平安時代の恋愛といえば、百人一首にあるような歌のやりとりをして、
御簾越しに逢瀬を重ねて、また歌を詠んで―――
・・・というような情景を思い浮かべるものですが、
いくら平安人だからって、そんな人間ばかりじゃない。
其の七 無学の男が怒る話
・・・まあ、ここまで無粋な男は稀だったでしょうね。
だからこそ「ねえ、聞いてよ。こんな男がいたのよ、信じられなぁい」ってことで
今昔物語の一話になっているんでしょうから。
どんなに親しくしている女性であっても、
男はずかずかと部屋に入り込んではいけませんのよ、佐太くん。
彼は、なげかけられた歌の意味がわからなかったわけですが、怒った理由は
「薩陲王子」にあったようです。
彼女は「佐太」(さた)と「薩陲」(さつた)を掛けて、「さたが衣を~」と詠んだわけですが
格助詞としての「が」は「の」に比べて、侮蔑の意味があるようで、
私も詳しくはわかりませんけど(^_^;)・・・たとえば
「犬が鳴く声」というのと、「犬の鳴く声」というのでは、
前者の方が、犬を軽んじている。
つまり佐太くんは、「さたが」と言われたことで、女に侮辱されていると思ったのですね。
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