マーク・ボランの誕生日です。
1947年9月30日、ロンドンの下町、ハックニーで生まれた 20th Century Baby..🌟
マーク・ボランの誕生日です。
1947年9月30日、ロンドンの下町、ハックニーで生まれた 20th Century Baby..🌟
Keep a little Marc in your heart.
今年は、T.REXを愛した日本のミュージシャンの訃報も続きました。
PANTAさんも、ISSAYさんも、天国でマークと出会えていますように…
2023年7月7日、頭脳警察のPANTAさんが73歳で永眠されました。
T.REX ファンクラブでは1996年から約10年にわたって毎年「マーク・ボラン追悼 グラムロックイースター」を取材させていただき、会報にライブレポートと出演者コメントを掲載していました。ここに惜別の思いを込めて、PANTAさんの演奏曲目とコメントをまとめました。(*会報紛失により不完全な部分もあります)
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★Glam Rock Easter Vol.10
1996年9月16日 日清パワーステーション
【PANTA演奏曲】Girl In The Thunderbolt Suit / Dawn Storm / The Soul Of My Suit
この時、PANTAさんとTOSHIさんが出演されています。当時のT.REXファンクラブ会報に「PANTAはT.REX後期の曲をチェロとバイオリンを加えて…」と記載があるので、その頃、Glam Rock Easterにストリングスで参加されていた坂本弘道さん(チェロ)や阿部美緒さん(バイオリン)との共演だと思われます。
【PANTAコメント】*Q&A形式のアンケートに記入していただきました。
Q:マーク・ボランとの出会いは?
PANTA:アルバム『Unicorn』
Q:その時の印象は?
PANTA:頭脳警察と同じ編成だ!
Q:一番好きな曲は?
PANTA:Unicorn
Q:一番好きなアルバムは?
PANTA:『Unicorn』『Electric Warrior』
Q:マークからどんな影響を受けましたか?
PANTA:大好きだったけど、影響を受ける余地が(時代のせいで)なかった。彼は彼、オレはオレってところかな?
Q:今回の選曲については?
PANTA:難しかったけど、素晴らしい曲でした。
Q:このようなトリビュート・イベントについては、どうお考えですか?
PANTA:FANの人にとっては、たまらないでしょう。
Q:次回、チャレンジしたい曲はありますか?
PANTA:MANY!!
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★Glam Rock Easter Vol.11
1997年9月16日 日清パワーステーション
【PANTA演奏曲】Mystic Lady / Girl / Baby Boomerang
当時の会報には「ストリングスの豊かな旋律に女性コーラスがデリケートにからみ、PANTAのしみじみとしたボーカルとあいまって素晴らしいアンサンブル」と記載。チェロは三木黄太さんと坂本弘道さん、バイオリンは松井亜由美さん、コーラスは原田千栄さんと立川亮子さんでした。アコースティック2曲のあと、バンドが戻って「Baby Boomerang」をやっています。
【PANTAコメント】*ライブ前、コメントをいただきました。
(Glam Rock Easterでは)いろんなこと、やってきたよね。一時期はメイクに凝ってアリス・クーパー、KISSまでやって頂点を極めて(笑)。
そのあとはアコースティック路線が多かった。今回のアコースティックの編成は、俺のギターとコーラスとストリングスだけ。こういうのは初めてなんだよね。これで「Mystic Lady」「Girl」の2曲をやったあと、またバンド編成に戻って「Baby Boomerang」。
こういう選曲は、実はほとんど秋間の提案なんだ。自分だと、どうしても『Unicorn』あたりの曲に偏ったりするんだけど、秋間は俺がいい感じに出来そうな曲を適切に選んでくれるから、もう全面的に信頼して任せてる。
今までに一番印象に残ってるのは、去年、アコースティックでやった「 Dawn Storm」「The Soul Of My Suit」だね。
マーク・ボランの生誕50年・没後20年ということで思うのは、マークは早くに亡くなってしまったけど、こよなくロックンロールを愛していた彼の精神の1万分の1でも、生きてる僕らが継承していけたら……ということ。だから、今日は一生懸命がんばらせてもらいます!
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★Glam Rock Easter Vol.12
1998年9月16日 渋谷クラブクアトロ
【PANTA演奏曲】Hang-Ups / Rip Off / Dandy In The Underworld
日清パワーステーションの閉店により、この年から会場が渋谷クラブクアトロに変更。ホストバンドは主宰の秋間経夫さんの新バンド、アキマ&ネオスに。
PANTAさんはアキマ&ネオスをバックにヘヴィな「Hang-Ups」、激しいラップのような「Rip Off」と続け、マーク・ボラン生前最後のアルバムのタイトル曲「Dandy In The Underworld」を歌いあげました。会報のライブレポートには、「サビのコーラスに観客も参加し、心温まる大合唱シーンとなった」と記載されています。
【PANTAコメント】*ライブ後、コメントをいただきました。
俺、「Dandy In The Underworld」を歌いたくてしょうがなかったんだよー!
そう言ってたら秋間が用意してくれたんで、うれしかったなぁ。今年はこの「Dandy…」を歌えたってことで大満足で、今、とっても感動してます。
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★Glam Rock Easter Vol.13
1999年9月16日 渋谷クラブクアトロ
【PANTA演奏曲】Children Of The Revolution / Girl In The Thunderbolt Suit / Desdemona
このライブレポートを掲載した会報を紛失しており、残念ながらPANTAさんのコメント内容はわかりません。出演者は、アキマ&ネオス、PANTA、JUN(The Willard)、JAH-RAH(ex. Easy Walkers)、佐藤研二、石田光宏、北森一生、YOKOと発表されていました。
この日は、写真家の鋤田正義氏が、1972年に8ミリフィルムで撮影したマーク・ボランの映像(約3分)を会場のスクリーンで初公開してくれました。
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★Glam Rock Easter in 大阪(2000年9月6日)大阪BIG CAT
★Glam Rock Easter in 名古屋(2000年9月7日)名古屋クラブクアトロ
★Glam Rock Easter Vol.14(2000年9月16日)渋谷クラブクアトロ
【PANTA演奏曲】You Scare Me To Death / Buick Mackane / Desdemona
20世紀最後の9月、Glam Rock Easterは大阪、名古屋、東京の3ヵ所で開催され、PANTAさんは3ヵ所すべてに参加(選曲は同じ)。「You Scare Me To Death」はマーク・ボランがソロ時代(1966年)に録音したデモで、マークが一時在籍したバンド、ジョンズ・チルドレンのアンディ・エリソンが、のちに「Horrible Breath」というタイトルでカバーしています。PANTAさんのバージョンはアンディに近いパンクな感じ。「Desdemona」もジョンズ・チルドレン時代のマークの作品で、歌詞の内容からBBCで放送禁止にされた曲。この頃から「Desdemona」が、Glam Rock EasterでのPANTAさんの定番曲となります。
【PANTAコメント】*ライブ後、コメントをいただきました。
今年もいつも通り、選曲は秋間に任せた。「Buick Mackane」は、本当は日本語の詩をつけることを考えてたんだ。やってみるとむずしくて、結果的には英語で歌ったけど、曲の持つ意味をきちんと伝えることを大事にしたいから、いつか日本語でやってみたいと思っている。
「Teenage Dream」に日本語の詩をつけて自分のアルバムに収録したいとも考えていて……。まだ、構想段階だけど、じっくり取り組んでやりたい。多分、俺の曲の中に入っても違和感ないと思うんだ。そうやって、T.REXのシリアスな面も伝えたいんだよ。
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★Glam Rock Easter Vol.15
2001年9月16日 渋谷クラブクアトロ
【PANTA & TOSHI 演奏曲】The Sea Beasts / The Seal Of Seasons / Chariots Of Silk / Unicorn~万物流転(頭脳警察)/ People(頭脳警察)/ Desdemona
2001年は6月8日に大阪で小学生が無差別に襲われた附属池田小事件があり、9月11日にはアメリカ同時多発テロ事件が起きています。マーク・ボランへの追悼と同時に、不条理に命を奪われた犠牲者への鎮魂の想いが重なったGlam Rock Easterでした。以下、当時の会報からPANTAさんに関する部分を引用。
「マークがティラノサウルス・レックスからT.REXへと変化していった時期に、日本の音楽シーンを揺さぶっていた2人組が頭脳警察。当時の両者にはお互いを認識するすべもなかったらしいが、頭脳警察がフランク・ザッパの「Who Are The Brain Police?」から名前を採ったことや、マーク・ボランが「Brain Police」という曲を作り、~Went down to the Communist’s side と歌ったこと、最初はバンドだったのがメンバーが去って、残った2人がギターとパーカッションのデュオを組んだことなど、奇妙な符号が両者を結びつけているようだ。幸いなことに日本側の”恐竜”は今でも時々、その姿を現してくれる。そして、この日の観客は「Unicorn」と「万物流転」が切り結んだ瞬間を目撃することになったのである。さらに特筆すべきは頭脳警察のオリジナル曲「People」。一切の説明はなかったが、そこには9月11日のテロの犠牲者への深い哀悼の念が込められていたのは明らかだろう。曲自体は90年に作られたアルバム『頭脳警察7』に収録されたものだが、これを今 ”やるべき曲”として無言で提示した頭脳警察の姿勢には、改めて厳粛な気持ちにさせられた。」
【PANTAコメント】*ライブ後、コメントをいただきました。
頭脳警察の曲をやりながら「なんだかティラノサウルス・レックスっぽいなぁ」なんて、自分で思うことがあるんだよね。俺の曲なんですけど(笑)。だから、お客さんも自然に共通項みたいなものを感じてくれるといいよね。
「People」はね、6月の野音(頭脳警察・再始動ライブ)でやった時は、直前に大阪の小学校での事件が頭の中にあって、今回もアメリカでああいうことが起きてしまって……。何も説明しなくても、聴いてる人たちが何かを感じてくれれば、と思います。
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★Glam Rock Easter Vol.16
2002年9月16日 渋谷クラブクアトロ
ライブレポートを掲載した会報を紛失しているため、PANTAさんの演奏曲は不明です。この年のGlam Rock Easterの出演者は、アキマ&ネオス、頭脳警察、森重樹一・津谷正人(from ZIGGY)、石田光宏ほかで、当日飛び入りゲストもありとのライブ告知がされていました。また、「この日の頭脳警察はPANTA & TOSHIの2人ではなくバンド編成になる」という事前情報もありました。
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★Glam Rock Easter Vol.17
2003年9月16日 渋谷クラブクアトロ
この年も、残念ながらライブレポートを掲載した会報を紛失しています。ライブ告知されていた出演者は、アキマ&ネオス、PANTA、石田光宏、木暮shake武彦、HEESEYほか。TOSHIさんの参加はなく、PANTAさんは女性パーカッション奏者の深澤マサミさんと登場。「隣にいるのがむさ苦しいTOSHIじゃなくて、いいよぉ~」と笑いを誘っていました。何曲か歌った中に「Desdemona」も含まれていた記憶があります。
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★Glam Rock Easter Vol.18
2004年9月16日 渋谷クラブクアトロ
【PANTA演奏曲】Left Hand Luke / Broken Hearted Blues / Cosmic Dancer / Girl / Rip Off / Desdemona / Dandy In The Underworld
この年、PANTAさんは深澤マサミさん(パーカッション)、阿部美緒さん(バイオリン)と組んで登場。最初の「Left Hand Luke」だけアキマ&ネオスのコーラスチーム(原田千栄さん、高仲尚子さん)も加わったので、女性4人に囲まれてニコニコされていました。英語の曲名をPANTAさんが訳して、「ぎっちょのルーク」「失恋ブルース」「宇宙の踊り子」などと紹介し、簡単な解説もしてくれました。
その後、PANTA+マサミ+ネオスという編成で「ぺてん師!」と叫んで始まった「Rip Off」、(秋間さんが戻り)アキマ&ネオス+PANTA+マサミで「Desdemona」。これは英語歌詞をすべて日本語に変えて歌い、「この曲は、いつか必ず頭脳警察のアルバムに入れるから」と話していました。
さらに本編最後の「Dandy In The Underworld」では、「PANTAがこの曲が好きって言ってたから、一緒に」と秋間さんがPANTAさんを呼び込み、2人交代でボーカルをとりました。曲が終わりそうなところでPANTAさんがアカペラで歌って観客を煽り、観客のハンドクラップとサビのコーラスで会場が一体となったところにバンドが合わせて感動的なフィナーレを決めました。
【PANTAコメント】*ライブ後、コメントをいただきました。
マサミちゃんのパーカッションと美緒のバイオリン、よかったでしょ? もう、来年の構想もできてるんだよ。弦楽四重奏+マサミちゃんでやってもらおうと思ってるんだ。
今年は自分のコーナーのほかに「Dandy…」でも歌わせてもらって、秋間にはホント感謝です。今日の俺のメイクはアリス・クーパーなんだけど、楽屋ではRollyの化粧指導を受けました。
それと、この夏に頭脳警察の本(『頭脳警察』須田諭一 河出書房新社)が出たんだけど、これがね、俺が言うのもヘンだけど面白いんだよ! いろんな人の証言があって、「え、頭脳警察って、そうだったの?」なんて自分で驚いたりしてね。秋間もたっぷり語ってくれて、Glam Rock Easterの話も出てくるんで、興味のある人は、ぜひ読んでみてください!
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★Glam Rock Easter Vol.19
2005年9月16日 渋谷クラブクアトロ
【PANTA演奏曲】Cum On Feel The Noise / Mambo Sun / Desdemona / Do You Wanna Touch / I Love You Love Me / Dandy In The Underworld
2005年、PANTAさんは巨大なリーゼントにサングラス姿で、女性バンド(THE NEWS+深澤マサミさん)を引き連れて登場。衣装はシルバーのタンクトップとパンツ、赤いサテンのジャケット、厚底ロンドンブーツ。「Glam Rock Easter 19年目にして、ゲイリー・グリッターになってしまいました!」とのMCに会場は大ウケ。当時の会報には「PANTA史上、最大の派手衣装」と書いています。スレイドの大ヒット曲「Cum On Feel The Noise」から、T.REXとJohn’s Childrenの曲を挟んでゲイリー・グリッター「Do You Wanna Touch」「I Love You Love Me」という構成は、70年代イギリスのグラムロック旋風の奥深さを実感させるものでした。前回同様、本編最後に再びPANTAさんを呼び込んで「Dandy In The Underworld」。
【PANTAコメント】*ライブ後、コメントをいただきました。
俺ねぇ、ゲイリー・グリッターになろう、なんて思ってなかったんだよ! 10年くらい前から「ゲイリー・グリッターの曲、やりたいね」って、話してはいたんだけどね。そしたら秋間が最近、リトル・エルヴィス・リュータ君と知り合って、「リーゼントのプロがいるんだよ! 頼もうよ!」と。そして、俺は禁断の扉を開けてしまいました……(笑)。
衣装提供のSEXY DINAMITE LONDONも、すごいの用意してくれちゃうし。あのシルバーのタンクトップ、メタルなの。本物の金属で重いんだ。ロンブーもゲイリー・グリッターと同じにしようと思って、持っていそうなやつに聞いて探し回ったの。秋間はヒーセに、俺はRollyに電話してね。で、最終的に津谷ちゃんが持ってたんだ。足のサイズも同じだったから、それ借りたんだよ。
まあ、イロモノじゃないんだけど、俺がスレイドとかゲイリー・グリッターとか、マーク・ボランと一緒に盛り上がっていた連中をやることで、Glam Rock Easterを別の角度から楽しんでもらえたらいいかなぁ、と思ってます。もう来年の構想として、アルヴィン・スターダストとかドクター&メディックスとかの名前も挙がってるんだけど……。また、髪の毛が大変かな?
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★Glam Rock Easter Vol.20
2006年9月16日 渋谷クラブクアトロ
【PANTA演奏曲】Desdemona / Rip Off / Girl / Cum On Feel The Noise / I Love You Love Me
記念すべき20回目のGlam Rock Easterは、PANTA & THE NEWSとして登場。片目を黒いアイパッチで隠し、ゴシックな海賊風のPANTAさんは、グラムロックの影響を受けた80年代の英国ニューウェイヴ・バンド(アダム・アンド・ジ・アンツやデッド・オア・アライブなど)のようでした。「20年間、この真剣な遊びに付き合ってくれて、ありがとう!」と観客に声をかけて熱唱していました。
【PANTAコメント】*ライブ後、コメントをいただきました。
俺は、今年の4月に唐十郎作の「秘密の花園」って芝居に出たんだよね。野口医師っていう、狂った医者の役で。今日の衣装は、その時のものなんだ。昔の西洋の海賊みたいな、ちょっとゴシック・ホラーな感じ。あれを着た時、「これ、Glam Rock Easterに着れる!」って思ったから、春からずーっと借りてるんだよ。これから返さなきゃ。
本当はアイパッチの中に義眼を入れてて、取り出して見せるんだよ。今日はやめておいたけどね。どうだったかな? 違和感なかったかなぁ。もともとグラムって、そういう変な感じや違和感を含んでいるものだよね。でも、来年の21回目はどうしようかな。初心に戻ってマーク・ボランになろうかな(笑)。
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(以上、会報『Jewel』より。画像は配布されたセットリストや取材時の写真です)
また、PANTAさんは毎回、アンコールの「Hot Love」「Get It On」にも参加されていたことを追記しておきます。
いつも優しい笑顔で、マーク・ボランへの思いや曲の解釈を熱く語ってくれたPANTAさん。本当にありがとうございました。感謝を込めて。