10年ほど前だったか、カップ麺界に鮮烈デビューした、高級カップ麺があった。
それまでもラ王など、生麺・レトルト具材を使用した高級なものがあったが、
この商品は、麺・スープのみならず、具材の美味しさ贅沢さにとことん拘ったもので、
しかも月単位で続々登場する斬新な新商品に、カップ麺愛好家を唸らせた。
それまでチープで安価でお手軽だったものが主流だったが、
この商品の登場をきっかけに、カップ麺にも高級志向が生まれ、
コンビニを中心に、各メーカーの開発競争が熾烈さを増し、
続々と、思考を凝らした高級カップ麺が販売されることになる。
その伝説のカップ麺、日清の“GooTa(グータ)”。
漢字表記で“具多”とされ、文字どおり、具材の多さと豊富さと贅沢さで他を圧倒していた。
カップの側面に印字された、JAS規格“上級”の表示がまばゆかった。
この商品の登場で、それまでその名のとおり王座に就いていたラ王が後退することになる。
とはいえ、GooTaとラ王とでは、商品コンセプトが異なるため、
共倒れすることなく、しばらくは共存していたと思う。
毎月 大杉蓮 出演のCMで大々的に発表される新商品、
その都度、コンビニで手にとって、その旨さにうっとりしたものだった。
本格的な中華志向のスープは、オイスターソースや豆板醤,XO醤,ラー油といった、
それら調味料がしっかりと利いていて、どの味もハズレがなかった。
具もまたよかった。
チンゲンサイや白菜、きのこ類など、それまでのフリーズドライとは異なり、
レトルト真空パックの具は、歯ごたえも比にならず、
ワンタンやエビ,イカなどの海鮮具材に、煮卵などもしっかりしていた。
だが、そんなGooTaも、ある時から失速し始める。
振り返るに、小麦や大豆などの食品の原材料高騰あたりからだろうか、
それまで安価だったものを、軒並み値上げせざるを得ない状況に陥る。
カップ麺業界もその煽りをまともに受け、コスト削減が求められた。
その一方で、消費者のニーズは多様化し、
ご当地ラーメンや、有名店とのコラボ商品は高価でも人気を得ていた。
開発費がかさんでいたのか、ラインナップがマンネリ化して消費者離れが進んだのか?
だんだんと新商品の発売ペースが落ちてきて、変化の乏しいラインナップになったあげく、
数年前に、GooTaはひっそりとカップ麺業界から姿を消してしまう。
GooTa 厚切角煮麺
それが今年の春、唐突に復活する。
“具多”の漢字表記は消え、単にGooTaとして甦った。
大きなどんぶり型をしていたカップは、
カップヌードルをひと回り大きくした程度の縦長のコップ型に変わり、
ずっしりと重量感があったものが、やけに軽く質素になった。
変わり果てた姿となったGooTaを初めて店頭で見たとき、
なんとなく寂しい気持ちになった。
だが迷わずカゴに入れた。
厚切角煮麺。
やはり復活第一弾は、GooTaお得意で人気だった肉系からのようだ。
なんてチープなんだろう・・・。
さっそくラベルをめくってお湯を注ごうとする。
・・・が内部を見て、がっかりする。
なんだこれ?
こんなのGooTaじゃない!
ひどく量の少ないノンフライ麺のうえに、
ボッサボサのフリーズドライの角煮が置かれているだけ。
具が多くて贅沢なのがGooTaの売りだったはず・・・。
この厚切角煮、確かにデカ目ではあるが、
こんなものに“GooTa”なんてブランド名を冠してはいけない!
“具多”という漢字表記が消えたのは、このためか!
あのとき食べた、海鮮八宝菜麺,きのこ麺,海老ワンタン麺,麻婆豆腐麺を・・・!
ボッサボサの肉がスープを含んで、
確かにジューシー になってはいるが・・・。
で、食べてみるとこれが・・・たいして美味しくない。
売りの角煮も、いつもカップヌードルに入っているダイスミンチが、
ただ巨大になっただけのような・・・合成肉丸出しの残念な味と食感。
大杉蓮もがっかりだ。
リニューアル復活したGooTaに落胆していたところへ、
先月だったか先々月くらいだったか、新たな商品が発売された。
GooTa“デミハンバーグ麺”。
・・・・もうね、こんなの誰が買うんだよ!
と言いつつ、カゴに入れる。
そして食べてみる。
GooTa デミハンバーグ麺
いや予想はできたが、美味しくない。
ハンバーグ・・・なんだろうこれ?
宇宙食※のハンバーグをお湯で戻しましたみたいな。
スープはちゃんとデミグラスソースの風味がするけれど、麺と合わない。
ハンバーグ食べたいひとは、びっくりドンキーかハンバーグ大魔王に行くだろう。
箸で持ち上げると、ボロボロと崩れ落ちる残念なハンバーグ。
リニューアルされて二品食べてみて思ったこと。
消費者ナメんなよと。
自分トコが築いたブランド名を自ら低下させてどうすんの?
こんなものに易々と、“GooTa”の名を冠して欲しくはなかった。
大杉蓮も泣いてるわ。
リニューアルされたGooTaのコンセプトは、“一点豪華主義”。
「これが贅沢の新しいカタチ」だと・・・。
なるほど、具ひとつを絞ってそれを豪華に贅沢にってわけだ。
だが、それすら昔の具多に比べるとチープなんだよ!
なぜ気付かん!?
でも、第三弾が出たら、また買って食べてしまうのだろうな・・・。
次こそはオールドファンが納得する具多をば・・・!
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YouTube: 日清食品 NISSIN グータ GooTa 大杉漣 cm
もっと初期のものを観たかったけれど、これしか見つけられなかった・・・。
しかし若いな大杉蓮、この頃はメガネかけてなかった?
※ 宇宙食:北九州市にある宇宙を題材にしたテーマパーク、スペースワールドで、
実際に宇宙飛行士が食べるものと同じ製法で作られた、フリーズドライの宇宙食が販売されていた。
自分がスペースワールドへ行った、およそ20年前には、ほとんどが水気のないパッサパサな食感で、
すごく濃い味付がされてあるものばかりだった。
現在は水が生成できること、国際宇宙ステーションなどで長期滞在することもあり、
宇宙食は改良されており、水気のあるレトルトのものや、水を利用して調理できるものに変わっている。
コメント返事が遅くなり申し訳ありません。
この記事にご賛同いただけたということは、
たつさんもかつての本物の具多をご存知だということですね!
カップ麺は各社競い合って商品開発し、年々進化しておりますが、
未だあのシリーズを超える贅沢で美味いカップ麺はないと思います。
けっきょく復活したGooTaカップ麺、
二作目のデミハンバーグで立ち消えた格好になってしまいました。
具多ブランドは冷凍食品で細々と展開しているようですが、
カップ麺での過去のような商品展開はもう望めないのかもしれませんね。
ほんとレトルトカップ麺は最高だったのに…
ごんぶともおいしかったけど、普通に冷蔵麺や冷凍麺のほうが保存性利便性があったり何より割高感がネックでした
今は冷凍食品のラーメンとかが出てますよね
食べたことないですけど
GooTaが忘れられず調べてみたらここを見つけました
同じく恋しく思う人が居たとしって嬉しかったです
タイに行った人のお土産でレトルトカップ麺買ってきてくれた人が居て思い出したんですがやっぱりあの具の豪華さには敵いません。ホント懐かしい
コメントありがとうございます。
ほとんど忘れ去られ、記憶になくなっているかもしれませんが、
元祖の具多は未だあれを越えるカップ麺は登場していないと断言できるほど、
素晴らしく豪華で美味しいスペシャルな存在でした。
毎月発表される新味を楽しみにしつつ、
廃版になる商品を買い溜めたりして、具多ライフを楽しんだものです。
記事にある復刻したチープなGooTaですが、
やはり消費者の反応は芳しくなかったようで、
残念ながらたった二品、デミハンバーグで終了してしまいました。
そりゃそうだ・・・。
冷凍タイプのものは、まだ細々と販売されているようです。
自分もまだ食べたことがないので、いつか食べてみようと思っています。