山の雑記帳

山歩きで感じたこと、考えたことを徒然に

山を彫る(番外篇)守屋山キャンプ場にて

2024-12-04 08:31:08 | 山を彫る

高遠少年自然の家を利用するようになったのは、いつ頃からだろうか?随分昔から行っているはずだ。試みに会報「やまびこ」の索引を使って検索してみた。始まりは1998/2、よほど気にいったのだろう、7月も。以降2002年まで2月ないし3月のスノーハイクは恒例になっていた。しばらく休み2008,9年、また少し飛んで2013、2020年と訪れている。自然の家ではクロスカントリースキーやスノーシューを無料で貸してもらえるからありがたい。チョットしたルールを守れば格安で利用できるのも嬉しい。コテージで薪ストーブを囲み、呑み、かつ歌い、踊れば浮世の憂さを忘れる至福の時だ。初回は自然の家周辺で雪と戯れていたが2回目’98/7には守屋山へ登っている。

2013/2/10自然の家出発、立石口から登山開始。雪はあるがアイゼン無しで進行。立石から少し剣呑な道になる。南面にあたるため雪が融け、岩が露出する箇所が多い。間をおいて慎重に進む。木にできた二つ瘤がちょうど女性のバストの様で“平成のビーナス”の銘板に一同緊張がほぐれた。鬼ヶ城のある巨岩地帯、浅間の滝を経て、急な上りを凌げば前岳のコルに出る。ひと休みしたら開けた道をジグザグに進み、杖突峠への分岐点に出れば山頂は近い。灌木になり、空が広くなった道をひと上りで東峰の頂に到着。わーお、360度の展望だ。北アルプス、美ヶ原、八ヶ岳、手前に入笠山、南アルプス、中央アルプス、御嶽山、ぜーんぶ見えた。本隊は西岳へ。芦田、天野、池田ロートル3人はここに留まり、自然の家特製の昼飯を戴く。快晴無風、抜群の眺め、ええなぁ。西峰に向かった本隊が戻ってくるのが見通せたので3人は先発。下りはアイゼンを着けた。順調に下りキャンプ場に着く頃、本隊が追いついた。夏の賑わいは知らない、人影は無くひっそりしていた。ふと見上げると青い空、白い雲、葉を落としたカラ松がアートしていた。これ、いただき、この様を版画に彫った。写真の通りの画を描いたら、先生からは中心に向かって木を配置するようにアドバイスを受けた。カラ松が落葉して枯枝に粒々が残っている状態を表したい。その頃はまっていた木田安彦の表現を応用した。浅丸刀で丹念に彫る。加減しながら摺ってみると粒々が出てきた。それらしい表現ができたと思っている。この画は、東京に住む孫の部屋にピンナップされている。(どうも傷隠しらしい)

平成のビーナス

鬼ヶ城

浅間の滝

守屋山頂から望む八ヶ岳連峰

追記
2024/2/11,12高遠少年自然の家に泊まり、守屋山に登ることができた。この時も快晴、無風、素晴らしい山行になった。3月末をもってSHCを退会。始まりから終わりまで関わってきた自然の家と守屋山に感概ひとしおである。

(2024年11月 IK記)

*  *  *

IKさんが書くように、高遠少年自然の家は冬合宿の常泊場所だった。最後の冬合宿となったコロナ禍前2020年2月もここに泊り守屋山を目指したのだったが、残念ながら雨模様で神長官守矢資料館や諏訪大社四社巡りとなった。

【2020年3月記】

(前略)守屋山頂からは眼下に諏訪湖が、そして東に八ヶ岳連峰とその南西麓がはっきりと望まれる。縄文期の諏訪に住む人々はこの聖なる山に立ち、自らの集落と生活の場である山(もり)と湖(うみ)の姿を一望し、どのような感懐を持ったのだろうか。共生する自然への鋭い感性=インスピレーションを持ち合わせた彼らは、現在ここに立ち眺望する我々には受けることのできないものを感じとり、視ていたのかもしれない。さらに、この豊かな古代諏訪文化は、天竜川水系、富士川水系を下って太平洋岸にまで至り、また屛風のようにそそり立つ南アルプスの峠を越えて井川にまで達していたらしい。我々の大井川流域の山々と八ヶ岳連峰は、古代において結ばれていたのであり、その結節点が守屋山であったとも言えるだろう。
(会報『やまびこ』№191「月々の山」)

 これが、私が山を歩くことの関心(テーマ)のひとつである。前宮から守矢史料館、本宮にかけての一帯は、是非とも案内したいと思っていた場所で、雨で守屋山から代ったのも良い機会になった。この地区をもっとじっくりと探っていけば、それだけで面白そうな史跡ハイキングを企てられそうである。
 宿泊した高遠青少年自然の家のロビーには、ランドサットが撮影した写真に自然の家の位置を印したパネルが掲げられている。これを見ると、ここがちょうど南アルプスを挟んで南北に我が街と対の位置にあることが理解できる。実は、この話は高遠青少年自然の家に通っていた初めの頃、当時代表であったIKさんが、夕べの集いの団体紹介で挨拶された事柄で、懐かしく甦る。すっかり〝長老〟(?)となられたIKさんが、今回の合宿にも参加され、夜の懇親会ではノリノリでハモニカを披露してくださったこと、また合宿初参加の皆さんも気持ち良く輪の中に加わり、全く良い思い出となった。「会員同士の親睦を図る」という合宿のもう一つの目的も叶えられた。