※この小説はアニメ黒執事を基に、二次創作として執筆しております。
一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。
その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。
*シエルとエリザベスだけは成人して大人になってますが、他のキャラは以前の年齢のままですので宜しくお願い致しますm(__)m
■黒執事S.R.S. 白薔薇の花束 その執事、脱兎(だっと) (6)
正装の黒の中国服に、きびらやかな刺繍(ししゅう)が施(ほどこ)された正装姿の男性。
シエルとセバスチャンは、見覚えある人物が目の前に現れハッとした。
「お前は、劉(ラウ)!! あの時に─────── 」
劉(ラウ)はいつもの様に、瞳を閉じ楽しげに笑っている。そして劉(ラウ)は瞳を開け、シエルを見つめ話し出す。
「あの時に──────── それを知って居るのは、私と藍猫(ランマオ)に伯爵と執事君だけ。だから、この、伯爵と執事君は、私と同じく本物だよ。また、伯爵と遊べるなんて光栄だね。」
そう言い終えると、劉(ラウ)は瞳を閉じた。
「劉(ラウ)、その詳細をきっちりと、聞かせて貰う。積もる話しは後だ。」
「ああ、私も聞きたい事があるよ。所で、伯爵のお家(うち)て何処(どこ)なの??」
「調べて来い!!」
「こんな御祝いの日に、そんな顔はしちゃダメだよ??伯爵。藍猫(ランマオ)、お出(い)で。」
短い裾(すそ)の大胆な緑のチャイナドレスから、すらりとした美脚をあらわにし藍猫(ランマオ)が劉(ラウ)の背後から現れる。もちろん手には武器を持つ。
「坊ちゃん!!」
「バルドとフィニか。」
二人も挙式(きょしき)に紛れて参加したらしく正装で紺のスーツ姿。バルドは布で包み込んだ細長い筒(つつ)を、やや重たそうにし肩に担ぎ乗せて持っている。
「元気そうだな。お前達後は、頼んだぞ。」
バルドとフィニを見て、シエルはニヤリッといたずらな笑みを浮かべ見つめた。
フィニは叫ぶ。
「坊ちゃん!!早くここから!!」
「あぁ、エリザベス行くぞ。」
シエルは立ち尽くすエリザベスを、抱きかかえ走り出す。とその時に~ ドルイット子爵が廻りの群衆ににこやかに手を振り、進み出て来た。
華奢(きゃしゃ)で背は高く服装は挙式(きょしき)の新郎よりもド派手な衣装で、女性受けする甘い美貌(びぼう)で廻りを圧倒(あっとう)させる。
せつなげに瞳を閉じドルイット子爵は胸に両手を大切な物を守る様に添え、良く通る美声で群衆に話しかける。
「あぁ、これぞ運命の再会と、囚(とら)われた美しき姫君の鮮(あざ)やかなる救出劇!!その僕(しもべ)達は仕える若き皇子(おうじ)の為に、自分達の命さえも惜しまない。皆様、どうぞ、バージンロードを開けてください。この若き皇子と美しき姫君を祝福し未来へ続く道へ、進ませて挙(あ)げましょう。」
ドルイット子爵は両腕を高く広げ群衆に問い掛けるとその呼び掛けに、女性達は歓声を上げると熱い羨望(せんぼう)の眼差しでドルイット子爵を見つめ盛大に拍手をし返答した。
「私もいつの日か、愛する駒鳥(こまどり)に逢える日を───── この狂(くる)おしい胸に抱きしめてしまいたい!!」
ドルイット子伯爵は大切に両腕で、自分自身をせつなげに愛(いと)おしむ様に抱きしめた。
その先頭にはセバスチャンが護衛し、それに続き藍猫(ランマオ)がシエルとエリザベスの行く手を阻む者を食い止める。
フィニとバルドはシエルとエリザベスの背後を護衛し、興味津々でバージンロードに押し寄せる群衆を振り払い道を作る。劉(ラウ)は人垣で空いたバージンロードを悠然(ゆうぜん)と歩き同じく教会の扉の前に辿り着いた。
フィニはシエルに話しかけた。
「坊ちゃん、あの、メイリン…‥」
「あぁ、それは後でだ。お前達を待ってる。」
バルドは細長い筒(つつ)を包み込んだ布を解くと、鋼よりも透き通る一点の曇りがない白銀に輝くバズーカ砲(ほう)だった。
「へへ、いつか、役に立つと思ってな。おらよ。」
バルドはしっかりと耳に狙撃者用の防音ヘッドホンを着用し、バズーカ砲(ほう)の安全装置を解除した。バルドは腰を落としバズーカ砲(ほう)を構えた!!
「坊ちゃん、どうぞ。お乗りください。」
セバスチャンが馬車の扉を開けるとエリザベスとシエルは、馬車に乗りセバスチャンは馬車を走らせた。
劉(ラウ)と藍猫(ランマオ)はバルドとフィニの背後で、その成り行きを見守った。
「坊ちゃんが、帰って来た御祝いだ!! 受け取れよ!!」
バルドがバズーカ砲(ほう)のトリガーに指をかけ、教会内部に先を向けトリガーを引いた!!
バズーカ砲(ほう)の先端は閃光(せんこう)を発し、実弾で高らかに祝砲(しゅくほう)を挙(あ)げた!!!!
教会内部はまばゆく光り祝砲(しゅくほう)の轟音(ごうおん)と、群衆の驚きどよめく声が入り混じった。
「俺らも撤収だぜ!!」
「私も行こうかな。」
藍猫(ランマオ)は劉(ラウ)に尋(たず)ねる
「何処(どこ)へ行く??」
「知らないから、付いて行くだけだよ。藍猫(ランマオ)。」
黒執事S.R.S. 白薔薇の花束 (7)