会社にはお気に入りの上司がいた。
今の事務所じゃないけれど。
昔はよう暴れていた、ちょっと短気ちゃん
だったらしいけども
あたいと会ったころはもう既に
大人しい仏の座みたいな人だった。
仕事も出来て大人しく
あたいにイジラれまくって
さめざめと泣いていた。
発病したのはいつだったか。
脳の病気だった。
入院して脳の何割もが死んでいると言われ
言葉が出ずに苦労していたようだけれど。
会社に復帰して今はなんとか仕事をしている。
労わるつもりで言ってみた。
「無理しないでください。」
「頭 悪いんだから。」
うなだれられてしまった。
先日、電話にたまたま出た元上司に
調子はどうかと聞いて見たら
「脳がぐちゃぐちゃなんだよ。
もう溶けちゃってるんだよ」と
テンパリや嘆きにも似たぼやきを吐いていた。
「とりあえず。」
彼に助言した。
「冷蔵庫にいれとけ。」
治らない病気だということだけど
せめて悪化しないように生きて欲しいと
本当は切に思っているのだよ。