ふんわりと
シフォンのような花びらを
重ねて
庭の八重桜が
咲きました。
青空で
ほころぶように咲く
愛らしい花を
ぜひ見てもらおうと
思っていたのに
夕方、
ふと見あげた情景に
心をつかまれて
きょうはその
仄暗き八重桜の夕景です。
もうどこかに
ほのかな翳を内包した
夕方の
やわらかな
琥珀色の
光
束の間
あふれて
木々の向こうに
日が落ちて
木立の
あいだから
こぼれくる
夕日は
水面(みなも)に揺れる
ひかりにも
似て
ちらちらと
さざめき
喜びも
悲しみも抱いて
桜は
そっと世界を満たしていく
庭で咲く
同じ桜の木でも、
お天気や時間帯
光や風や湿度の加減で
印象は違って
青空のした
明るく朗らかに愛らしい姿も
ステキだけれど
切なく
儚く
狂おしく
妖しく
そんなふうな
どこか翳りや愁いを含んだ姿に
どうしても惹かれます。
夜が
降りてくる
夢幻
幽玄
逢魔が時
あやかし(妖)に魅入られて
逢魔が時
あやかし(妖)に魅入られて
この世から
かき消されそうな
そんな気がするほどに美しく
それでいいと
思うほどに美しい、
八重の桜咲く
青い、夕暮れでした。
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