風のいろ・・・

どんな色?

離れて改めて思い返すと・・・

2024年07月02日 | 小説

 

「この世界に来て、一番思ったことは、

眼に見える全てのものがこんなにも美しく優しいってことに。

それまではそんなこと考えてもみなかった。

以前いた私の世界には、こんな美しい景色はなかった。  まるで灰色の世界。

でも近頃思うんだ、本当に美しいものがなかったのかって。

離れて改めて思い返すと、案外身近なところにもきっと美しいものはあったんだろうって。

でも私の眼がかすんで暗くなっていたから、

それら綺麗なものが見えていなかっただけなんだって気付いたの。

昔から私には友達なんかいなかった。

作る努力も、ほしいと思う気持ちも持てなかった。

独りでだって生きていけると思い込んでいたの。

でもここへ来て、三人を見ているうちに、とても羨ましくなった。

友達っていいなって思えた。

なんでもっと早くこんな簡単で単純なことがわからなかったんだろうって、

今はすごく思うの。

だから三人はいつまでも友達でいてほしい。

そして私も友達になりたい」

 

 

 

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Thank You.....

 

 

 

 

 

 

 

 


灰色の空とは違い・・・

2024年06月06日 | 小説

 

アルは空を見上げた。

都会の灰色の空とは違い、どこまでも青く澄んでいた。

ここへ来てから空をよく見上げた。

眺めているうちに気持ちが晴れてくるのだ。

太陽はこんなにもたくさんの命を育てているのだと、改めて実感する。

そんなこと、以前は考えたことも、体感したこともない。

人間は科学を発展させ生活を便利にはしたけど、払った代価もまた大きいことに気付く。

 

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

God Bless You 

 

 

 

 

 

 


全てには時がある

2024年04月26日 | 小説

 

「全ての営みには時があるんだ。

定まった時期がね。

生まれるのに時があり死ぬのにも時がある。

泣くのに時があり笑うのに時がある。

憎むのに時があり許すのに時がある。

戦いに勝つのは強い者とは限らないし、

富を得る者が必ず頭がいいともいえない。

悪者が早く死に、心のきよい人が長生きをするわけではない。

それは全て人が時と機会に出会うからなんだと思う。

しかし誰も自分の時を知らない。

それは風を支配し、風を止めることのできる人はいないということだ。

死から免れる者もいないし、

その戦いから放免される者も一人もいない。

全ては風を追うようなものだ。

だけどね、たとえ風の道を知らなくても感じることはできるよ。

その風を感じる心さえ失わなければそれでいいのさ。

だから俺はいつでも風を感じていたい」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

この地上には何一つ必要のないものはなく、全てのことに深く計り知れない意味が存在していることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

「蒼天の風の道」

 

 

 

 

 

 

 

 

☆HBD☆

 

 

 

 

 

God Bless You ❣

 

 

 

 

 


悲劇の底に隠れている最も美しいもの

2024年04月15日 | 小説

 

 

「心配には及びません。

いかなる巨大な権力をもってしても、

私の肉体は捕らえられても心まで捕らえることはできません。

魂の領域は人間のあらゆる何ものによっても侵すことは不可能です。

それは誰にでも存在する心の空洞が権力や能力では決して埋まらないからです。

時代が時代ならあなたは立派な青年になっていたことでしょう。

今の時代は誰にとっても悲劇だ。

しかしどの時代にせよ、生きるということを真剣に考え悩める者にはそれに価する痛みが伴うのです。

だから人間は悲劇の中からより多くのものを学び取ります。

それは悲劇の底に隠れている最も美しいものを見いだすからに違いない、

少なくとも私はそう信じています」

 

 

「蒼天の風に道」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

God Bless You 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 


もちろん私も恐いです・・・しかし

2024年04月14日 | 小説

 

「私は自分の国籍がどこであるかなんてどうでもいい。

なぜならこの世の何ものにも縛られず拠らないからです。

決して誰にも奪うことのできない平安が私を自由にします。

恐いか恐くないかと訊かれればもちろん私も恐いです。

しかしそれはもはや私にとってさほど大きな問題ではありません」

 

 

「蒼天の風の道」より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

God Bless You ❣