ひとつの悲しい恋のお話。
きっと、当時はこんなことがたくさんあったんでしょうね。
其の六 平中ラブストーリーⅠ
当時女性が「仏門に入る」「出家する」場合、いきなり頭をまるめるのではなくて
長い髪を肩ぐらいまで切り「おかっぱ」にしたようです。
長い髪が美人の条件だった時代。
それなりの身分がある女性は、生まれてからずっと髪を伸ばし続けているでしょうから
髪を切ることは、一大決心だったでしょう。
このお話に出てくる武蔵さん。
やだ「むさし」だなんて、ゴツい名前!とお思いでしょうが、
宮廷や貴族の邸で働く女性はたいてい、親や兄弟の役職などで呼ばれます。
彼女の父親は武蔵の国(現在の埼玉・東京・神奈川のあたり)の守(長官。現在でいえば知事かな)だったので、「武蔵」と呼ばれています。
ちなみに紫式部は、父親が式部省の役人だったから。
清少納言の「少納言」も役職名です。ついでに「清」は、彼女が「清原さんちの娘さん」だったから。
武蔵さんは、本文では単に「気位の高い女」とされていますが、
失恋したショックで出家してしまう女性なので、実はこんな人だったんじゃないかな~と
想像して描いてみました。
さて、天下の色好みといわれる平中くん。
今回は一人の女性を不幸にしてしまったわけですが、
そんな彼を手玉に取る女性も現れます。
それは平中ラブストーリーⅡで!