映画と渓流釣り

「おっぱいバレー」の失敗

 最近の邦画における伝統的成功例は、周防監督が編み出した巻き込まれ型青春情熱作風だと密かに思っています。「シコふんじゃった」では、単位のためにフンドシ姿になった主人公が何時しか相撲の奥深さに魅入られていったり、「シャルウィダンス?」の中年サラリーマンは、乗り継ぎ駅からふと見上げたダンス教室の美女目当てで入門した社交ダンスの虜になります。同門の矢口監督「スウィングガール」では、夏休みの補修授業をサボりたいがためにビッグバンドジャズに巻き込まれてゆきます。どれもこれも言わずもがな傑作です。
 日本人のメンタリティに合っているのだと思います。アメリカ人なら、自分の夢に突き進んで勝ち取るストーリーじゃなければいけないのでしょうが、我々農耕民族は辺りを気遣いながら生きているうちに、自己主張より協調とか妥協を優先するようになりました。それでもそこに何らかの楽しみや遣り甲斐を感じ、真摯に情熱を傾ける姿に共感できるのだと思います。

 さて、「おっぱいバレー」の事です。ストーリーは正しくこの成功方程式が当てはまるだろうに、何故失敗してしまったのか!
①岡田脚本の破綻。子供たちの視線なのか、美香子先生から見た子供たちなのかはっきりしてません。何故あんな事(内容に触れますので)で教職を追われるのか、あまり後味よろしくありません。せっかく小倉のお話なのに方言も使わず小倉キャラもまったく現れませんでした。もったいない。②やはり海猿程度の演出力。何しろリズムが悪い。イライラしてきます。時代背景にこだわり過ぎです。わたくしも70年代に中学生をしてましたが、あんなに昭和30年ポクありませんでした。変に車とか街に溢れるポスターとかにそれらしさを出そうとしてますが、かえってクドク不自然です。演出力でその時代の雰囲気を出さねば何にもならんのです。こんな中途半端なら現代劇にすべきです。③うるさ過ぎる歌謡曲。2~3曲なら良いんです。懐かしいですし。でもあんなに垂れ流されると、有り難味がありません。TVドラマだって今時あんな事やら無いんじゃないですか?

 綾瀬はるかのような先生がわたくしの中学教師であったなら、あのふくよかな胸に飛び込みたいと思った事でしょう。子供たちも一生懸命演じていましたのに、この手の題材を上手に生かせなかったスタッフは、罪な事だよ先生♪
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