何かを「決断」する時、事の大小にかかわらず「勇気」がいる。
「決断」と「勇気」は重なり合っていると言ってもよく、
それ次第で人生が大きく転換することもあるし、
日々の暮らしにちょっとした色彩を添えることもある。
新聞の投書欄に、見出しに「勇気」とついた男子中学生の投書があった。
この中学生、小学生の頃は授業中先生に問われても
まったく手を挙げなかったそうだ。
もし答えが間違ったら、とても恥ずかしい、そう思ったからだという。
それが昨年、担任の先生に励まされ、
「国語の授業で思い切って手を挙げ、自分の考えを発表したところ、
クラスのみんなも聞いてくれて、自信がつきました。
だから今年、様々なことに対して勇気を持って行動することにします」
そう力強く宣言している。
なるほど、先生の励ましに手を挙げる勇気をもらったわけだ。
こんな人もいた。53歳の女性。
5年ほど前、テレビで同年代の女性がドラムをたたく姿に触発された。
だが自分の年齢を考えれば、何とも面映ゆかったに違いない。
やはり勇気がいった。そして、昨春思い切って決断した。
音楽教室に通い始めたのだ。
だが、若い人に交じって頑張ってはいるが、
やはり手と足の動きが若い人のようにはうまくいかない。
そこに、先生からの励ましだ。
「間違ってもいいから堂々とたたきなさい」と。
「演奏後のスッキリとした気持ちは、この上なく心地よい。
今年はもっと自信を持って演奏したい」
勇気から得た爽やかさを満喫されていることだろう。
80歳男性。この人の話は、わが身と重なるものだ。
加齢による敏捷性の低下を自覚するようになった。
さて、これからも車の運転を続けるかどうか。
買い物に外食、旅行、趣味のゴルフにと、車を利用しているとあれば、
何とも悩ましい問題だ。決断を迫られる。
ふいと考えれば、今春には車検、秋には運転免許証の更新を迎える。
ついに1年がかりの迷いに決着をつけた。
「3月には免許証を返納しよう。返納後は電動自転車で買い物に行こう。
ゴルフに使っていたお金で、鉄道旅行もしたい。返納後の生き方が見えてきた。
こうして文字に書くことで決意も固まった」
そう勇気を奮ったのである。
僕にしても随分と迷った。
車から離れると何かと不便になるだろうし、寂しい気もする。
しかし、人様を傷つけるようなことがあってはならない。
免許証を見れば、あと2年は乗れる。
一方、今年9月には車検となる。それが機ではないか。
随分と迷いはしたが、何とか決断した。
もう運転することはよそう。