同僚だった女性教諭殺害、36歳の男に懲役13年の求刑…
弁護側は着信666回、700万円払うも別れられず
「極限まで追い詰められ、被害者の落ち度が大きい」と執行猶予主張
片桐朱璃(しゅり)被告36歳は、帯広市の高校教諭だった去年5月30日、パチンコ店の駐車場の車内で、北見市の教諭、宮田麻子さん(当時47歳)の首をシートベルトで締めて殺害した上、遺体を市内の雑木林に埋めた殺人と死体遺棄の罪に問われています。 片桐被告と宮田さんは、同年3月までオホーツク地方の高校の同僚で、それぞれ妻、夫、子どもがいましたが、2018年から男女の交際関係でした。
これまでの公判で片桐被告は「やったことについては、間違いありません。ですが、相手の同意があったと認識しています」と、量刑の軽い同意殺人などと主張。 これに対して検察は「宮田さんは、自分と一緒に死ぬことを前提に承諾したが、被告人は死ぬつもりがないのに、あるように装って殺害した」と指摘。 その上で、24日午前「被害者を殺しさえすれば、被告人は死ぬ必要がなかった。自己保身のための身勝手な動機に酌量の余地はない」として、懲役13年を求刑しました。 一方、弁護士は「逃げたいが、逃げられないという思いから(被告人は)極限まで追い詰められ『もう、死ぬしかない』と口にした。万策尽き果てたことによる自然な思考や自然な感情。追死を装ったわけではない。被害者の落ち度が大きい」として、執行猶予付きの判決が妥当と主張しました。
<検察>
・2016年に同僚となった際、すでに片桐被告に妻、宮田さんには夫と2人の子ども
・2018年から交際、妻と離婚するなどとウソをついて、関係継続しながら解消も考える
・2021年、妻との間に子どもが生まれる
・2022年、帯広市の高校に異動、解消に向けて連絡避ける
・頻繁に宮田さんから連絡あり
・5月29日、顧問をしていた野球部の練習場を訪問される
・5月30日、高校に駐車していた車の中が荒らされ、隠していた住所知られる ・自宅前で待ち伏せされ、走行中の車内で妻と別れることを要求される
・関係解消も継続も不可能と考え、パチンコ店の駐車場で「もう、死ぬしかない」と伝える
・宮田さんが頷いたので「自分も死ぬのであれば、死ぬ気になった」と認識 ・一緒に死ぬつもりがあるように装い、殺害することを決意 ・後部座席に移動し、お互いの首にシートベルトを二重に巻き付ける
・お互いに引っ張り合うも、およそ10分後、宮田さんだけ窒息死
・遺体を自分の車に移して出勤、授業や野球部の活動こなす
・雑木林に遺体を埋め、宮田さんのスマートフォンや車検証焼いて痕跡隠滅 ・アダルトサイト閲覧
<弁護士>
・2018年、宮田さんから誘われて交際スタート
・2019年、関係解消望むも拒まれ、ヒステリー、50回を超える着信の日も ・別れるなら「700万円ある」と話した全財産を払えと要求され、まず、300万円払うも関係解消できず
・2022年4月、帯広市の高校に異動、住所は隠す
・4月3日だけで666回の着信、高校職員への電話も
・押しかけられるのが嫌なら、金を払えと要求され、残りの400万円支払う ・それでも態度変わらず、5月29日に野球部の練習場を訪問される
・仕事があると偽り、高校に車を止めて、タクシーで帰宅
・5月30日、高校に行くと、車内が荒らされていて、ワクチン接種券から隠していた住所知られる
・「あなたの家の前にいる。早く来たほうがいい」と連絡あり、自宅へ
・宮田さんの車の中で「(妻と)別れないなら、赤ちゃんと奥さんを殺す」と言われる
・「もう、死ぬしかない」と伝えると、2回頷いたので、同意があったと認識して殺害
また、争点となっている同意殺人について、片桐被告は被告人質問で、下記のように話していました。
・弁護士 「犯行前の午前4時半ごろ、宮田さんに『もう、死ぬしかない』と伝えた時の心情は?」
・片桐被告 「この人から逃げるために、これが終わるために、逃げたい、死にたい、その一心でした」
・弁護士 「なぜ、宮田さんが2回、頷いたと思うか?」
・片桐被告 「私が妻と別れずに一緒にいたこと、妻と子と生活を続けていたこと、別れ話をいつもしていたが、その時は、いつもより強く言ったことが被害者にとってショックだったのかなと思った」
・弁護士 「犯行時の心情は?」
・片桐被告 「何も考えられていなかった。余裕がなかったと思います。気づいた時には、被害者の口から血が出ていたのが見えて、殺害してしまったと思った」
・弁護士 「宮田さんが亡くなった後、自殺を試みたか?」
・片桐被告 「考えることができなかった」
・検察 「犯行後、自殺しようと思わなかったのはなぜか?」
・片桐被告 「家族との生活を思い浮かべて考えてしまった。家族と一緒に暮らしたいと思ってしまった」
・検察 「被害者が死亡したから(片桐被告が)死ぬ必要がなくなったのではないか?」
・片桐被告 「自分の生活を守るために、被害者を手にかけようとは思っていなかった」 「死に追いやったのは事実ですし、生き残ったのは事実だったが、だまして相手を死に至らしめようとは、まったく考えていなかった」
判決は、28日に言い渡される予定です。
北海道放送(株)
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