目に青葉山ほととぎす初鰹
初鰹銭と辛子で二度涙
初かつおの高さで銭がなくなることに涙し、かつおといっしょに食べる辛子で二度目の涙を流す。
うまい!めっちゃうまいよ!どうよ!といいたくなる一句です。
ところで「涙が出る程高いならやめとけよ」とか思うのは江戸っ子からすると野暮ってやつでしょうか?
江戸で初鰹の献上が始まった寛永のころ、鰹の刺身などは上方人の賞味しないところでした。
その後、初鰹の値段は上がっていくのですが、その頃の文献に、「花のお江戸の繁昌は初鰹が四貫(一両)しても五貫しても
かまはず買って食ふ。まことに他国の人のしわい目から見ては、銭のさしみを食ふ様に見ゆるなり、
しかし此の高いのでなければ初鰹ではござらぬ」とあります。つまり「高いからうまい」と考えるのです。
いわゆる「誇示的消費」であったのでしょう。
「この異常なる嗜好と美味の誇張には上方に対する『はり』があったと思われる。
つまり瀬戸内海をひかえる大阪には鰹がなかった。江戸にとってのみの特産である『かつお』を食うべしというのが
その主張で・・・・主として上方人に対する肩いからした虚勢があったと思われる」(宮本又次)
近年では関西でももちろん初ガツオも戻りガツオもこぞって食べられているのは言うまでもないことです。