Toshiが行く

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小さな徳

2024-12-18 06:00:00 | エッセイ

 

夜更けの交差点。信号は赤。

中年の男性がポツンと一人立っている。

右を見ても左を見ても、1台の車のライトもなく、

歩道を渡ろうと思えば何の心配もなく渡れるはずだ。

だが、その出版社の社長は青に変わるまでじっと待っている。

そんな社長の様子をたまたま見かけた社員が「どうしてなのか」問うた。

それに対する答えが、「少しばかりの徳を積んでいるのだよ」だった。

随分前のテレビドラマの1シーンだが、

このシーンだけは今でもよく覚えている。

 

     

 

「徳を積む」とは分かっているようで、

実際には何をどうすればそうなのか、よくは分からない。

改めて調べてみると、こう書いてあった。

まず「徳」=善行、つまり人に礼、見返りを求めない良い行い、とある。

だから「徳を積む」というのは、

簡単に言えば「人が見ていないところでも善行する」ということだろう。

テレビドラマのシーンが、まさにそのようなことだと思う。

 

他にどんなことがあるだろう。

「寄付や募金をする」「汚れている所があれば進んで掃除をする」

「下心なく相手が喜ぶことをする」――さしずめ、こんなことが思いつく。

まだまだ、いろいろとあるはずだ。

だが、今挙げたことだって「言うは易し」の類のことである。簡単なことではない。

さらに調べていくと、「徳を積む」第一歩は「愚痴らないこと」とあった。

これとて「言うは易し」であろう。

日本の政治のありさまにしても、何やかやの事件、事故。

つい愚痴りたくなろうというものだ。

 

 

コメント
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