
心が広くはない
常に己に仮面を着け
強固な建前と云う名の
言の葉を
剣に盾に
自在に操り
のらくら
本心を隠して
生きてきた
時には
己をも偽り
時には
心とは真逆の感情を
表に出したり
そうやって
己を含めて
誰も彼も
何が三毛猫の本心なのか
それを
考えさせず
掴ませず
生きてきた
それなのに

気付いたら半分以上は
見せてたよなぁ心の内を…

ぼんやりと
会話をしたまま
三毛猫は耽る
己を
受け止め切れる者が
果たして
今の今まで
どれだけ居たか…
血の繋がった
親でさえも
受け止め切れずに
持て余した
そして
向き合う事なく
上辺だけの関係性を維持してきた
血縁関係
そんな関係性が1番
希薄で
薄情なものだ
そんなものが一体全体
何の役に立つ?
家族って繋がりは
深く大事なものを
与はしなかった
けれど
三毛猫は繋いだ手から
感じるものがある

三毛猫の追憶 其の壱

2021-03-10 11:03:00 | やつがれシリーズ~心を捜して~
暖かい…

2021.03.08
その日は雨が降っていた
三毛猫は
少しだけ
本当に
ほんの少しだけ
冷え乍ら
先をひた歩く
白狐の姿を
見ていた
振り返りはしないだろう
そう
三毛猫は思っていた
故に
目を凝らし
姿を見失わない様に
只管
目で追い続けなければ
そう考えた瞬間

えっ?嘘!?

三毛猫は目を見開く
白狐が立ち止まり
振り返ると
三毛猫を見ていた
三毛猫の様子を見て
三毛猫の手を取り
ゆっくりゆっくり歩き出す…
白狐が三毛猫の手を取り
歩くなんて
初めての出来事だった
最も三毛猫は
強がりの頑固者
その上
隠すのが得意で
歩くのが辛くても
上手く隠してきた
その日は
本当に辛くて
隠し通す気力も
体力も
三毛猫に無く
ゆっくり見失わない様に
付いて征こう
そう
考えたのだ
己のペースで
歩くとしても
この目は目標を
見失わない
そんな自信も
当然乍らあったのだが
予想外の
展開が起きて
三毛猫は
心底、驚きはしたが
素直に
その手を
握り返して
そのまま歩き続ける
冷えていた
何かが
温まって征くのを
感じ乍ら
談笑しつつ
歩く

意外と大きいよなぁ…手。

そんな事を
ぼんやりと
感じ乍ら
思い返す…

三毛猫の考察(?) 其の玖

2021-02-18 00:56:00 | やつがれシリーズ~心を捜して~
何を失ったのか…
数ヶ月もの間
悩むに悩み
そして
思い至る
先の未来で
何かを失う日が
いつの日かくる
不意に
そんな風に思い
考える様になった
大切な人
大切な思い出
己の心
様々なものを
少しずつ削り
そうして
いつの日か
そう遠くない未来に
大事な何かを
大幅に喪う
そんな日がくるのだろう
今は得る期間
そう仮定したならば
必然的に
喪う時期と云うものも
必ず訪れる
得る事と失う事
この2つの事象が
必ずしも
同時に起こり得るとは限らない
そんな答えを
導き出した時
己は
喪う時期が訪れる
その時まで
得れるものを
受け取り続けよう
そう思う
大事なのは
喪う時期が訪れた際に
その事実を
その時期を
受け入れる
到底
受け入れ難い事も
おそらく
訪れるであろう
その瞬間に
己は
何処まで
己を
圧し殺せるだろうか…?

おそらく
圧し殺せまい
己にとって
それが大事であれば
大事である程に…

なんと情けない事か
当たり前に
やれた事を
やれなくなる
それは己にとって耐え難い
それに関わらず
確信を持って
断言出来てしまう
己に嫌気が差す
失ったものがあるとするならば
それは
己の我を心を圧し殺す
そんな強さだろう