正ちゃん(仮名)は生きてれば70才になる。以前住んでたところの酒屋の店員だった。
グループサウンズ華やかなりしころ、芸能界にいてけっこう売れたグループにいたが
ある日、芸能界が虚しくなって酒屋の御用聞きになったという。
「ほんとかな~ほんとかな~」と思っていたがそのころのナツメロ番組でちょこっと顔だしたり
してギターを弾いていたのでいたので芸能界にいたのは本当だったんだな~と思った。
ところで正ちゃんは自他ともに認めるアル中なのだ。
大分前、酔っ払って団地の2階の階段の手すりに足をかけて「死んでやる~!死なせてくれ~!
父ちゃんとかぁちゃんのところに行く~」と早朝から大声でわめきちらした。
うちのすぐ向かいの棟のこととてびっくりして階段を駆け上り、「しっかりしてよ」と肩に手をかけたら
なんと手のひらにゲロがビチャリとひっついてしまった。
あわてた私は、背中をさするふりをしながら「しっかりしてよぉー」と言いつつ
そのゲロを正ちゃんの背中にゴシゴシとなすりつけた・・・。 記憶がある。
2回目は、泥酔して真冬の近所の公園で死にかけていた。その時は救急車を呼んだ。
つい先日、都内の病院の待合室で正ちゃんとばったり会った。
酒は高校生の時から大すきだったと言うので少しびっくりした。
兄貴と、新宿のテアトル座に映画を見に連れてってくれたその帰り、三平食堂でかつ丼と
中ジョッキを飲むのがうまくてうまくてねー。たまらなくうまくってねえ~。
と顔をほころばせながら話してくれた。
それから、学校を出てからは芸能界ということもあり飲んで、飲んで、飲みまくって・・・。
病院の入退院の繰りかえしだとも・・・。
素面のときはは真面目できちんとして、気立ても良くって。そう、頭もいい!
それが、酒が入るとどうにも止まらない。酒が酒を呼んでしまう状態だそうだ。
本人の人格とか意思とか関係なく、病気が勝手に一人歩きしてしまう・・・。
アル中って病気、そんな感じを受けた。そして精神科に行かなくては駄目になっちゃうよ。
地域の断酒会に入るべきだよ。本当にお酒は止められるよと本気で諭した。
本人も治したいと心から思っている様子で精神科を受診することを約束してくれた。
「克服できる病気だからね!」と訴えて、それきりわたしも引っ越して疎遠になった。
それから3年。風の便りに正ちゃんは13階のマンションから飛び降りて亡くなった。
新聞にも小さく載ったとのこと。あの頃、その頃のメロデイ―が流れると
思い出す。もっともっと親身になっていればこんなことにならなかったと、折に触れ
思う今日このごろである。後悔先に立たずとはこういうことである。
グループサウンズ華やかなりしころ、芸能界にいてけっこう売れたグループにいたが
ある日、芸能界が虚しくなって酒屋の御用聞きになったという。
「ほんとかな~ほんとかな~」と思っていたがそのころのナツメロ番組でちょこっと顔だしたり
してギターを弾いていたのでいたので芸能界にいたのは本当だったんだな~と思った。
ところで正ちゃんは自他ともに認めるアル中なのだ。
大分前、酔っ払って団地の2階の階段の手すりに足をかけて「死んでやる~!死なせてくれ~!
父ちゃんとかぁちゃんのところに行く~」と早朝から大声でわめきちらした。
うちのすぐ向かいの棟のこととてびっくりして階段を駆け上り、「しっかりしてよ」と肩に手をかけたら
なんと手のひらにゲロがビチャリとひっついてしまった。
あわてた私は、背中をさするふりをしながら「しっかりしてよぉー」と言いつつ
そのゲロを正ちゃんの背中にゴシゴシとなすりつけた・・・。 記憶がある。
2回目は、泥酔して真冬の近所の公園で死にかけていた。その時は救急車を呼んだ。
つい先日、都内の病院の待合室で正ちゃんとばったり会った。
酒は高校生の時から大すきだったと言うので少しびっくりした。
兄貴と、新宿のテアトル座に映画を見に連れてってくれたその帰り、三平食堂でかつ丼と
中ジョッキを飲むのがうまくてうまくてねー。たまらなくうまくってねえ~。
と顔をほころばせながら話してくれた。
それから、学校を出てからは芸能界ということもあり飲んで、飲んで、飲みまくって・・・。
病院の入退院の繰りかえしだとも・・・。
素面のときはは真面目できちんとして、気立ても良くって。そう、頭もいい!
それが、酒が入るとどうにも止まらない。酒が酒を呼んでしまう状態だそうだ。
本人の人格とか意思とか関係なく、病気が勝手に一人歩きしてしまう・・・。
アル中って病気、そんな感じを受けた。そして精神科に行かなくては駄目になっちゃうよ。
地域の断酒会に入るべきだよ。本当にお酒は止められるよと本気で諭した。
本人も治したいと心から思っている様子で精神科を受診することを約束してくれた。
「克服できる病気だからね!」と訴えて、それきりわたしも引っ越して疎遠になった。
それから3年。風の便りに正ちゃんは13階のマンションから飛び降りて亡くなった。
新聞にも小さく載ったとのこと。あの頃、その頃のメロデイ―が流れると
思い出す。もっともっと親身になっていればこんなことにならなかったと、折に触れ
思う今日このごろである。後悔先に立たずとはこういうことである。