思想犯収容した刑務所 文化人とモダン建築紹介 中野の図書館
2010年11月7日 東京新聞より
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思想犯を収容していた旧中野刑務所(中野区新井)の着工百年にちなみ、モダンな近代建築としても知られる刑務所と、収容されていた文化人を紹介する企画展が二十五日まで区立中央図書館(中野)で開かれている。
中野刑務所はもともと市谷にあった市谷監獄が豊多摩監獄として中野に移転。一九一五年に完成し、その後、豊多摩刑務所となり、終戦までは主に治安維持法違反の政治、思想犯が収容された。中には「蟹工船」で知られる小説家小林多喜二や詩人壺井繁治ら作家も含まれた。戦後は連合国軍総司令部(GHQ)の接収を経て中野刑務所となった。八三年に廃止され、平和の森公園になった。
移転当初や解体時の刑務所の写真約二十点、刑事政策専門の矯正図書館(新井)から借りた写真集など刑務所に関する書籍約十冊を展示。収容されていた文化人が刑務所について書いた部分を抜粋して掲示し、刑務所の歴史を振り返った。
小林や壺井、経済学者河上肇、哲学者三木清ら収容されていた文化人、作家八人と、刑務所を設計した後藤慶二の紹介パネルを展示。あわせて小林の「蟹工船」や壺井の詩集など所蔵する著書、関連本約百冊を並べた。本は企画展終了後、借りられる。
図書館は「刑務所の歴史を知ってほしい。中野ゆかりの作家の本を読んでほしい」としている。月曜休館。問い合わせは区立中央図書館=電03(5340)5070=へ。 (松村裕子)
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