「オスの悲しき性(さが)」
24年6月17日付朝日新聞の社会面に次のような記事があった。
〇「死んだふりから目覚めるオス メスがいれば危険より繁殖を優先 昆虫の生存戦略に迫る」
「敵から身を守るか、子孫を残すか――。究極の選択を迫られたとき、動物はどっちを選ぶのか。琉球大学農学部協力研究員の日室千尋さん(昆虫生態学)らのチームは、アリモドキゾウムシという昆虫を観察し、その生存戦略に迫った。
アリモドキゾウムシは、体長約6ミリで、クモに襲われたり、鳥についばまれたりすると触角を折りたたみ、硬直して「死んだふり」をして身を守ろうとすることが知られている。日室さんは、死んだふりをしたアリモドキゾウムシのオスとメスそれぞれ20匹に、別の個体を近づけたら目覚めるまでの時間はどう変わるのか、1匹ずつ実験をした。
ピンセットで挟んで死んだふりをさせたアリモドキゾウムシのオスを容器にいれると、何もしない場合、10分以内に半数は目覚めるが、残り半数は20分以上も死んだふりを続けた。2時間ほどたってようやく動き出すものもいた。
ただ、死んだふりをしたオスの近くに、性フェロモンを出す成熟したメスをいれると、3分以内に約半数、10分以内に約8割が目覚めた。触角をパタパタと動かし、メスを探しているそぶりも見られた。成熟前のメスには反応しなかった。
また、人工的に合成したメスの性フェロモンを容器内に置いた場合は、フェロモンの濃度が高かったためか、数十秒以内に約9割が目覚め、2分以内には全ての個体が動き出した。
一方、死んだふりをしたメスに、別のオスやメスを近づけても、目覚めるまでの時間は何もしない場合とほとんど変わらなかった。
日室さんは「オスは、襲われるリスクと繁殖をてんびんにかけ、メスがいれば危険を冒してでも『死んだふりしている場合じゃない』と繁殖を優先することがわかった」と話す。動物の生存戦略を考えるうえで、重要な視点だという。「中にはメスを同じ容器にいれても、20分以上目覚めない、こわがりなオスも1割弱いて、性格が出ていた点も面白い」
科学誌に論文が掲載された。(藤波優)」
種族保存の本能というのは死をも超越するということだろうか。
これはなにもアリモドキゾウムシに限ったことではなく、他の動物ひいては人間社会に於いても見られることでもある。一匹のメスを巡ってオス同士が、人間でいえば一人の女性を巡って男同士が死闘を繰り広げるということは間々あることである。これに対して、メスあるいは女性の方が淡泊であるということも同じようである。
ただ生物学的に見て、オス、男の場合は種族保存というよりは自分の遺伝子を広く残すということが主眼のようである。
(キリスト教がもたらした一夫一婦制というのは自然の摂理、種族保存の法則に反するものだが、このことについてはここでは触れないでおく。ただ何を言いたいかというと、男が浮気をするのは仕方がないということ。)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます