『ライアン・ラーキン 路上に咲いたアニメーション』
天才アニメーターから、ドラッグとアルコール依存によって路上生活者に転落した、という経歴を見て、予告編を見て「これは見に行かねば」と思った作品。
ちょうど渋谷で『ベルギー幻想美術展』オフのタイミングだったので、メンバーにご紹介したら、すごい映画&アニメ通(だけではありませんが)のラッコ庵様、ちゃとと様だけあって、即座に興味をもってくださって、ご一緒することがかないました。
ラーキン自身の作品としては
●『シティ・スケープ』:世界的実験アニメーションの大家、ノーマン・マクラレンの主催していた授業で、その才能を認められた、都会に出た青年のパニックを描いた作品
●『シランクス』:マクラレンに絶賛され創りだした二作目。パンに追われて葦になってしまうニンフ、シランクス(シュリンクス)の神話を描いた作品(曲はドビュッシー)。
●代表作とされ、後世のアニメーション作家に多大な影響を与えた『ウォーキング』と『ストリート・ミュージック』の計4本。
それに、ラーキンとのインタビューを元に作られ、アカデミー短編アニメーション部門でオスカーを獲得した3DCG作品『ライアン』と、アニメーター仲間がライアンの遺品から素材を集めて完成させた遺作『スペア・チェンジ』とドキュメントが加わったトータル7本・45分間の集大成的上映です。
いわゆる手作り(手描き)アニメといわれるジャンルの作品で、(後継者作品を見てきているだけに)さすがに今見ると古い感じもするのですが、徹底的に「動き」に絞り込んで掘り下げた作品は、今だからこそのプリミティブな感動を与えてくれます。
『ウォーキング』はなにげなく見ていると、1人1人の登場人物が歩き方だけでキャラクタライズされてゆき、個性をもって見えてくるのが素晴らしかったです(「彼はロトスコープは使っていない」という説明に初期QUEENのノー・シンセサイザーというクレジットを思い出しちゃいました。)。
『ストリート・ミュージック』は個々の表現としては面白かったのですが、ストーリー性がなく、今見るとアニメーションの実験集のような感じもして、ちょっと冗長に感じられました。個人的には木炭アニメの『シランクス』が好きな題材と表現方法でした。
いずれにしても、60年代にはものすごく斬新でキャッチーだったことは想像に難くないです。
うってかわって3DCGのオスカー受賞作『RYAN』は表現とテーマが見事にマッチングし、ドラッグとアルコール依存を含め内容的に考えさせられる作品でした。
新旧の表現の差違も面白いのですが、作品の向こう側にあるもの(創作の葛藤)を意識させられた作品でした。
今回、見に行った劇場ライズXは全席指定、定員(38席)入替制という超小スペース。
ここで一度映画観賞されたことのあるちゃとと様の「1階より、かえって2階席のほうが見やすい」というアドバイスで2階席で見ました。狭いながら独特のクセのある仕様で、実験的作品や小作品を見るには丁度いい空間だったと思います。
ライアン・ラーキン 路上に咲いたアニメーション - goo 映画
1965年から1972年にかけて、たった4本の短編作品を残し、2007年にこの世を去った伝説にアニメーション作家、ライアン・ラーキン。わずか25歳にしてアカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされるなど、瞬く間にその名を世界に轟かせた。だが、若すぎた成功と創作へのプレッシャーに追い詰められ、やがてすべての栄光を捨てホームレスとして生きることを選ぶ…。10年後、彼の境遇を知った国際アニメーション映画祭のディレクターが、ライアンを審査員として呼び寄せた。他の審査員たちは得体の知れない人物の加入に不満を抱いていたが、ある夜、審査員自身が手掛けた作品を互いに鑑賞する上映会で一変する。ただ人が歩くだけの、わずか5分の短編に、全員が感動のあまり言葉を失った。その作品こそライアン・ラーキンの傑作『ウォーキング』だった。審査員の1人、CGアニメーション作家クリス・ランドレスは、ライアンの魅力に引き込まれ、彼へのインタビューを基にCGアニメ作品『ライアン』を制作。2005年アカデミー賞短編アニメーション部門でオスカーを受賞したことで、ライアン・ラーキンの名は、再び世界の注目を集めることになった。
その後、周囲の協力で路上生活を脱したライアンは、実に5年ぶりとなる復帰作『スペア・チェンジ 小銭を』の制作に取りかかったが、完成前の2007年2月14日、肺がんにより他界。しかし、2008年の冬、彼が亡くなる直前まで描き続けたドローイングを基に、仲間たちの手によって、幻の新作が完成されたのだった。この「ライアン・ラーキン 路上に咲いたアニメーション」では、アニメ史上に残る名作『ウォーキング』『ストリート・ミュージック』など、ライアンが生前に残した4本の短編全作品と、死後に完成した遺作『スペア・チェンジ 小銭を』に加え、クリス・ランドレス監督のオスカー受賞作品『ライアン』、そしてライアン本人へのインタビューを収めたドキュメンタリーのダイジェスト映像を一挙上映。
関連:
アートな予定
私と『阿房列車』とデルヴォーと
天才アニメーターから、ドラッグとアルコール依存によって路上生活者に転落した、という経歴を見て、予告編を見て「これは見に行かねば」と思った作品。
ちょうど渋谷で『ベルギー幻想美術展』オフのタイミングだったので、メンバーにご紹介したら、すごい映画&アニメ通(だけではありませんが)のラッコ庵様、ちゃとと様だけあって、即座に興味をもってくださって、ご一緒することがかないました。
ラーキン自身の作品としては
●『シティ・スケープ』:世界的実験アニメーションの大家、ノーマン・マクラレンの主催していた授業で、その才能を認められた、都会に出た青年のパニックを描いた作品
●『シランクス』:マクラレンに絶賛され創りだした二作目。パンに追われて葦になってしまうニンフ、シランクス(シュリンクス)の神話を描いた作品(曲はドビュッシー)。
●代表作とされ、後世のアニメーション作家に多大な影響を与えた『ウォーキング』と『ストリート・ミュージック』の計4本。
それに、ラーキンとのインタビューを元に作られ、アカデミー短編アニメーション部門でオスカーを獲得した3DCG作品『ライアン』と、アニメーター仲間がライアンの遺品から素材を集めて完成させた遺作『スペア・チェンジ』とドキュメントが加わったトータル7本・45分間の集大成的上映です。
いわゆる手作り(手描き)アニメといわれるジャンルの作品で、(後継者作品を見てきているだけに)さすがに今見ると古い感じもするのですが、徹底的に「動き」に絞り込んで掘り下げた作品は、今だからこそのプリミティブな感動を与えてくれます。
『ウォーキング』はなにげなく見ていると、1人1人の登場人物が歩き方だけでキャラクタライズされてゆき、個性をもって見えてくるのが素晴らしかったです(「彼はロトスコープは使っていない」という説明に初期QUEENのノー・シンセサイザーというクレジットを思い出しちゃいました。)。
『ストリート・ミュージック』は個々の表現としては面白かったのですが、ストーリー性がなく、今見るとアニメーションの実験集のような感じもして、ちょっと冗長に感じられました。個人的には木炭アニメの『シランクス』が好きな題材と表現方法でした。
いずれにしても、60年代にはものすごく斬新でキャッチーだったことは想像に難くないです。
うってかわって3DCGのオスカー受賞作『RYAN』は表現とテーマが見事にマッチングし、ドラッグとアルコール依存を含め内容的に考えさせられる作品でした。
新旧の表現の差違も面白いのですが、作品の向こう側にあるもの(創作の葛藤)を意識させられた作品でした。
今回、見に行った劇場ライズXは全席指定、定員(38席)入替制という超小スペース。
ここで一度映画観賞されたことのあるちゃとと様の「1階より、かえって2階席のほうが見やすい」というアドバイスで2階席で見ました。狭いながら独特のクセのある仕様で、実験的作品や小作品を見るには丁度いい空間だったと思います。
ライアン・ラーキン 路上に咲いたアニメーション - goo 映画
1965年から1972年にかけて、たった4本の短編作品を残し、2007年にこの世を去った伝説にアニメーション作家、ライアン・ラーキン。わずか25歳にしてアカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされるなど、瞬く間にその名を世界に轟かせた。だが、若すぎた成功と創作へのプレッシャーに追い詰められ、やがてすべての栄光を捨てホームレスとして生きることを選ぶ…。10年後、彼の境遇を知った国際アニメーション映画祭のディレクターが、ライアンを審査員として呼び寄せた。他の審査員たちは得体の知れない人物の加入に不満を抱いていたが、ある夜、審査員自身が手掛けた作品を互いに鑑賞する上映会で一変する。ただ人が歩くだけの、わずか5分の短編に、全員が感動のあまり言葉を失った。その作品こそライアン・ラーキンの傑作『ウォーキング』だった。審査員の1人、CGアニメーション作家クリス・ランドレスは、ライアンの魅力に引き込まれ、彼へのインタビューを基にCGアニメ作品『ライアン』を制作。2005年アカデミー賞短編アニメーション部門でオスカーを受賞したことで、ライアン・ラーキンの名は、再び世界の注目を集めることになった。
その後、周囲の協力で路上生活を脱したライアンは、実に5年ぶりとなる復帰作『スペア・チェンジ 小銭を』の制作に取りかかったが、完成前の2007年2月14日、肺がんにより他界。しかし、2008年の冬、彼が亡くなる直前まで描き続けたドローイングを基に、仲間たちの手によって、幻の新作が完成されたのだった。この「ライアン・ラーキン 路上に咲いたアニメーション」では、アニメ史上に残る名作『ウォーキング』『ストリート・ミュージック』など、ライアンが生前に残した4本の短編全作品と、死後に完成した遺作『スペア・チェンジ 小銭を』に加え、クリス・ランドレス監督のオスカー受賞作品『ライアン』、そしてライアン本人へのインタビューを収めたドキュメンタリーのダイジェスト映像を一挙上映。
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