花菖蒲

日常やら何やらかんやら気儘に綴ります。気儘に。

三毛猫の追憶 其の弐

2021-03-17 14:42:00 | やつがれシリーズ~心を捜して~
色々あったよなぁ…

手を握ったまま
三毛猫は少しだけ
過去に浸る
心を開かない
そんな己が
こんなにも心を開く
それは間違いなく奇跡的で
三毛猫の
破茶滅茶を
支離滅裂を
破壊衝動を
受け止めきれる様な
そんな存在は
己で云うのも
難だと感じるくらいに
そうそう居ない
誰も彼も
信用出来る程
三毛猫は
心が広くはない
常に己に仮面を着け
強固な建前と云う名の
言の葉を
剣に盾に
自在に操り
のらくら
本心を隠して
生きてきた
時には
己をも偽り
時には
心とは真逆の感情を
表に出したり
そうやって
己を含めて
誰も彼も
何が三毛猫の本心なのか
それを
考えさせず
掴ませず
生きてきた
それなのに

気付いたら半分以上は
見せてたよなぁ心の内を…

ぼんやりと
会話をしたまま
三毛猫は耽る
己を
受け止め切れる者が
果たして
今の今まで
どれだけ居たか…
血の繋がった
親でさえも
受け止め切れずに
持て余した
そして
向き合う事なく
上辺だけの関係性を維持してきた
血縁関係
そんな関係性が1番
希薄で
薄情なものだ
そんなものが一体全体
何の役に立つ?
家族って繋がりは
深く大事なものを
与はしなかった
けれど
三毛猫は繋いだ手から
感じるものがある

三毛猫の追憶 其の壱

2021-03-10 11:03:00 | やつがれシリーズ~心を捜して~
暖かい…

2021.03.08
その日は雨が降っていた
三毛猫は
少しだけ
本当に
ほんの少しだけ
冷え乍ら
先をひた歩く
白狐の姿を
見ていた
振り返りはしないだろう
そう
三毛猫は思っていた
故に
目を凝らし
姿を見失わない様に
只管
目で追い続けなければ
そう考えた瞬間

えっ?嘘!?

三毛猫は目を見開く
白狐が立ち止まり
振り返ると
三毛猫を見ていた
三毛猫の様子を見て
三毛猫の手を取り
ゆっくりゆっくり歩き出す…
白狐が三毛猫の手を取り
歩くなんて
初めての出来事だった
最も三毛猫は
強がりの頑固者
その上
隠すのが得意で
歩くのが辛くても
上手く隠してきた
その日は
本当に辛くて
隠し通す気力も
体力も
三毛猫に無く
ゆっくり見失わない様に
付いて征こう
そう
考えたのだ
己のペースで
歩くとしても
この目は目標を
見失わない
そんな自信も
当然乍らあったのだが
予想外の
展開が起きて
三毛猫は
心底、驚きはしたが
素直に
その手を
握り返して
そのまま歩き続ける
冷えていた
何かが
温まって征くのを
感じ乍ら
談笑しつつ
歩く

意外と大きいよなぁ…手。

そんな事を
ぼんやりと
感じ乍ら
思い返す…