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松井知行容疑者 自殺してた

2022年08月23日 | ヒトゴロシ





殺人犯「松井知行容疑者」が逃亡先の南アフリカで自殺するまで 
一緒に逃げた女性と遺書の中身

日本の公安警察官は、アメリカのCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)のように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。昨年9月に『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、逃亡先の南アフリカで自殺した殺人犯について聞いた。

2003年10月、東京都奥多摩町の山中で飲食店従業員の古川信也さん(当時26)の切断遺体が発見された。8月11日、事件の主犯として、2004年4月に殺人容疑で国際手配されていた松井知行(当時32)が南アフリカで死亡していたことが確認された。  南アフリカの東部に位置する都市ダーバンの海岸で、木に紐をかけて首を吊った身元不明の遺体が発見されたのは2017年12月。この遺体のDNAと、松井の親族のDNAを鑑定した結果、矛盾しないことが明らかとなったのだ。警視庁は今後、容疑者死亡のまま書類送検するという。 
「松井容疑者は、もともとカード偽造グループのリーダーでした」  と解説するのは、勝丸氏。 「殺害された古川さんは、勤務していた東京・六本木の飲食店を辞める際、顧客名簿を持ち出したことで店とトラブルになっていました。そこへ、六本木で顔のきく松井容疑者が古川さんに接近、店を脅してトラブルを解消したのです」  古川さんは、六本木で高級クラブを開業する予定だった。 「トラブルを解決した後、松井容疑者は古川さんに、客のカード情報を読み取り機を使って入手するよう要求したところ、拒否されたので拉致。山梨県の丹波山中で殺害し、遺体をバラバラにして奥多摩に埋めたのです」  この時殺されたのは、古川さんだけではなかった。 「カード偽造グループに関わっていた元スナック経営の男性も松井容疑者と金銭トラブルになり2003年5月に殺害され、遺体は埼玉県長瀞町の山林に埋められました」  2人の殺人事件に関わったのは、松井を含め当時10代~30代の11人の男女。2004年1月、警視庁はそのうち8人を逮捕した。残りの3人は松井、グループナンバー2の紙谷惣、当時19歳の女性だった。3人は事件直後にハワイに出国し、その後南アに入国したという。 「彼らが南アに入国したのは、現地に日本で連絡を取り合っていたカード偽造団がいたからです。松井容疑者たちは、カード偽造団が不正行為でかなり儲けていたため、プール付きの豪邸で暮らしていました」

 実は、松井と共に南アに入国した女性は、殺された古川さんの交際相手だった。 「松井容疑者はカリスマ的な存在で、誰も逆らえなかったのです。古川さんを殺害、バラバラにするときも女性は手伝わされています。そして『お前は共犯者だ』と松井容疑者から脅され、南アへ半ば無理やり同行させられたのです」 

2010年、サッカー・ワールドカップ南アフリカ大会が開催された時、松井は、知人と共謀して日本人を対象にインターネットでチケットや宿泊などを手配すると宣伝。100人以上から1億円超を騙し取っていた。 「この詐欺には、南アに同行した女性も関わっていました。松井容疑者から指示されたのでしょう」  女性は日本にいる両親に、密かに電話をしていたという。 「両親は彼女から『乳がんの疑いがある』と聞いたそうです。両親はそのことを警察に通報。それによって南アの警察は、3人が訪れたと思われるクワズール・ナタール州にある病院を片っ端から回った。アジア系の女性が乳がんの診療に来ていないか調べたのです。その結果、該当する女性を突き止めました。中国人の偽名で乳がんの診察を受けていたのです」  女性は、自分の身辺に捜査が迫っていることを知り、2011年11月、警視庁に出頭する意向を伝え、日本に一人で帰国した。 「女性は成田空港で逮捕されました。殺人容疑で逮捕されたものの、容疑不十分で不起訴となっています」  一方、紙谷も松井との生活に嫌気がさし、2011年に松井のもとを離れた。 「紙谷容疑者はヨハネスブルクやケープタウンで暮らし、家のリフォームやエアコンの修理や門番など色んな仕事をしていましたが、コロナ禍で生活が成り立たなくなり、2020年8月、南アの日本大使館に出頭しています。9月に帰国して、逮捕されました」  話は前後するが、2016年6月、全国17都府県のコンビニのATMで偽造クレジットカードが一斉に使われ、現金約18億円が不正に引き出される事件が起こった。 「南アのスタンダード銀行の約3000件のクレジットカード情報が流出し、偽造クレジットカードが作成されたのです。これが使われたわけですが、この事件に松井容疑者もかかわっていた疑いがあります」  さて、松井はなぜ自殺したのか。 「女性も紙谷容疑者も帰国し、一人になって先行きを悲観して自殺したと思われます。遺書も残していて、『迷惑をかけた』と書いてあったそうです」  警視庁は捜査に協力してくれた南アの警察に感謝状を贈る予定だ。

 


 
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