(Nikki Sudden / 1956.7.19 - 2006.3.26)
また、マーク・ボランと関わりの深かった人の訃報をお伝えしなくてはなりません。ミュージシャンのニッキー・サドゥン(元スウェル・マップス/ジャコバイツ)が、3月26日、ツアー先のニューヨークで亡くなりました。享年49歳。死因はまだ明らかにされていません。
ロンドン生まれのニッキー・サドゥン(本名/ニコラス・ゴドフリィ)は、1971年にT.REXを聴いて熱烈なファンになり、ギターを弾いて弟や友人たちとバンドを始めます。1975年頃からはマーク・ボランの追っかけとして知られる存在となりました。T.REX人気が下火になってもなお熱心な男の子のファンということで、マークにも目をかけられていたようです。「たとえ他のファンたちがマークを取り囲んでも、彼はいつも一番に俺に声をかけてくれたんだ」とニッキーは語っています。(上の写真のバッジにも注目!)1977年、スウェル・マップスのデビューが決まったことをマークに告げると「レコーディングしたらテープを持っておいで。何か応援できることをするから」と言われます。しかし、彼らがシングル「Read About Seymour」を録音したのが9月14日。テープを渡す前に、マークは16日早朝亡くなってしまいます。(このマークの事故死と、1997年の実弟エピック・サウンドトラックスの自殺とが、彼の人生に深い傷跡を残したのは想像に難くないでしょう。)
その後、ニッキーはいくつかのバンド/ソロ活動を経て、ここ10数年はドイツのベルリンを拠点として精力的に活動していました。2002年には、日本で企画されたマーク・ボラン没後25年のトリビュート・アルバム『ユニヴァーサル・ラヴ』に4曲(サンフランシスコ・ポエット、ジュエル、ワン・インチ・ロック、ビューイック・マッケイン)参加しています。今年は3月のアメリカ・ツアー終了後、本来ならば今日(3/29)ロンドンで旧友デイヴ・カスワースとジャコバイツ名義でギグを行う予定でした。また、ニュー・アルバムのリリースも控えていたそうです。
T.REXファンクラブでは、2002年にニッキーから『Hard On For Love』と題した原稿を寄せてもらっているので、その一部をご紹介します。
“これからも時たま俺はT.REXに没頭するだろう。(中略)そして最後には、マーク・ボランの曲の俺ヴァージョンを書くんだ。次のアルバムには絶対入れるぜ。”(それは2004年の『Treasure Island』収録の「Fall Any Further」のことらしいです。)
“……俺は数え切れないくらいマークの曲をステージで演奏している。そのひとつで、いつもレコーディングしたいと思ってるのが、俺の永遠の愛聴盤『Bolan's Zip Gun』に入っている「Zip Gun Boogie」なんだ。ついでに、なぜスウェル・マップスがいつもマキシ・シングルを出していたのか教えてやろうか? T.REXがそうしてたからだよ! 天国のどこかでマーク・ボランが笑いながら見おろしてるさ。”
いつも調子っぱずれで、でもたっぷり愛を込めてマークの曲を歌っていたニッキー。安らかに……。
●ニッキー・サドゥンのオフィシャル・サイト
http://www.nikkisudden.com/
○スウェル・マップスのファースト・アルバム『A Trip to Marineville』
2004年に出た日本盤CDではボーナス・トラックで「Read About Seymour」も収録。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00015HUK2/qid=1143553333/sr=1-1/ref=sr_1_2_1/249-6075134-4285105
○アルバム『Treasure Island』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0002Z7RKO/qid=1143530273/sr=1-13/ref=sr_1_2_13/249-6075134-4285105