前回は「かいじゅう」で今度は「鬼」です。
「虹伝説」は、ページによっては七色がグロテスクに溢れて、食傷します。
しかも、七人の西洋の小鬼は、
はげちゃびんで尖った耳、釣りあがった目、耳まで裂けた口と来るから、お世辞にも可愛いとは言えないし、
もしほんとに彼らに遭ったなら、腰を抜かしてしまうかもしれないくらい不気味でございます。
でも、そう書かれたら怖いもの見たさということもあるでしょう?(ふふふっ)
私がひかれたのは、グロテスクな七色や小鬼の不気味さはさて置いても、東洋画に通じる風景のすばらしさ。
アフリカ大陸のような動物の遊ぶ草原が広がり、その向こうに山々がつらなりる、
その上の空がとてつもなく広い。
この絵本は、空がすごい。
晴れた空、夕焼けの空、月夜の静かな空、どれも美しい。
嵐が来るぞーっという時の空は、こっちにまでゴーッと生暖かい風が吹いてきそう。
嵐の最中の空ももちろん迫力です。
圧巻は、題名通り虹の生まれる空。
雨雲がまだ頭を通過中で世界は暗いけれど、風上の雲の切れ間から光がさして来ると、…虹の誕生です。
<も少し詳しく紹介すると>
虹を食う鬼たちが、虹が生まれる谷があると聞きはるばる山を越えてやってきた。
そして洞窟で腹いっぱい虹を食い尽くす夢を見ながら朝が来るのを待った。
森の草や木が鬼達の計画を聞いていたが、やつらに何が出来るかと思いながら。
翌日、嵐がやってきた。嵐の後には丸々と太った色艶のいいとびきり美味しい虹ができる。
鬼達は狂喜して、嵐の中を虹の生まれる草原に向かった。
鬼達の目の前で、虹が生まれ、子供の虹が大きな橋になって左右の谷を結ぼうとしていた。
鬼達はいっせいに縄を投げて虹を捕まえようとするが…。
その瞬間、虹が消えてしまった!
投げた縄はそのまま鬼達の上に落ちてきて、鬼は身動きがとれなくなってしまう。
もがく鬼の上に、花達が一瞬吸い込んだ虹の色を花汁にしてどっと流し、鬼を溺死させた。
虹は喜んで、花達を蝶や鳥やトンボに変えて、空の国に招待した。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます