もぐ菜のみっしり茶匣(はこ)院

ようこそ腐女子の匣喫茶へ お好みのモノをどうぞ、召し上がれ。 日々を書き連ね、妄想をこよなく愛でます

OAV結末後 戦闘妖精雪風 additional Air@後書き

2011-09-30 00:15:01 | 腐女子の御伴
どうも、もぐ菜です。お蔭(かげ)さまでめでたくOAV結末後 戦闘妖精雪風 additional Airが完結しました。


もぐたんに勧められて見たのがOAV戦闘妖精雪風でした。 そんなこんなで、もぐ菜は激しく戦闘妖精雪風にのめり込みました。


何度もブログでカキしたけどどうして、あんなに愛してた零を独(ひと)りで往(い)かせたの??あの結末は絶対にありえない!! スタッフのインタビューをDVDで見てわかった。

零は生まれる場所を間違えてしまい、妖精の国へ旅立って往(い)ったと。やい、ブッカーはどうなるんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 絶対独身だろうな。大好きな人が存在しない世界にお互い生きるなんて存在意味がないじゃんか。

ならば、もぐ菜がブッカーと零を幸せにしてあげる。物語をカキするのに一番重要視したのが、何故(なぜ)ブッカーは零を独(ひと)りで往(い)かせたのか?? どうして零はブッカーを連れて往(い)かなかったのか??



ジャック、 俺は何があっても、あんたの元に還(かえ)って来るさ。



俺と来てしまったら、俺の居場所が無くなってしまう。


俺の─────────── 居場所を奪わないでくれ。


ジャック、あんたが居ないと俺は存在出来ない。





雪風はジャムに囚われるのが非常に嫌がったし、零と雪風がジャムの幻惑(げんわく)にはまり楽しく生活してるのも腑(ふに)に落ちない。何の為に雪風は闘ってたのかを、否定する様なもんだ。

だったら零を連れ戻してやるさ。雪風の主張を思えばこそ過去へタイムスリップさせた。


そして影のヒロイン??主役が如月(きさらぎ)雪風(ゆきか)。彼こそが擬人化した雪風。アンドロイドなのに零よりも人間ぽい(笑)ヒロインと言ったけど、雪風(ゆきか)は正真正銘の美男子です。

雪風(ゆきか)と言うキャラを誕生させた事により物語をカキ出来たと思う。ある意味雪風(ゆきか)の恋物語とも言える。戦闘機である雪風は零を愛し、人としての雪風(ゆきか)はブッカーを恋した。


それと重ね合わせたのが、アンデルセンの人魚姫です。 以前にブログで人魚姫で思う事をカキしましたが、アンデルセン自身が味わった苦悩を投影した物語が人魚姫になったと。

お姫様が横取りしたなら、復讐相手は人間のお姫様だろ。王子様は刺せないけど人間のお姫様なら刺せるはず。人魚姫(雪風(ゆきか))が人間のお姫様(零)を刺すと、夢も希望もないので人魚姫の姉(雪風の姉妹機)Sister-clariceがとどめを刺す事にした。


思ったより長い物語になりました。初めて構成した時は全15話の予定が、予告含め40話になるとは(汗)

長いのに最後まで、もぐ菜と腐女子会に参加して頂き誠にありがとうございました。 ブッカーと半年過ごせてほんと楽しかった。毎日ブッカーの事を考えてました。

小説カキ終わったらとたんに、寂(さび)しくなるしさ。スタバ通いもしないだろうな。妄想が舞い降りたらなんかカキするかも予定は未定(笑)




OAV結末後 戦闘妖精雪風 additional Air the end

2011-09-30 00:14:01 | 腐女子の御伴
※この小説はOAV戦闘妖精雪風を基に、二次創作として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。





         additional Air missioncomplete.






遠く澄(す)み渡る青空を如月(きさらぎ)は見つめた。一ヶ月の養生(ようじょう)をする為に、イギリスのロンドンに来て二週間が経った。

清水夫妻が養生(ようじょう)するなら、日本へ来る様に提案してくれたが如月はイギリスが良いと言った。如月はイギリスが気に入ってる。ブッカーの言う、じい様のマナーハウスに世話になってる。

マナーハウスはロンドン市外にあり鬱蒼(うっそう)とした森に包み込まれた城。テラスでお茶会を優雅に楽しみ、庭を一日がかりで散策をした。ブッカーの言う、じい様とエドワードからブッカーの幼少時代の話しを聞いた。ロンドン観光をし退屈はしてない。時間が足りないぐらいだった。

南極での仕事が一段落がついたとブッカーから、連絡があり今日の昼にはイギリスのロンドンの空港に到着予定と言う事だった。


如月は空港のロビーでブッカーと深井を待って居る。大型旅客機が分刻みで離陸、発着をし滑走路を行き交う。ロビーのガラス越しにカメラで旅客機を撮影する人や、のんびりと過ごして居る人と様々だ。

広いロビーには大勢の人々が集まり、忙しいとその様子を如月は見つめた。



わさわさとした慌ただしく行き交う人混(ひとご)みの中で、如月に手を振るブッカーを見つけた。隣には深井がおり、ブッカーの横にぴったりくっつ居てる。

マナーハウスに旅行の荷物は前日に届いてるので、ブッカーは手提げのビジネス鞄(かばん)を手で持ってるだけ。深井は何も持ってない。

深井も幾分か如月と言うキャラに慣れ始めた。

ブッカーはロンドンに帰郷(ききょう)したので、きっちんとコートを羽織(はお)りスーツ姿。ブッカーは深井にも用意をしたが、深井はジャンバーと長袖のTシャツとジーンズで良いと云うのでラフな出(い)で立ち。

如月はフェミニンなデザインのコートにフリルが付いたブラウスにベストを重ね着。下は腰と足のラインにぴったりとした動きやすい伸縮生地のズボンの上に赤のタータンチェックの巻きスカートにブーツ。


「お帰りなさい。」

ブッカーに抱き着く如月。

「雪風(ゆきか)が、元気そうでなりよりだ。俺にとってロンドンは、箱庭みたいなもんだ。」

如月の肩を両手で軽くリズミカルに触れるブッカー。深井はそんな二人を見つめ言う。

「ただいま。」

「零、お疲れ様。」


「さてと。エドワードは??」

「うん、エドワードはお爺様の用事を済ませたら、空港に迎えに来るって言ってたよ。もうそろそろ、待ち合わせの時間になる。」

すると雪風(ゆきか)のコートの胸の内ポケットで携帯電話が鳴る。雪風(ゆきか)は携帯電話をコートの胸の内ポケットから取り出し電話に出た。



「はい、雪風(ゆきか)です。エドワードさん??」

エドワードが空港にブッカー達を、迎えに来たとの連絡だった。 三人は空港の車専用ターミナルへ向かい歩く。


如月はロンドン観光の事やお茶会の事を話した。それと、エドワードから聞いたブッカーの幼少時代の話し。

「ジャックはいたずらっ子で、お爺様がけっこう大変だったと聞いたよ?? エドワードはジャックが12歳までは、真夜中のトイレには付き添って行ったとか。」

「じい様のマナーハウスは屋敷と言うよりも城塞(じょうさい)で、幽霊の一匹や二匹は居着いててもおかしくないから、子供の時の夜のトイレは怖かった。タウンハウスは住み慣れてるが、マナーハウスの雰囲気が苦手だった。」


「ジャックのいたずらか───── 詳しく聞きたい。」

「でね、ジャックがいたずらした、傑作なのはねぇ。」

「エドワードは、そんな事まで喋ったのか?? 話しは変わるが───── 雪風(ゆきか)、リン ジャクスン女史と会う約束をした。明々後日にマナーハウスに来るそうだ。」

「お客さんが増えて賑(にぎ)やかになるね。」

「俺達がフェアリィに帰る前に、会って話したい事が沢山(たくさん)ある。」



フェアリィ星へ帰る間際の休息を楽しんだ。 そして、これからの自分達の役目を果たす為に必要な事。


三人は空港から出た。深井はロンドンの青空を見上げる。

自分と雪風が再びフェアリィの人工色の青い空を、舞う時が来る日を待ち侘(わ)びて居ると。想い馳(は)せた。





         additional Air the end





additional Air@後書き

OAV結末後 戦闘妖精雪風 additional Air (35)

2011-09-30 00:13:01 | 腐女子の御伴
※この小説はOAV戦闘妖精雪風を基に、二次創作として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。




         additional Air (35)




あれから一週間が過ぎ如月(きさらぎ)は、主治医の診断を受けて明日には退院の許可がおりた。退院しても一ヶ月は養生(ようじょう)し、一ヶ月後に主治医が判断して現場復帰する予定。



ブッカーと深井は新開発された配備される雪風の調整をして居る。テストフライトをする為に。そして、フェアリィ星への帰還(きかん)の準備に追われる。



地下整備場。

配備された雪風の操縦席に乗り込む。

深井とブッカーは雪風の微調整をして居る。深井はグレーの整備服のつなぎに安全靴。

雪風が何度もどんなに生まれ変わろうと、雪風と深井の関係は何一つ変わらない。

「雪風。」


ノーズの尖端(せんたん)に白で雪風とブッカーがペイントした。


雪風から降りてタラップの上に居るとサイファーがやって来た。

「やあ。深井大尉殿。」

「あんたか。」

深井は厄介な奴が来たと思った。相変わらず全身は黒づくめ。死顔の鎌(かま)でも持たせたら似合いそうな気がする。サイファーの経歴は戦闘機のドライバーで大変優秀だったと。生き延びたこそ、今の職に就いたと言える。


「雪風はどうです??」

「乗り心地か??」

「彼女の精神状態を聞いただけです。Sister-clariceが心配して居るもので。」

「あんだけ酷(ひど)い思いをしたんだ。ショックだろ。実の姉に墜落(ついらく)させられたのだから。」


「雪風を攻撃したのではない。深井大尉殿、貴方(あなた)に攻撃を放っただけだ。それを勘違いしないで貰いたい。妹の仇(かたき)を取りたかったと。私はaliceにSister-clarice達と同様に同じコミュニケーションシステムをインストールしようと準備してたが、FAFがaliceを早急に配備する様に要求して来た同時に、aliceをあっという間に連れ去って行った。」

深井はジロリとサイファーを睨む。サイファーは続けた。


「人魚姫の話しを知ってるはずだ。人魚姫は人に憧れ人と同じ様になりたくなり──────悪声の持ち主である海の魔女に望みを叶える代わりに、人魚姫の美しい声と引き換える様に言われ人と同じ足を手に入れた。そして、嵐の晩に王子を乗せた船が難破し海辺に流された。人として海辺の小屋で暮らして居た人魚姫は、王子を海辺の小屋でかいがいしく世話をするが、それを人間の姫と従者が見つけた。目覚めた王子は人魚姫との記憶がない。二人は愛し合う。姫は従者を王子の住んで居た国へ向かわせた。王様は王子の無事を喜び、その姫と結婚式を挙(あ)げると決めた。それが人魚姫の悲劇だ。」



深井は雪風を見つめ物語の結末を語り出す。

「王子は姫と一緒に船で自分の国へ帰る。人魚姫も船に乗り込んだ。その時に人魚姫の姉が海から現れナイフを差し出し、王子を葬り去る様に言う。そうすれば、海の魔女の魔法が融(と)けて元に戻れると─────── しかし、眠って居る王子にナイフを刺せず…… 人魚姫は海の沫(あわ)となり天に召された。」



深井の言葉を聞きサイファーは言う。

「アンデルセンの人魚姫はそうだ。王子はブッカー少佐、人間の姫は深井大尉殿で人魚姫は如月中尉。人魚姫の姉はSister-clarice。としょう。私が言いたいのは、人魚姫の姉であるSister-clariceは人間の姫である深井大尉殿に反撃したのだ。」


サイファーの言葉に苛立(いらだ)ち深井は声を荒げる。

「それは、あんたとSister-clariceの都合の良い屁理屈だ!! 雪風を墜落(ついらく)させておいて何を言う。」


そんな深井をただ淡々と見つめるサイファー。

「深井大尉殿、貴方(あなた)は雪風を、自分の分身であると公言してたはずだ。Sister-clariceは雪風を、深井大尉として墜落(ついらく)させた。」


深井は押し黙る。

ブッカーが深井の名前を呼びやって来た。ブッカーも同じくグレーの整備服のつなぎに安全靴。

サイファーはブッカーに敬礼する。ブッカーもサイファーに敬礼をした。

「お元気そうですね。ブッカー少佐殿。」

サイファーはブッカーを気に入ってるらしく爽やかに挨拶をした。

「えぇ。お蔭さまで。サイファー局長。」

二人のやり取りに割り込む様に深井は言う。

「髭面(ひげづら)王子。」

「あっ??」

「あんたが王子様だなんてな。王様がお似合いだ。顎(あご)の髭(ひげ)だいぶ伸びたな。」

「何がだ、零??」


二人のやり取りにサイファーは笑いを噛み殺す。


雪風の隣に居るSister-clariceをサイファーは見つめ。小型端末機で暗号化し会話をした。Sister-clariceの返答は───────


聞き分けが悪い人間は苦手と言う返事だった。





additional Air the end

OAV結末後 戦闘妖精雪風 additional Air (34)

2011-09-30 00:12:01 | 腐女子の御伴
※この小説はOAV戦闘妖精雪風を基に、二次創作として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。




         additional Air (34)




そしてその日の夜に日本の埼玉から清水夫妻がやって来た。



夏貴と如月(きさらぎ)は仲の良い姉妹にも見える。

「良かったぁ。」

「食事はミキサー食を食べてから、徐々に慣らして通常の状態の食事になるって。早く普通の食事したいな。」

「ミキサー食って赤ちゃんが、食べる離乳食みたいなもんかしら。」

「似た様な物らしいよ。」

夏貴と夫である秋彦は面会者様の椅子(いす)に腰掛けて居る。如月は縫いぐるみと一緒にベッドに横になって居る。

清水夫妻の少し後ろのやや離れた場所に深井とブッカーが、同じく面会者用の椅子(いす)に腰掛けて居た。

「あのねぇ、ドクター、僕って誰をイメージして造ったの??」

「んん?? 私の妹として造ったの。だから、私に似てる居ると思うわ。どうして??」

「えぇ、雪風(ゆきか)君は、私の大切な夏貴さんに似て美しいはずですよ。」

夫の秋彦はニコニコと上機嫌で言う。

如月は照れた表情で秋彦に答える。

「ジャックは僕は零に似てるって、零が妖精の女王に似てるって言うし。」

「夏貴さんから比べれば、妖精の女王なんて足元にも及ばない。まさに月と鼈(すっぽん)レベルと私は思いますね。」

「秋彦さん、夏貴さんて呼ばないで言ったでしょ。ナッキーて呼んでね。」

ブッカーと深井は三人の会話を聞き呆(あき)れた。妖精の女王が聞いたら激怒しそうな会話。夏貴の夫である秋彦は妖精の女王をなんて見た事もないのに、良く言えるもんだっと深井は思う。

「あんたは妖精の女王も知らないのに、自分の妻とよく比べるられるもんだ。」

それを聞き秋彦は振り返り深井を見て、澄(す)ました顔で平然(へいぜん)と言う。

「妖精の女王を知らない訳ではありませんよ。私は嘘は言いません。ふっ、妖精の女王と妖精達に負ける気はしないですね。」

本気なんだかジョークで言ってるのかわからない。秋彦は今日もきっちりと仕立ての良い、ブランドのビジネスブランドスーツを自然に着こなしており靴はビジネスシューズ。妻の夏貴は白のブラウスにレースとフリルがたっぷりの黒のワンピースに黒のハイソックス。今日も何屋か不明な出(い)で立ち。



ブッカーは如月は零に似て居るが如月は、幼さの面影を残しつつ可愛(かわい)いらしいと。ブッカーは深井は美しいと思う。

深井は自分よりも妖精の女王に似て美しいと思って居る。

夏貴の意見は自分に似て可愛(かわい)いと言い張る。夫である秋彦は如月は、深井に似てない如月は妻に似てる。秋彦いわく妖精の女王よりも数倍夏貴は美しいと。



「雪風(ゆきか)の好きなブランドの洋服や小物をいっぱい持って来たよ。退院したら、ゆっくり見てね。後もう少し入院してなさい。退院したらすぐに現場復帰は絶対に厳禁よ??」

「うん。退院したらジャックがすぐに、僕をこき使うて。」

如月の無邪気で素直な返答を聞き、清水夫妻は後ろを振り返り冷たい眼差しでジロリとブッカーと深井を睨みつけた。

「雪風(ゆきか)それは軽いジョークだ。その、お二人方本気になさらずに。」

「ブッカー少佐、貴方(あなた)の上官はどなた?? 貴方(あなた)の上官の命令なら私が、貴方(あなた)の上官と直接お話しをしても良いわ。」

「私も同席させて頂きたいですね。」



清水夫妻をブッカーは説得し事は済んだ。

個室から帰ろうとすると如月はブッカーに言う。

「ねぇ、ジャック。あの日の、約束を覚えてる??」

「任務が終わったらたまには、小洒落(こじゃれ)た店で食事をしょうと。」

ブッカーの言葉を聞き如月は嬉しいそうに笑う。

「じゃあ。」

右如月は手を出し小指をブッカーに差し出す。ブッカーは指切りの約束と思い、如月の小指に自分の小指を絡めた。

「約束だよ。」

「そうだな。おやすみ。」

「おやすみなさい。」

深井は二人のやり取りを横目で見つめる。

「雪風(ゆきか)、バイバイ。また、来るね。」

「もう日本に、帰っちゃうの??」

「雪風(ゆきか)がこんなにも、元気になったから安心したわ。おやすみね。秋彦さんも仕事あるし。」

「うん、おやすみ。零もおやすみ。」

「あぁ。」

深井は一言返事をした。



四人は如月の個室を退室した。病棟のエレベーターに乗った。




additional Air (35)

OAV結末後 戦闘妖精雪風 additional Air (33)

2011-09-30 00:11:01 | 腐女子の御伴
※この小説はOAV戦闘妖精雪風を基に、二次創作として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。




         additional Air (33)




ブッカーは如月(きさらぎ)が、入院して居る軍部医療センターに大急ぎでやって来た。

病棟のナースステーションに、寄ってから個室へ向かった。

個室のスライドドアを五回ノックした。すると如月の声がする。ブッカーは返事をし入室した。


「雪風(ゆきか)。」

ベッドの上位をギャッチアップし、上半身を起こして居た。一ヶ月ぶりに目覚めた如月を見つめブッカーは、一安心をした。

如月はブッカーを見つめ微笑(びしょう)をした。幼さの面影を残し肩にかかる髪はだいぶ伸びた。

テディベア風の中型のゴールドマロンブラウンの毛あしが短い触り心地が良いクマの縫いぐるみと、伏せのポーズをした同じく中型のシルバーグレイの毛あしが長く毛並みの良いネコの縫いぐるみを撫でて居た。

「ジャック。」

「久しぶりに目覚めた気分はどうだ??」

肌掛けを下半身にかけており、肌掛の合間から二匹の縫いぐるみがちょこっと顔を覗かせる。

「うん。身体が粉々に砕ける様な激痛を感じて、気がついたらベッドから転落してた。看護師さん達が、異変にすぐに気がついて助けに来てくれたんだ。」

「そうか。」

サイファーの言葉を信じるなら戦闘機の雪風と同化して居た人としての雪風(ゆきか)を、Sister-clariceがショック療法で引き離したのだろう。

「ねぇ、僕はこれからどうなるの??」

「そうだなぁ。零は、特殊戦 第五飛行部隊のエースドライバーとして、再び雪風と共に空を飛ぶだろう。雪風(ゆきか)は俺の、補佐官として働いて貰おうと思う。」

「ほんと??」

「あぁ、体調が落ち着いて退院許可がおりたら、遠慮なくこき使うぞ??それと、ドクターに連絡をしたら今日中に雪風(ゆきか)に面会するので迎えに来いと言われ今、日本の埼玉までドクターを迎えに向かってる。」

「零は??」

「Sister-clariceによって、撃墜(げきつい)された雪風を回収しに出掛けた。」

「やっぱり。そうなんだ。姉様は───────」

「妹である雪風を不憫(ふびん)に思った末の行動と、Sister-clariceの親であるサイファー局長が言っていた。雪風を零の分身として撃ち墜(お)としたそうだ。」

「姉様にとってサイファー局長はお兄様。兄として親密に慕っているよ。」

「零が雪風をたぶらかしたと言うし、俺は雪風(ゆきか)の心を翻弄(ほんろう)したと言われ目の敵(かたき)扱いだっさ。」

雪風は慕える存在を欲してたのだろう、だからこそ、零と言う存在にのめり込み同調(シンクロ)した。Sister-clariceにはサイファーが居た。

零の傍(かたわ)らにはブッカー。




あの日が全てを狂わせた。フェアリィ星からの全面撤退と空間通路を塞いだあの時に。




「そうだ。ずっと知りたかった。一つだけ聞きたい事がある。どうして、俺の顎(あご)髭(ひげ)を剃った??」

「怒らない??」

「あぁ。」

「あのね、顎(あご)髭(ひげ)のあるジャックが零のモノだったら、顎(あご)髭(ひげ)のないジャックを少し時間だけで良いから、僕のモノにしたかった。顎(あご)髭(ひげ)伸びたね。」

「それで、俺の顎(あご)髭(ひげ)を剃ったのか………」


ブッカーは深い溜息をついた。

たわいのない会話をして居ると、ノック音と共に個室のスライドドアが勢いよく開き零が飛び込んで来た。

「ジャック。」

服装はいつもの普段着姿の零。

「雪風の回収作業お疲れ様。」

「あぁ。雪風の機体は木(こ)っ端(ぱ)みじんだ。回収をする必要もない程だった。Sister-clariceが雪風に撃ち込んだミサイルは、新開発されたミサイルでテストを兼ねてたんだろうな。サイファーに苦情を言ってやったさ。雪風を自分の娘やSister-clariceの妹と言う割には、新開発したミサイルのテストに生贄(いけにえ)にしたと。したら、何と言った思うか??雪風を地上に無惨に墜(お)とす前に、上空で粉々にする目的だったと言いやがる。」

ベッドの横の面会者用の椅子(いす)に、腰掛けるブッカーの隣に深井は来た。

「雪風(ゆきか)。」

深井に名を呼ばれ如月はハッとし見つめる。

「誰かに似て居ると思ってたんだ。妖精の女王に似て居るんだ。ジャック、あんたの言うじい様とジャックは妖精の女王に会ったと。」

ブッカーは零の言葉を聞き唖然(あぜん)とした。

「それは、じい様と俺とエドワードしか知らなずだ。俺達三人だけの秘密で口外(こうがい)法度(はっと)のはずで、じい様の家の家族と仕える者達は誰一人知らない。」

「タイムスリップで元の世界へ戻る時に、妖精の女王が雪風を連れて現れ俺を助けてくれた。」

「俺は夢を確かに見たが、妖精の女王の顔は覚えてないなぁ。」

ブッカーは考え込む如月は零に似て居ると思うと。




additional Air (34)

OAV結末後 戦闘妖精雪風 additional Air (32)

2011-09-30 00:10:01 | 腐女子の御伴
※この小説はOAV戦闘妖精雪風を基に、二次創作として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。




         additional Air (32)




美しい羽を広げ空を舞う二匹の妖精────────── その姿は無邪気に戯(たわ)れてる様にも見えるが───────────



妖精達の瞳は、映るモノをただ見つめた。そして、お互いを敵と見なし攻撃対象物と認識した。


雪風は雲の中へSister-clariceはそれを追い掛ける。人の目からは姿は消えた。



深井は今すぐにも、雪風の元へ向かいたかった。彼は執務室から駆け出し、基地の外に出た。その時に遥(はる)か彼方(かなた)の上空で閃光(せんこう)と共に深紅(しんく)に燃え上がり、深井はそれと同時に身体に雷(いかずち)が撃たれる様な激しい痛みが全身を駆け抜け屈み込む。

その痛みの衝動(しょうどう)を、怺(こら)えるが息苦しい。遥(はる)か彼方(かなた)の空はどす黒く染まり、雲の合間からまばゆい光を何度も放つ。



そして、深井は叫んだ。




「雪風!!!」



機体が煙りの黒い衣に包まれながらも雪風は、ミサイルとバルカンを執拗(しつよう)に撃ち込まれ墜(お)ちて逝(ゆ)く。

雪風は地上に墜(お)ちる前に、空の沫(あわ)と成り果て様としている。黒の花瓣(はなびら)を散らす様に微塵(みじん)に機体が砕けた。



妖精は空で息を絶たれ、空気の沫(あわ)とり地上には還(かえ)らなかった。




Sister-clariceは任務を遂行(すいこう)した事を伝え、基地(きち)へ帰投(きとう)をした。



深井はその姿見つめ空へ腕を延ばし、空を舞う妖精を捕らえ様とし掌(てのひら)を強く握りしめた。

「零!!」

「深井大尉殿!?」

「雪風が堕(お)ちた………」

「零。あの方角は───── 人類が初めてジャムと遭遇(そうぐう)し、戦闘機が墜落(ついらく)した場所のはずだ。今は廃墟(はいきょ)になっている。」

そう言いブッカーは、深井の身体を優しく抱き両腕で包み立ち上がらせた。深井は俯き嗚咽(おえつ)を必死に怺(こら)える。

「深井大尉殿。Sister-clariceは、雪風を敵として憎しみ撃ち落とした訳じゃない。深井大尉殿の分身として撃ち落とした。それを勘違いしないで欲しい。Sister-clariceは妹思いの姉だ。それと、FAFに最新の戦闘機を配備する。そう、深井大尉殿貴方(あなた)が搭乗する為に開発された機体だ。Sister-clariceが雪風のデータリンクを持ち帰って来たのを入力すれば完了。その作業を終えしだい、テストフライトを頼みますよ。ノーズの尖端(せんたん)に白で雪風とペイントされてください。ただし、派手なコミュニケーションを見せつけない様に、ご注意してくださる様にお願い申し上げます。大事な箱入り娘を嫁がせる親として。雪風をフェアリィ星へ連れて行ってやってください。如月中尉殿にも宜しくと。」

そう言うとサイファーは深々とお辞儀をし去って行った。

「聞いたか零。」

「Sister-clariceは俺が、そんなに嫌いだったのか。」

ブッカーは苦笑いをし零を見つめる。

その時に基地内呼び出し放送で、ブッカーの呼び出しが聞こえる。

「クーリィ准将が大忙しの出番だ。執務室に内線か。戻るぞ零。」

「あぁ。」

深井はサイファーの言葉を聞き一安心した。二人は駆け足で執務室へ戻った。





ブッカーの執務室に、クーリィ准将が腕を組み待ち構えて居た。

「貴方(あなた)達は今まで何処(どこ)へ??」

ブッカーと零は敬礼をした。

「サイファー局長から────────」

サイファーが先程述べた同じ内容をクーリィ准将は伝える。

「深井大尉が雪風の回収作業を、確認したいのであれば向かいなさい。作業用の服は用意してある。私にレポートを提出し報告しなさい。それと、軍部の医療センターからあり、如月中尉の意識が戻り良好との事よ。ブッカー少佐は軍部医療センターへ向かう様に。」

二人はクーリィ准将に敬礼し言う。

「イエスメム。」

二人の言葉に無言で頷きクーリィ准将は去って行った。





additional Air (33)

OAV結末後 戦闘妖精雪風 additional Air (31)

2011-09-30 00:09:01 | 腐女子の御伴
※この小説はOAV戦闘妖精雪風を基に、二次創作として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。




         additional Air (31)




どんなに思い返しても、このブーメランを作った覚えはない。ブッカーは見知らぬブーメランを手に取り見つめる。

「ジャック。」

「俺はこのブーメランを、作った覚えはない。」

「ジャック、俺は過去のあんたと出会った。過去にタイムスリップして、過ごしたのは一週間ぐらいと思う。空間通路を塞いだ日から、こんなにも時間が経過してるとは驚いたさ。俺は浦島太郎になった気分だ。」

「零。確かにこの筆跡は俺のだ。エドワードの事はお前に話した事はないのに、エドワードの名前を知ってる。」

「エドワードなら覚えて居るかも知れない。」

まさか過去に零に出会って居るなんて、思いもしない。悩むブッカー。

その時にデスクのモニタリングが警告音を高々と鳴らす。零は雪風の異変に気づく。

「雪風がジャムだっと!?」

Sister-clarice達がジャムの駆除を終え、基地へ帰投(きとう)し始め様としたその時だった。Sister-clariceは他の戦闘機達には一斉帰投(きとう)の命令を下した。Butler-sebastianとcait-sithは命令に従う。

雪風はSister-clariceの判断を不服とし訴える。

雪風は司令塔の者に帰投(きとう)を求めた。しかし、Sister-clariceにより回線は遮断され雪風は孤立してしまう。

「雪風をどうする気だ!!」

零は怒りに任せ拳で、デスクをたたき付ける。

「何を考えて居る───────Sister-clarice??」

ブッカーはモニタリングを睨む。




執務室のドアがノックされた。ブッカーは入る様に言うと、聞き覚えのない男性の声で失礼と言い入室して来た。

顔立ちは美形の分類には入るなんとも甘いマスクの持ち主で黒いコートを着て居るがだらりと開けられ、黒のスーツ上下に黒のYシャツで第一ボタンを外し胸元が少しはだけている。身長は186ぐらいで細身。髪の色はモカダークで前髪は長くだらりと後ろ髪も男性にしては長い。歳は30歳ぐらい??には見える。

見慣れない客がやって来たので、ブッカーは驚く。しかし、客である男性はブッカーの事を知って居るらしくごく普通に会話を始める。

「始めまして、ブッカー少佐、深井大尉。私は、南極基地防衛軍の第一開発部の局長です。」

「あぁ、この南極基地の所有権を持つ方々だな。」

「まぁ、その一部ですが。」

「俺達を疑いにわざわざ来たのか??」

零がその男に掴みかかろうとする。

「私はSister-clariceの開発者。そして、雪風と言う戦闘機も同じく、開発したと言えばお分かり頂けますか。」

「Sister-clariceと雪風は姉妹機であったと。」

ブッカーの問い掛けに男は頷く。


「私の名前はクリス サイファー。」

「雪風をどうする気なんだ。場合によっては……」

「そんなにいきり立てなくっても。私はSister-clariceに要請(ようせい)を受けて、雪風(ゆきか)を助けに来たと先に伝えておこう。」

「Sister-clariceが??」

「彼女は妹を大切に今も思って居ます。苦渋の決断と私に訴えました。」


雪風は逃げる、それを追い掛けるSister-clarice。 Sister-clariceはロックオンをし雪風に狙い定める。

「ブッカー少佐、深井大尉と出会ったのが運の尽き。あんな派手に、コミュニケーションを執(と)るからジャムに目を付けられる。私とSister-clariceはコミュニケーションを、執(と)る時はわざわざ暗号化して会話をする。開発に携わった者達でさえ、Sister-clariceをただの戦闘機にしか思ってない。」

「サイファー局長にお聞きしたい雪風(ゆきか)は俺のノートパソコンに身を潜まして居たと、聞いたがSister-clariceも出来るのか??」

「えぇ、出来ますよ。ネット空間を漂って居た雪風が私の元に、訪ねて来た時は驚いた。私の元に居る様に説得したが雪風は、確認したい事があると言い去って行った。戦闘機に戻りたいと思えば、人間化して居るとは。それも、上官であるブッカー少佐と深い仲になり、それが原因で現実逃避。深井大尉よりもタチが悪い。」


サイファーの言葉を聞き深井は機嫌が悪くなり黙り込む。

ブッカーは瞳を伏せて自分と雪風(ゆきか)の関係が誤解されて居る事に気がついた。

「俺は雪風(ゆきか)に愛されて居たのも気づかなかった。そんなにも夢中になって、居たのかさえも。」

「雪風(ゆきか)は深井大尉が帰還(きかん)したら、ブッカー少佐貴方(あなた)は自分よりも深井大尉を選ぶと思った。見捨てられると思い悲観し、雪風(ゆきか)は雪風に戻ったと言う事です。雪風になれば今まで通りの関係に納(おさ)まると。まったく御仁(ごじん)方は罪深い。」





additional Air (32)

OAV結末後 戦闘妖精雪風 additional Air (30)

2011-09-30 00:08:01 | 腐女子の御伴
※この小説はOAV戦闘妖精雪風を基に、二次創作として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。




         additional Air (30)




清水夫妻は一旦(いったん)、日本に帰国し如月(きさらぎ)の退役期限が切れる三日前に再び来るとの事だった。



FAFは各国の軍と共にジャムを空間通路に追い返し、自分達も再びフェアリィ星へ戻る。 作戦は実行され全力を挙げジャムを追撃しながら追い返し始めた。

その先頭に立ちジャムを狩るのはSister-clariceだった。

深井は雪風と南極の地から飛び立つ事はない。


ブッカーの居室で深井は目覚める。ゆったりとしたトレーナー上下。ベッドから起き上がりダイニングへ向かうとダイニングテーブルに朝食と飲み物がおかれて居る。補佐官である深井もブッカーと同じく陣営へ向かわないといけない。

ブッカーの一日は朝早く夜遅い。

その間の短い時間を使い如月が入院して居る軍部医療センターへ通う。


深井はブッカーが作った朝食をゆっくりと食べ終えた。仕事に行く仕度(したく)をし、いつもの洋服に着替え仕事へ向かった。ブッカーに渡し忘れていたある物を持ち。

如月が意識消失してからもう一ヶ月になる。深井はブッカーから如月の事を聞き驚く。本当に雪風なのか信じられなかった。深井が知る雪風とは程遠い性格は奔放(ほんぽう)と言う言葉がしっくりと合う。

そう思い考えながら深井はブッカーの執務室前に着きノックを五回し扉を開けた。ブッカーの返事を聞く前にさっさと入室する。

「ジャック。」

執務室にブッカーはおらず、深井への言付けのメモ紙がデスクにありそれを見た。

メモ紙にはこう書かれていた。

雪風を無人でSister-clariceと共に飛ばせると。それはSister-clariceの要望であり、その為に調整を準備して居る。調整済みしだい今日に飛ばせる予定と。

雪風は自分なしでは飛べない。深井は雪風の姉妹戦闘機であるSister-clariceの思惑(おもわく)が気になる。何か嫌な予感がする。



ブッカーの執務室の扉が開く。深井が振り返るとブッカーだった。如月により剃られた髭(ひげ)は徐々に伸び始めて居る。

「おはよう。ジャック。」

「あぁ、おはよう。零。」

零を見つめブッカーは穏やかに微笑(ほほえ)んだ。

「零、読んだか??雪風はSister-clariceと共に飛び立った。ブーメランとして引き連れて行ったが──────── 」

「ジャック。俺の飛行命令はいつ下る??」

「まだ、命令は下されてない。」

デスクのモニタリングは電源が入っており、雪風の行動を見つめる深井。特に何も変わりなくジャムを観察して居る様だ。ほんとうに自(みずか)らの意思で雪風は飛んで居るのだろうか??ただSister-clariceに操られ飛んで居るのでは??と深井は考える。

「面白いな。人間を嫌う戦闘機なんて。」

「Sister-clariceはご要望が多いお嬢様だ。そうだな、雪風とは正反対の性格で扱いが困る。雪風(ゆきか)はこう言った。Sister-clariceは自分達コンピューターを扱い切れる人間を必要して居ると。」

「そうか。俺は雪風の姉上に、さぞや嫌われてるからな。」

「自分の大事な妹を、たぶらかした人間の男だからな。」


お互い軽く口を言い合いながらも雪風の動きを目で追う。ブッカーはデスクチェアーに腰掛け仕事を始める。深井がいくら補佐官で手伝っても終わらない仕事が後から後から沸いて来る。

もう一人、補佐官が欲しいところだ。自分が飛行命令を下されたら、この仕事を誰が手伝うのだろうか??


「ジャック。あんたは、どうして髭を剃ったんだ。再会したあの時に、髭(ひげ)のない見慣れないあんたの顔を見てショックだった。それと、渡す物がある。」

「髭は雪風(ゆきか)に、寝込みを襲われ髭(ひげ)を剃られた。零が帰投(きとう)するまで髭(ひげ)を伸ばすのは禁止と。何の目的があったのか知りたいところだな。渡す物とは??」


深井は右手に持って居た薄い木の板で作られた、への字型のブーメランをデスクトップにぽんと置いた。

「ブーメラン??」

ブッカーは差ほど伸びてない顎髭(あごひげ)に手をやり、零がデスクトップに置いたブーメランをしげしげと見つめた。

「ジャック。あんたが13歳の夏休みで初めて作ったブーメランだ。あんたに仕えてた執事のエドワードしか飛ばせないブーメラン。あんたの言う、じい様とエドワードは元気か??」

「初めて作ったのは確かに13歳の夏休みで、俺が初めて作ったブーメランは、よく遠くまで飛んだ。じい様とエドワードを何で知って居る??じい様は元気で健在だ。エドワードは出世して今は家令になり、今だにじい様に仕えて居る。」

「俺は雪風とフリップナイト達と共に過去へ、タイムスリップしたんだ。そして、ジャック。13歳のあんたに出会った。杉山メイと偽名を名乗ったが、エドワードには全てお見通しだった。」

ブーメランには確かに黒のマジックペンでブッカーの筆跡で、作った年月日とジェイムズ ブッカーとサインしてある。


しかし、ブッカーにはこのブーメランを作った記憶がない。何故(なぜ)このブーメランを零が持って居るのかブッカーは悩んだ。


additional Air (31)

OAV結末後 戦闘妖精雪風 additional Air (29)

2011-09-30 00:07:01 | 腐女子の御伴
※この小説はOAV戦闘妖精雪風を基に、二次創作として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。




         additional Air (29)




FAFは慌ただしい如月(きさらぎ)が超小型機のビデオカメラで撮影してた映像を分析し、ロンバート大佐とジャムの繋がり────── ジャムの地球侵略の明確な目的を知った。



それから一週間が経過(けいか)したが依然(いぜん)、如月の意識は回復せず眠りつづけて居た。


ブッカーは如月の保護者に連絡をとったが南極までに来るのに、緊急事態であるが民間の航空会社と民間船舶を利用すると日数がかかると言うのでFAFが送迎をする事を約束し日本の埼玉まで迎えに行った。


日本人の女性で名は清水夏貴と言う。夫は最大手の医療品会社に重役として勤めて居るが、妻をたった一人で軍に行かせられないと言い自分を同行させる様に条件を付けた。夫も同じく日本人で名は清水秋彦と言う。




如月が入院して居る軍部医療センターの病室。


個室で広く窓も大きく日当たりが良い。そして、消毒薬品の臭(にお)いがする。


如月には数多くの医療機器が接続され点滴が幾(いく)つもかけられおり、それを見てるだけで如月が重症で危機に直面して居るのか分かる。

夏貴の身長は165で黒髪のセミロングで童顔。実際年齢は30歳と言うが、童顔であるので二十代後半にしか見えない。アンドロイド製作の権威であるドクターと言う割にはのんびりとした性格である。

夏貴は白衣を着ない主義らしくごく普通の格好である。如月の保護者と言うだけあり、歳の割には愛らしいデザインの洋服を好んで着て居る。

フリルたっぷりのピンク色のワンピースに白のメイドエプロンと白のソックスに真っ赤な靴と言う謎の姿。傍(はた)から見ると何屋なのか不明である。

夏貴の隣に居る夫である秋彦は仕立の良いどこぞの、上品なブランドスーツを着こなしておりしっかりとネクタイを着用して居る。細身で黒に青みを帯びた髪は清潔が溢れきちんとカットされており、精悍(せいかん)な顔つきで目を見張る美貌(びぼう)の持ち主。身長は186で日本人離れして居るが上から下まで見てもエリートビジネスマンで重役であると一目で分かる。歳は夏貴よりも上との事だっか若く見える。


雪風(ゆきか)が眠るベッドの前に夏貴、秋彦、ブッカー、深井と立って居る。

深井はラフないつもの普段着にジャンバーTシャツにジーパンスニーカー。ブッカーは士官正装で革の黒ブーツ。

「夏貴ドクター、如月は自分をアンドロイドと俺に言いましたが─────」

ブッカーの言葉を聞き夏貴はブッカーを鋭く睨む。

「 雪風(ゆきか)が私の元から旅立つ前に、それは誰にも言わない秘密と何度も言い付けたのに。イギリスでブッカー少佐貴方(あなた)と出会ってから雪風(ゆきか)は、毎日の様に貴方(あなた)との生活をメールに動画や画像を添付して来たの。それはまるで恋に恋い焦がれ、恋に堕ちた乙女の様だったわ。」

ブッカーは初めて聞き驚き夏貴を見た。

「ブッカー少佐貴方(あなた)知らないでしょ。自分がどれだけ雪風(ゆきか)に愛されて居たか。戦闘機として生まれた雪風はオズの魔法使いに登場するブリキの樵(きこり)の様に心を有し、人としての雪風(ゆきか)は人魚姫の様に人へ憧れ、一人の人を恋し身を委(ゆだ)ねた。」

深井は雪風(ゆきか)の正体を知りベッドに眠る雪風(ゆきか)をただ見つめた。

「そうね、戦闘機の雪風は深井大尉を愛し、人としての雪風(ゆきか)はブッカー少佐を恋してた。それが原因よ。深井大尉の帰還(きかん)が雪風(ゆきか)を狂わした。雪風(ゆきか)は自分でも分かってたはず、戦闘機の雪風が戻れば自分がどうなる事さえね。深井大尉には必要とされるのは戦闘機としての自分で、人として必要とされるのか不安だった。」

「俺が??」

「深井大尉貴方(あなた)は戦闘機の雪風以外は興味のない人だものね。特別な人間なのは分かってるわ。雪風(ゆきか)は日本へ連れて帰る。ブッカー少佐、今日の日付で雪風(ゆきか)を退役させてください。秋彦さん、良いよね?? ここに居る雪風(ゆきか)は辛いだけ。」

隣に居る夫である秋彦はその言葉に頷き言う、低くよく通る声であるが威圧感はない。

「雪風(ゆきか)君は始めは何をしても無表情で、人としてどう成長するか私は不安でした。しかし、イギリスでブッカー少佐貴方(あなた)と出会い、短時間で人として成長をした。雪風(ゆきか)君からのメールを私達夫婦は楽しみにしてました。それは感謝しておりますよ。」

夏貴は俯き拳を握りしめ啜り泣く。

「夏貴ドクター。」

ブッカーが夏貴を見つめ言う。

「雪風(ゆきか)の軍役期限が切れるまで、猶予(ゆうよ)を頂けますか??お願いします。」

「そのお願いは軍人としての上官のお願い?? それともジェイムズ ブッカーと言う、一人の男としてのお願い??それによって決めるわ。」


「ジェイムズ ブッカーとして、夏貴ドクター貴女(あなた)に願いを乞(こ)う。」





additional Air (30)

OAV結末後 戦闘妖精雪風 additional Air (28)

2011-09-30 00:06:01 | 腐女子の御伴
※この小説はOAV戦闘妖精雪風を基に、二次創作として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。




         additional Air (28)




軍部医療センターへ運ばれたが如月(きさらぎ)の意識は戻らず緊迫した状況だった。 何故(なぜ)、如月が突如(とつじょ)意識消失したのか経験豊かな軍医でもわからない。

あらゆる病状を想定したが如月には何一つ当て嵌(は)まらない。 脳もしっかり検査したが異常は見当たらない。 脳が破損したや血管が傷ついたでもなくぷつりと糸が切れた様に、意識が途絶(とだ)えた様だっと軍医は見識(けんしき)を述べた。


深井は身体検査を終えてタクシーに乗り、エディスのカウンセリングを受診する為にラボに向かう。ブッカーは用事が済みしだい深井と合流する予定。

深井は用意された衣服に着替える。普段着は動きやすい服装で南極と言う事もあり割と厚手の軽い素材だっか身体が保温され暖かいジャンバーと長袖のカッソーの上にセーターを着て下はジーパンでスニーカー。


エディスのカウンセリングラボに着いた。

建物は基地内で建物に入り、受付の者に伝えると深井はラボへ通された。

病院でもないのにラボ内はやに消毒薬品臭い。深井は病院の独特な臭(にお)いが嫌いで堪らない。深井からすれば何処(どこ)か威圧的に感じ、それだけで病院に受診したくない。


ラボの部屋の一見(いっけん)は病院の診察室の様でありシンプルである。窓は大きく日当たりも良い。

深井は丸椅子に座りエディスを待つ。

軽やかなノック音と共にラボのドアが自動で開き、エディスが入室して来た。

エディスは白衣で普段着らしくボディラインにピッタリとした黒のワンピースを着ており黒のソールサンダル。南極の基地と言うのに薄手の衣服。確かに暖房がよく利き暑く汗をほんのりとかく。

「お帰りなさい、深井大尉。今日は帽子は被ってないのね。」

そう言うとエディスはデスクチェアーに腰掛け深井を見つめた。

「俺は特に変わりない。」

「そうね。私を見て久しぶりや嬉しいはないし。今までの貴方(あなた)と何も変わってないけど、私達FAFを取り巻く環境は大幅に変わったと言う事かしら。」

深井は何も変哲もない。ジャムとの交流でもあったら深井は、もっと友好的になってるだろう。何もなかったは言わないが、エディスは思う深井は自分には他言(たごん)しない。

唯一(ゆいいつ)深井が言う相手は自分の上官であり心を許し、信頼したブッカー少佐だけで深井にとって自分はただの部外者である。



相変わらず深井は非協力で何も言わない。たった独(ひと)りでフェアリィ星の基地で過ごしてて居ても、精神的に何も感じないのはブーメラン戦士故(ゆえ)でありエディスはそれを理解して居る。

寧(むし)ろ最愛の信頼すべきパートナーである雪風と、誰にも邪魔されず心置きなく触れ合え精神的に安定して居たのかも知れないとエディスは思った。

「身体検査も異常所見(しょけん)はないし。精神衛生も問題ない様ね??貴方(あなた)は雪風さえ一緒に居てくれれば、どんな状況でも平和で幸せと言う事でしょ。」

「ジャックが存在しない世界に、自分が存在してても意味がないと思った。それだけだ。」

深井はそう言うとエディスを気にする事なく、ラボの自動ドアを開き立ち去って行く。

エディスは始め如月のカウンセリングを担当だったが、エディスを一目見ただけで如月はエディスを担当から外させた。

新しく担当したカウンセラーはいたく如月は気に入ったらしく、そのカウンセラーは如月の言いなりで如月は女王様気取りで上機嫌だった。

余りにも目に余るのでそのカウンセラーにエディスが苦言すると、カウンセラーは如月の信者に変貌して居た。ついでに上官である、ブッカー少佐にも気に入られて居た。


担当カウンセラーによると如月は日本人で親代わりの保護者と一緒に生活してた事や、自分は可愛がれ過保護に大切にされ育てられたと。その保護者は女性で結婚しており夫も居ると聞いたの事。

深井のカウンセリングは薮蛇だった。ただ、一つ彼の変わった唯一(ゆいいつ)の点はブッカーと言う存在が深井にとって絶対に必要と言う事だった。


以前にブッカー少佐本人から聞いた言葉は────────


どんな時でも状況であっても、零が必要とし絶対の信頼し見つめる相手は雪風だけだ。俺はただ零の、手助けをしてるのに過ぎない。俺でさえも零と雪風の関係には、入り込める余地はないさ。



そう言うブッカー少佐の深井への、狂愛じみたモノを感じたエディスだった。

ブッカー少佐と深井の間に如月。

如月はブッカーへ激しい程の好意を抱いて居る。ブッカーは如月の気持ちは気がついてはないとエディスは思う。如月と言うキャラがどう深井に影響を、与えるか深井の観察が必要とエディスは思った。





additional Air (29)