水墨画は、『墨』と、『硯(すずり)』と、『筆』と、『紙(和紙)』と、『水』
を使って表現する芸術=絵画です。
『墨』、『硯(すずり)』、『筆』、『紙(和紙)』は文房四宝(ぶんぼうしほう)と呼ばれ、古くから大切に使われてきた道具です。
今日からは、それぞれの道具について解説していきます。
まずは水墨画にとって肝心かなめの『墨』についてです。
現代の文房具の代表『鉛筆』は、その名の通り、鉛(黒鉛)を使ったものです。
では墨は?
墨は『煤(すす)』と『膠(にかわ)』で作られています。
今の時代で『煤(すす)』を想像するのは難しいかもしれませんね。
歌の中でも煙突掃除屋さんは煤だらけになったものですが、
現代はサンタクロースも煙突から入ってくることはないですものね。
『煤(すす)』とは、油や、木材を燃やした時に壁や天井に溜まる黒い物質。
いわゆる炭素の微粒子です。
そして『膠(にかわ)』とは
この煤の粒子をつなぎ合わせる接着剤の役割となるものです。
動物の骨や皮を煮込んで取れるタンパク質、ゼラチンです。
ちょっと化学的要素も入ってきて、自由研究らしくなってきたでしょうか。
さて、この『煤(すす)』と『膠(にかわ)』を混ぜ合わせて、墨ができます。
できたては、柔らかい状態なので、それを乾燥させます。
そのため、墨作りは冬。寒い乾燥地帯が適しているそうです。
墨といえば奈良が有名ですが、それには歴史的背景もあるようです。
古くは都であったことで、多くの寺社が集まり、
写経や学問に必要とされた墨の生産が盛んになったようです。
『墨』には、大きく分けると『松煙墨』と『油煙墨』の2種類があります。
それは原料の『煤(すす)』が何から取れるかの違いです。
『松煙墨』=松の幹など
『油煙墨』=菜種油など植物油など
この2つの違いは水墨画の表現に深く関わってきます。
そのため、芸術鑑賞の観点も加えながら、次回解説を続けます。
今日はここまでです。
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