田舎びと歳時記

花鳥風月、演歌と津軽に一筆啓上

夜行列車で津軽へ

2010-06-04 10:59:06 | 津軽
♪上野発の夜行列車 降りたときから 青森駅は雪の中 ♪

この歌が私を青森(津軽)へ行かせるきっかけとなったのかも知れません。
本州最北端の地、青森県の竜飛岬へ行って、津軽海峡が見たい――ただそれだけの気ままな
ぶらり一人旅でした。
この時は新幹線でまず新潟へ、その後は特急『いなほ』で秋田、青森へと。いなほ号に乗って
いた時間は6時間半ほどで、ぐったりの感ありでしたが、唯一の慰めとなったのは、日本海の姿。

青森駅(実際の表示は『あおもり駅』)に着いたその日が、『ねぶた祭り』の初日か二日目だったと
記憶しています。せっかく遠くみちのくの果てまで来たのだからと、夜の来るのを待って祭り見物に。

ここで、思いもかけず カルチャーショック!

空気も音も色も違う。時間の流れも違う。そして何よりも、人が違う。

跳人(はねと)衣装の小学校5年生位の女の子。浴衣を着て花笠に付けた豆絞りの手拭いをあご
の下で結び、小気味好く踊っていました。浴衣に付けたいくつもの鈴の音が心地よく鳴っていた。
『あの浴衣の鈴をもらうと、ご利益があるんだよ』 どこからか、そんな声が聞こえました。
深くかぶった花笠から見えた赤い口紅の薄化粧、不思議な妖艶さが漂っていました。

初めて見るねぶた祭り。 『これが最初で最後だろうな~』 と少々しんみり。

あれからもう何年になるでしょう? 10年は疾うに過ぎたはず。

津軽へ津軽へ と恋い焦がれていますが、一度、夜行列車に乗って行きたいのです。
上野駅発の寝台特急 『あけぼの』




今年12月に青森新幹線が開通ともなれば、やがて御役御免となってしまうかも知れない
運命です。その前に、どうしても乗っておきたいのです。

上野駅から数えて3番目の停車駅である高崎駅より乗車。午後11時少し前、翌朝の9時
過ぎには弘前駅に到着予定。新潟、鶴岡、酒田、を経て秋田へ。途中、日本海沿いを走り
ますが、長い眠れぬ夜をどう過ごしましょうか。列車のデッキに立ってみても、延々と続く
夜のとばりで、ドアのガラスに映るのは自分の姿だけかもしれません。

眠れぬ夜が明けて津軽に到着。弘前駅に降り立つ。眠気も一気に吹っ飛んで、津軽の
空気を胸一杯に吸い込む。

郷愁に誘われて夜行列車で向かう津軽。 そこに一体何があるからなのでしょう。

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