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風のいろ・・・

どんな色?

自分のしたことへのしっぺ返しを・・・いつか人間は

2023年12月16日 | 羊の群

 

「たとえどんな小さな組織にも人間が集まる所には、必ず官僚が生まれ、権力争いが生じる。

権力による派閥ができるんだ。しかも権力は必ず腐敗する。

まるで流れの止んだ濁った泥沼のように。

それはどうにも避けられない人間の本能でもあるかもしれない」

 

 

「泥沼に人は生きられませんわ。

いつかきっと窒息してしまいます。

川のように水は流れて行かなければならないでしょう。

そんな時代はそう長く続きませんわ。

いつか人間は、自分のしたことへのしっぺ返しを受けます」

 

 

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「人間が人間らしく生きるためには、どうしたらいいのでしょう?

自分に正直に生きるって、どういうことなのかしら?」

 

 

 

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小説「羊の群」  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

God Bless You ❣

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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人間の悲しみ・・・

2023年12月12日 | 羊の群

 

「フランシスコ・サレジオという人も言っていましたわ。

『純粋なものは、天国と地獄とにしかない』と。

ということは、現実のこの世界にはありえないのかもしれませんわね。

完全な純粋なものなど」

 

 

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「パスカルのパンセの一句にもこういうのがあったな。

『人間は天使でもなければ禽獣でもない。

天使になろうとする人間は、かえって禽獣に堕ちる』って。

自分こそが正義と思う人間が、悪魔にもなりうるということだろう。

そんな人間は簡単に他人を差別し裁いてしまう。

そもそも人間の感じてやまない孤独感が厄介なんだ。

孤独が人を恐ろしい犯罪へと誘うが、反対に、他人への優しさにも変われる。

最も扱いにくく処理に困る感覚だ」

 

 

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「犯罪の影には常に人間の悲しみ、疎外感が沈んでいると言われます。

何となくわかるような気がしますけど、私はそんな言い訳卑怯だと思いますわ。

自分の弱さや犯した罪を、他人のせいにするなんて、どうしても納得できませんの。

もっと強く生きるべきで、誰かに甘えるべきではありませんわ」

 

 

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小説「羊の群」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

God Bless You ❣

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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良心が少しずつ麻痺・・・

2023年12月11日 | 羊の群

 

「男と女が互いに求め合うのは、動物が単に発情するのとは違う。

動物は本能から子孫を残すために営みを育むが、人間の場合は、価値観や人生観という意味が含まれると僕は思うよ。

いや、そう信じたいね」

 

 

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「現在の性の解放は、情報の氾濫と愛の欠乏からくるものではないかな。

そのため昔あった倫理観や道徳観が崩れ、奥床しさや慎み深さのようなものが嘲笑されるようになった」

 

「愛の欠乏・・・ですか」

 

 

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「つまり愛が欠乏している肉体関係は、深く傷付けあうばかりか、精神の崩壊へと向かうということなのかしら。

良心が少しずつ麻痺してしまい、心のつながりが壊れてゆくような。

大切なものを見失ってしまうのですね」

 

 

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「そうだな、例えるなら恋は影で、肉体を求め合う感覚や官能の世界なら、愛は光かな。

つまり精神的世界。

超感覚的なものへと絶えず上昇し続けるもの。

だから恋の命は短く、愛は永遠に続く。

恋は愛の影さ、実在ではない。

所詮僕にもわからないけどね。

今まで誰かを本気で愛したことなどなかったから」

 

 

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小説「羊の群」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

God Bless You ❣

 

 

 

 

 


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人間の孤独・・・

2023年12月10日 | 羊の群

 

「男女の関係において『恋』と『愛』とは存在のあり方が違うのではないでしょうか?

恋が、障害において燃え安定において冷めるものなら、愛は、人間の孤独から生み出され、人間の孤独によって育てられてゆくのではないかしら。

とはいえ本当のところは、私にもよくわかりませんわ。

恋と愛の違いだなんてとても難しくて。

ただ一般論として申し上げたまでで恥ずかしいですわ。

それに孤独とは多分、知能の高さや感性の違いによっても、感じる度合いがそれぞれに異なるのでしょうから。

ともすれば、どんなことにも慣れってありますでしょう?

慣れてしまえば孤独だって、そう悪くないかもしれませんわ」

 

 

 

「孤独に慣れなんてあるのかな?

もしあるとするならどれはきっと、感覚の麻痺だろうな」

 

 

 

 

 

小説「羊の群」より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

God Bless You ❣

 

 

 

 

 


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孤独への恐怖・・・

2023年12月09日 | 羊の群

 

「まだ二十代半ばで、あんな辛辣な鋭い視点で物事を捉えることができるなんて・・・・」

 

 

・・・・・・

 

 

「そして意外だったな、タイトルが『孤独への恐怖』だなんて。

人が真の孤独を痛感させられるのは、独りでいるときではなく、

むしろ大勢の中にいるときであると言ってのけたのには。

あながち、若い人でもそう思うものなのかと驚いたね」

 

 

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「そんな大層なことではないんです。

フロムというアメリカ人の心理学者が書いた本を読んだ上で、感想を述べたにすぎませんわ。

いわゆる受け売りみたいなものです。

フロムは人間にとって一番強い欲求は『孤独からの脱却の要求』であると言っています。

私は単にその通りだと思ったまでのことですわ」

 

 

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「羊の群」・・・P104~P105

 

 

 

 

 

 

God Bless You 

 

 

 


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