この秋~来年1月末までニューヨークのブルックリン・ミュージアムで開催されるロック写真の企画展『Who Shot Rock & Roll : A Photographic History, 1955 to the Present』。被写体(ミュージシャンたち)より撮影者であるフォトグラファーたちに焦点を絞り、ロックの歴史の中で写真家たちが担ってきたクリエィティブな実績に着目した意欲的な試みです。1950年代から現代まで、世界中で撮影された無数のロック写真の中から200点あまりが選び抜かれたとのこと。
そして、日本人で唯一ピックアップされた写真家が鋤田正義さん。展示される写真は1973年のデヴィッド・ボウイの初来日公演で、渋谷公会堂のステージで衣装を脱ぎ捨て熱唱するボウイと、興奮してステージに殺到するオーディエンスを絶妙な構図でとらえた1枚です。
以前、鋤田さんは「自分が撮ったロック写真の中でも究極と言えるのが、レスポールを持って髪をなびかせるマーク・ボランと、渋谷公会堂のデヴィッド・ボウイ」と語られていました。今回、向こうのキュレーターに選ばれたのがT.REXでなかったことは少々残念ですが、鋤田さんの中で対をなす2枚の写真(ボラン/ボウイ)の片方が世界的にメジャーなミュージアムで展示されることを心から喜びたいと思います。
展示は以下の6つのセクションに分かれています。
1)音楽シーンの裏側で捉えられたレアな写真
2)ミュージシャンの若き日の初々しいスナップの数々
3)エネルギー、情熱、セックスアピールに満ちたライブ写真
4)時に歴史的絵画を思わせるような、群衆やファンたちのパワフルな光景
5)表面的な名声ではなく、ミュージシャンたちの創造性や魂を浮き彫りにするポートレート
6)イメージの創造者とミュージシャンとの間のコラボレーションが注目されるアルバム・カヴァーやコンセプチュアルなイメージ
開催期間中にN.Y.に行く予定の方、現地在住の方、ぜひブルックリン・ミュージアムへ足を運んでみてください。
Who Shot Rock & Roll : A Photographic History, 1955 to the Present
2009年10月30日ー2010年1月31日
N.Y. ブルックリン・ミュージアム
Morris A. and Meyer Schairoウィング5階
(*その後はアメリカ各地で巡回展が予定されています。)
http://www.brooklynmuseum.org/exhibitions/rock_and_roll/