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明日また陽が昇るなら −カウンセラーもり あずさ(もるも)のブログ−

ロックマン、恋敵に塩を送る -夏目漱石「こころ」より3-

こんばんは。

アナタに明日への希望をお届けする「情熱の女」カウンセラー もるもです。

 

昨日まで夏目漱石の「こころ」に登場する迂闊なロックマン「K」について取り上げてまいりました。

 

本日そのロックマン「K」の迂闊さからの〜失恋への流れを紐解きます。

 

迂闊なロックマン「K」に「お嬢さん」への切ない恋心を訥々と打ち明けられた「先生」は

 

当然のごとく、それまで友達だった「K」を「恋敵」とみなすようになります。

 

「先生」はこの話を固唾を呑んで聞きながらも一言も発することができないし

 

その後「K」と一緒にいる時に一度もこの話題に触れません。

 

・・・というより「触れられない」のです。

 

「先生」はわりと普通の男性でして

 

迂闊にそのことに触れてしまったら、相手に自分がライバルであることを知らせることになりますので

 

俄然慎重になるのです。

 

そして「先生」は「良心」を重んじる善良な人でもありますので

 

「自分もKに対してお嬢さんへの思いを打ち明けるべきかどうか」で悶々としますし

 

普通の男性と同じように

 

恋敵である「K」と「お嬢さん」が話したり近くにいるのを見るだけで猛烈な嫉妬心に悩まされます。

 

また「K」が自分よりイケメンで精神的に強く、自分は到底「K」には敵わないという思いにも囚われ

 

猛烈な劣等感にも苛まれます。

 

これも、恋愛における極めて正常な反応でして

 

「先生」が本当に「お嬢さん」を手に入れたいと思っているからこそ

 

ライバルと自分を比較して、不安になったり怖くなったりするのです。

 

そして、嫉妬心と劣等感に悩んだ「先生」は精神的に不安定になり、具合を悪くして寝込んでしまいます。

 

ここまでくると、普通のライバルなら「こいつ・・・もしかしてお嬢さんに惚れてるんじゃないか?」と気づきそうなものですが

 

「K」は全く「先生」の気持ちに気づきません。

 

自分の「お嬢さん」への思いで頭がいっぱいで、目の前の友達が同じ女性に惚れていて、自分の迂闊な独白のせいで悩んでいることに全然気づいておりません。

 

ロックマンの心の中に他者は存在しません。

 

そして、それが故に他人の感情に極めて鈍感なのがロックマンの特徴です。

 

そんな迂闊なロックマン「K」をよそに、先生は自分の心の葛藤を解決すべく「お嬢さん」を手に入れるための行動に出ます。

 

「お嬢さん」のお母さんである「奥さん」に向かって

 

「お嬢さんを私にください」と自己PRします。

 

「奥さん」はあっさりOKします。

 

拍子抜けかつ面食らった「先生」は「お嬢さんのご意向も確認した方が・・・」と思わず引き気味になりますが

 

「奥さん」は「大丈夫です。あの娘が不承知のところに、私があの娘を遣るはずがありませんから」と言い切ります。

 

この時点で「先生」の完全勝利が確定しました。

 

それもそのはずです。

 

「先生」は「K」よりもずっと前からこの下宿にいて

 

「奥さん」との信頼関係を築いています。

 

「奥さん」は旦那さんを戦争で亡くし、「お嬢さん」と2人家族で寂しく暮らしていたこともあり

 

帝国大学の学生で、配慮があり善良な青年である「先生」を気に入っています。

 

そのエピソードは物語の随所に書かれていますし

 

人付き合いの悪いとの前評判だった「K」を下宿に引き入れることにも賛成ではありませんでしたが

 

自分が気に入っている「先生」が「是非に」と言うのでしぶしぶ承知したくらいです。

 

「奥さん」はそんなお気に入りの「先生」が娘である「お嬢さん」を貰ってくれるのは願ったり叶ったりでしょうし

 

これだけあっさり承諾する時点で「お嬢さん」本人からもそれとなく意向を聞いていたはずです。

 

この後に書かれている内容からも明らかなように「お嬢さん」自身も「先生」に好意を持っていたのです。

 

加えて、早くに軍人である父親を亡くし母親である「奥さん」と2人で生きて来た「お嬢さん」としては

 

「奥さん」が気にいる男性と結婚したいと考えたとしても何ら不思議はありません。

 

・・・と言うわけで、ここで全てがハッピーエンドです。

 

はっきり言って、途中から下宿に来て勝手に「お嬢さん」に惚れるロックマン「K」は、この一連の流れの中ではただの邪魔者です。

 

普通のドラマであれば、この時点で「K」は下宿を出て別の居場所を探すことになります。

 

「K」は武者小路実篤の「友情」の主人公のように友人に先を越され、裏切られ失恋して悔しい思いをしました。

 

「友情」の主人公のように、友達からお土産でもらったベートーベンのデスマスクを怒りに任せて破壊するくらいは全然アリでしょう。

 

でも、これも全て人生の経験です。

 

友達は恋敵でないかどうか、事前にちゃんと調べておくこと

 

迂闊に恋敵に恋愛相談しちゃいけないこと

 

本当に好きな人と結婚したければ、まずはその家族の心をつかむこと

 

今回の件は、そうしたことを学ぶいい機会だったはずです。

 

Kさん、お疲れ様でした。

 

この度は大変でしたね・・・。

 

でも大丈夫。

 

また素敵な出会いが訪れますよ!

 

・・・通常のカウンセリングであればここで終了なのですが

 

ここで終わらないのが小説です。

 

・・・なんと「K」は数日後に自殺してしまいます。

 

続きはまた明日。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

素敵な週末を。

 

****

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