
先日、仕事帰りに映画を観てきた。
アニメ映画、“メアリと魔女の花”だ。
原作はイギリスの作家、メアリー・スチュアートの児童文学、“小さな魔法のほうき”。
監督はジブリアニメ、“借り暮らしのアリエッティ”,“思い出のマーニー”の米林宏昌氏。
スタジオジブリを退社し、スタジオポノックとしての第一作品。
キャッチコピーは、“魔女、ふたたび。”
映画館で特報の映像を観たのは、もうずいぶん前。
昨年末頃からチラシも置かれ、予告編も観られるようになり、
ジブリの最新作か~。
まーた魔女モノかよ!
魔女好きだなジブリは!
なんてふうに思ってスルーしていたが、なんだかちょっと面白そう?
これは久しぶりに当たりジブリか!?
しかし、公開直前になってジブリ作品でないと気付く。
なんでもジブリを退社した人の、第一作だとか。
アニメ業界の事情に明るくないので、この米林監督のことは知らなかったし、
スタジオジブリ内で数年前にあった、経営のゴタゴタとかも知らなかった。
ジブリアニメは嫌いじゃない。
ナウシカ~千と千尋あたりまでは面白かった。
劇場まで足を運んで観たのは、高畑勲監督の、かぐや姫の物語のみ。
ハウルの動く城から、宮崎アニメはつまんなくなって、
ポニョが決定打になり、まるっきり興味もなくなった。
宮崎駿長編作品ラストと謳った風立ちぬも観なかったし、
宮崎監督じゃないが、ゲド戦機や借り暮らし,コクリコ坂,マーニー,レッドタートルもスルー。
そんなジブリを去った方が作った、このメアリと魔女の花。
リストラされたのか?
宮崎・高畑両氏と袂を別ったのか?
ジブリそのものに嫌気がさしたのか?
真相は知らないけれど、そんな方の作った作品なので俄然興味がわいてきた。
いや、そんな裏事情は置いといて、予告編だけで単純に面白そうだ。
そんなわけで、公開されてすぐに鑑賞してきた。
赤い館村の大叔母(大竹しのぶ)の家に越して来た少女、メアリ(杉咲花)。
好奇心旺盛で天真爛漫、明るい少女だが、不器用で空回りして失敗ばかり。
それに、赤毛のクセっ毛にそばかすと、自身の容姿にコンプレックスも抱いていた。
数日後に新学期を迎え、この村で転校生として新たなスタートを迎える。
だが、まだ友達も居らず、仕事の都合で両親も越してきておらず、
大叔母や家政婦のバンクス(渡辺えり)に家事の手伝いを請うが、断られるばかり。
引越の片付けもままならないまま、ひとり退屈な毎日を過ごしていた。
そんなある日、黒猫に導かれるようにして森へと入るメアリ。
森の奥で青く光る、美しく珍しい花をみつける。
その花を摘んで持ち帰り、庭師のゼベディ(遠藤憲一)に見せる。
花の名前は、“夜間飛行”。
七年に一度しか花を咲かせないという幻の花。
長年庭師をやっているゼベディも、実物を見たのは初めてだという。
その花は、“魔女の花”とも呼ばれる禁断の花。
かつて魔法の国から盗まれた幻の花。
その夜間飛行の力と、同じ場所で見つかった古びたほうきによって、
メアリは魔法の世界へと迷い込んでしまう。
メアリが迷い込んだのは、魔法使いを養成するエンドア大学。
夜間飛行の力によって、自覚してはいないが、高い魔力を身に付けたメアリ。
そんなメアリを歓迎する、大学の学長、マダム・マンブルチューク(天海祐希)と、
魔法科学を研究する、ドクター・デイ(小日向文世)のふたり。
魔力の高さもさることながら、赤い巻き毛の容姿は最高の魔女の証であると、
メアリがこれまでコンプレックスに感じていた容姿が、褒めちぎられ称えられる。
メアリはマンブルチュークから大学の入学申込書を手渡され、そのまま帰宅する。
その夜、村の少年、ピーター(神木隆之介)が行方不明だと騒ぎになる。
ピーターの自転車だけが、森の入口で見つかったという。
霧の深かったこの日、森へ入ってはいけないとされていた。
初対面でピーターから、赤毛をからかわれていたメアリ。
そんなピーターと日中出会って口論となり、メアリは森へ入っていった。
その後を追って森へ入ってしまったのか?
自分のせい・・・そう思ってピーターの身を案じるメアリ。
そのとき、マンブルチュークがホログラム?になって現れる。
既にメアリが魔女ではなく、魔女の花によって魔力を得ていたのだと気付いていた。
ピーターは人質としてマンブルチュークがさらっていた。
返して欲しくば、手に入れた魔女の花、夜間飛行を持ってこいと言う。
メアリは意を決して、ピーター救出に向かう。
マンブルチュークとドクター・デイは、魔女の花を使って、
長年の研究が結実する、悲願が達成できると興奮していた。
彼女たちは世界の平和と人々の幸福になると信じ込んでいたが、
その実態は、恐ろしくおぞましいものだった。
魔女の花を使って、最後の実験が行われる。
その実験台は・・・!
夜間飛行の力で、一日だけ魔女の力を手に入れたメアリ。
そんな恐ろしい計画を知らないまま、ピーターを助けるため、
マンブルチュークに言われたとおり、夜間飛行を用意してエンドア大学へと急ぐ――。
うーん・・・継ぎ接ぎだらけのジブリ作品だった。
面白くないわけじゃないけれど、とくにひねりもなく感動もなく。
ナウシカ,ラピュタ,たぬき合戦,耳をすませば,もののけ姫,千と千尋,ポニョ,それとやっぱり魔女の宅急便。
これまでのジブリ作品を思い起こさせる場面が多々あって、
ジブリに長年居た監督が、純粋に敬意を表してか?
オマージュとして意図して作中にそんなシーンを入れたのだろうが、これが多すぎてあざといくらい。
もし無意識でこんなんなってんだったら、この監督オリジナリティが弱いのかもしれない。
原作がどんなだか知らないので、
脚本でどこまでストーリーが変わっているのか判らないが、
物語の流れ自体は、まあまあ面白い。
たが、ストーリーのテンポや展開に難があって、イマイチ入り込めない。
魅力的なキャラクターに、魔法大学での面白い描写の数々。
にも関わらず、ワクワクもドキドキもない。
これは単純に子ども向け作品ってことなのかもしれない。
主人公のメアリが純粋にかわいくて健気で好感が持てた。
今作のマスコットキャラ、二匹の猫ティブとギブもかわいい。
魔法大学の二人も、ラピュタのムスカのような、純然たる悪ってわけじゃなく、どこか憎めない。
なんだかんだで、決してつまんないわけじゃない。
子どもと観るぶんには、じゅうぶんだろう。
大人ひとりで観るようなものじゃあないな。
声優の一部がいただけない。
ジブリの悪しき慣習をそのまま継いでいるのか?
それともジブリに限らず、昨今のアニメ映画の当たり前になってしまったのか?
今回もメインキャラクターに、本職の声優さんではなく、俳優をあてがっている。
メアリ役の杉咲花や、ピーター役の神木隆之介には文句ない。
マダム・マンブルチューク役の天海祐希も良かった。
最悪だったのが、ゼベディ役の遠藤憲一。
老人キャラの容姿に全く合わない低くて若過ぎる声。
さらに感情のない強弱のない棒読みときた。
ドクター・デイ役の小日向文世も違和感。
こちらもやはり、老人キャラには合わない声。
この二人だけはミスキャストとしか思えない。
俳優が声優に向かないとは一概には言えない。
もののけ姫のエボシ役の田中裕子,ジコ坊役の小林薫や、
千と千尋の湯婆婆役の夏木マリ,釜爺役の菅原文太,
かぐや姫の翁役の地井武男など、すばらしくフィットしたものもあった。
俳優さんだから、その多くは声優もできると思う。
だが、向き不向きとは別に、どうしても理解に苦しむキャスティングがあるのも事実。
オファーではなく、しっかりオーディションして決めてもらいたい。
公開されてまだ間もない。
これから夏休み、楽しみにしている子ども達も多かろう。
子どもと楽しむぶんには問題ないので、親子鑑賞にはオススメ。
良くも悪くも、安定した往年のジブリ作品であることは間違いない。
ただ、アニメファンだったり、ジブリファンだったりする方には難ありかもしれない。
自分のような、にわかジブリファンでさえ、新鮮味のなさが気になったくらいなので、
アニメに詳しい方が観ると、もっと辛口評価になると思う。
メアリと魔女の花のコラボパッケージのリプトンティー。
販売元の森永乳業はスポンサーらしい。
同社のアイスクリーム、パルムのテレビCMでも、メアリと魔女の花のキャラクターが登場していた。
パルムといえば寺尾聡だったのに・・・。
このアニメ、ジブリ作品だと思ってましたが、
ジブリじゃないんですね~
絵柄とかまんまだしジブリ作品だと思ってる人多そうですね。
自分もラピュタとかルパン三世とか
昔のジブリ作品は好きですが、
最近のは……
最後に映画館で見たのは紅豚だったかな?
やっぱり声優を使わないのは許せないですね……
昔の作品では普通に声優さん起用してたのに……
有名人起用するのは客寄せ?
声優はアニメ知らない人にとってはその辺弱いのですかね……
演技のできる人なら問題ないですが、
「棒読み」の人は頂けないです……
最近のジブリは棒読みのイメージしか……
あと宣伝に力入れすぎ?
悪いとは言えないですが、
「ぽにょ」の時のマインドコントロールかよ?!
と思わせるCM攻勢でジブリ作品に嫌気が……
コメントありがとうございます。
大人の事情でジブリアニメではないというだけで、
どっからどう見ても、完全にジブリアニメでした。
この監督さん、20年もジブリに居て、
宮崎・高畑両氏の元で制作していたそうで、
骨の髄までジブリがしみ込んでしまったようです。
ご本人もインタビューで、そんなことをおっしゃっていました。
「ジブリの呪い」とまで表現していて笑いました。
別の映画のインタビューだったと思いますが、
「宮崎氏の元では人が育たない」と、
エヴァンゲリオンの庵野氏が語っていたのを覚えています。
これはいい意味で言った発言だったと思いますが、
別の捉え方をしても、あながち間違いではないなと、
このメアリと魔女の花を観て思いました。
長年ジブリに居たことで、
この監督自身が持っていたであろう、アイデンティティが消されたんじゃないかと。
まあアニメ素人の自分の率直な意見なんで、的外れでしょうけどね。
声優に関してですが、ジャニタレやらアイドル,
お笑い芸人とかを起用するのは、大方は客寄せでしょうね。
あとはスポンサー側の意向もあると思われます。
それ以外で旬の俳優さんなんかを起用するのは、
話題作りもあるでしょうが、本当に期待してオファーしてるんじゃないかなと思っています。
さすがに台無しにされる恐れもあるんだから、
ジブリ(ジブリじゃないけど)クラスのアニメ制作陣が、
安易に客引きだけでオファーするとも思えないんですよね。
ただ、キャラクターの声のイメージが、
観客の抱くものと、
制作側の抱くものとが乖離しているとしか思えませんけどね・・・。
紅の豚ですか、当時高校生で、間違えて“虹の豚”って覚えてました。
友人から観に行こうと誘われたんですが、
「なんだよ“虹の豚”って、つまんなさそうじゃん!」って断った記憶が・・・。
大人になってから観たのですが、あれは傑作のひとつですね。
森山周一郎さんの声のシブさがたまりません。